身近なあの薬も?!
新制度セルフメディケーション税制とは
身近なあの薬も?!  新制度セルフメディケーション税制とは

2017/10/4

 
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医者の直接の処方箋無しに購入することができる医療品のことをOTC医療品と言います。規制が緩和されたこともあり、ドラッグストア等で手に入るこれらの医療品の種類も増えました。そんな中、今年の1月1日からセルフメディケーション税制が適用されるようになりました。こちらの制度ではOTC医療品を購入した際に所得控除を受けることができます。湿布や胃腸薬など身近な製品も数多く対象となっており、知らないままではもったいないこの新制度について解説していきます。

OTC医療品とは

OTC医療品は、調剤薬局やドラッグストアなどで、医者の処方箋がなくとも購入することができる医療品のことで、市販薬・大衆薬などと呼ばれることもあります。OTC医療品には様々な種類があり、風邪薬や胃腸薬、鎮痛薬や点眼薬、滋養強壮剤など、多岐にわたります。OTCという呼称はOver The Counterの略であり、薬店などのカウンター越しに販売される薬である、という販売形態に由来するものです。自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調であれば自分で手当てする「セルフメディケーション」の時代である現代、比較的手軽に利用できる体調管理のツールとしてOTC医療品は存在感を増してきています。

セルフメディケーション税制の基礎知識

概要

厚生労働省によれば、セルフメディケーション税制の概要は以下のように紹介されています。
「適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入の対価を支払った場合において、その年中に支払ったその対価の額の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(その金額が8万8千円を超える場合には、8万8千円)について、その年分の総所得金額等から控除する。」
すなわち、一定の条件を満たしている人が「スイッチOTC医療品」なるものに1万2千円以上支出した場合、1万2千円を超える額については、8万8千円を上限に所得から控除されるということですね。
しかし、「一定の取組を行う個人」「スイッチOTC医療品」などに関してはいまひとつピンとこない方も多いのではないでしょうか。順に見ていきましょう。
セルフメディケーション税制の対象となる「一定の取組を行う個人」とは?
この制度の対象となる人、すなわち「一定の取組を行う」居住者の定義は、以下のいずれかを受診している人です。
●予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
●市町村が健康増進事業として実施するがん検診
●勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
●特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
●健康保険組合・市区町村国保等が実施する健康診査(人間ドックや各種健(検)診など)
●市区町村が健康増進事業として実施している健康診査(生活保護受給者などを対象とする健康診査)
確定申告に際して、これらの条件のいずれかに該当することを示す資料を申告書に添付すること(資料の詳細は後述)で、セルフメディケーション税制を利用することができます。
また、セルフメディケーション税制は従来の医療費控除との選択適用となっており、両者を同時に利用することはできません。この選択は、一度してしまうと更正の請求や修正申告に際して変更することなどはできませんので注意が必要です。

セルフメディケーション税制の対象となる「スイッチOTC医療品」とは?

上述の通り、OTC医療品とは、医者の処方箋がなくとも薬局や薬店、ドラッグストアで購入が可能な医療品を指します。その中でも、もとは医者の処方箋が必要な医療用医薬品として利用されていたものをOTC医療品として転用、すなわち「スイッチ」したものを特に「スイッチOTC医療品」と呼んでいるのです。その種類は解熱鎮痛剤や胃薬、抗アレルギー薬や水虫の薬など、多岐にわたります。該当する成分・薬の一覧については、厚生労働省や各製薬会社の発表している資料で確認することができます。
また、セルフメディケーション税制が適用される医療品には、下のようなマークがついていることが多いです。このマークは一般社団法人日本OTC医薬品情報研究会が本税制の対象製品であることを示すために作成したもので、掲示自体に法的義務はないためマークがついていなくとも制度の対象となることはありますが、一つの目安として覚えておくことをお勧めします。

実際に制度を利用してみよう

ここまでで、セルフメディケーション税制の概要や対象について確認できました。では実際にこの制度を利用する際には何が必要になり、また、この制度に関連して労働者を抱える事業者には何が求められるのでしょうか。

「一定の取組」の証明に必要な書類、および事業者としての対応方法

セルフメディケーション税制を利用するには、まずは確定申告の際に自らが「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組」を行っていることを示す資料を添付することが第一条件です。以下に、セルフメディケーション税制を利用する際の必要資料手配のフローチャートを作成しましたので、ぜひ参考にしてください。事業者の方で労働者を抱えている場合は、この手順が正しく行われるように適切な指導を行うことが厚生労働省から求められています。また、場合によっては各種診断や診査を受診したことを本人に代わって証明することが必要な場合もあります。この場合、従業員から受け取った証明依頼書に基づき、その旨を証明しなくてはなりません。

厚生労働省「「一定の取組」の証明方法について」を参考に作成

証明依頼が必要な場合

上図のフローチャート中の右下、「定期健康診断・特定健康診査・人間ドック等の健康診査を受診した」に該当する場合については、以下のように対応します。

スイッチOTC医療品を常時使用する労働者の方

結果通知表に
●勤務先名(定期健康診断の場合)
●保険者名(各健康保険組合等)
のいずれかの記載がある場合、結果通知書を提出してください。いずれの記載もない、もしくは不明の場合、勤務先、もしくは保険者に対して、該当する診断・診査を受診したことの証明を依頼することになります。

スイッチOTC医療品を常時使用する労働者でない方

結果通知表に
●保険者名(A市国民健康保険等。単に市町村名のみの記載を除く)
の記載がある場合、結果通知書を提出してください。記載がない、もしくは不明の場合、保険者に対して、該当する診断・診査を受診したことの証明を依頼することになります。

申告するうえで必要なものとは?

「一定の取組」を行っていることを証明し、セルフメディケーション税制を利用する資格が得られれば、確定申告の際にスイッチOTC医療品への出費を申告することができます。
スイッチOTC医療品に関する支出は、スイッチOTC医療品に該当する金額が明確になっている領収書等に基づいた明細書を確定申告時に提出することで申告します。その明細書には、
 1.特定一般用医薬品等購入費の額
 2.特定一般用医薬品等の販売を行った者の氏名又は名称
 3.その特定一般用医薬品等の名称
 4.その他参考となるべき事項
の4点が含まれていることが必要です。

☆ヒント
このように、セルフメディケーション税制の恩恵にあずかるためには、書類の調達や明細書の用意など、煩雑な手順を踏まなくてはなりません。また、従業員を抱える事業主の場合は、依頼があった場合には従業員が健康診断等の「一定の取組」を行っている旨を証明する必要も浮上してきます。ビスカスでは、新制度にも対応した税理士を数多く紹介しておりますので、ぜひこの機会にご検討ください。

まとめ

セルフメディケーション税制は比較的新しい制度であり、あまりご存知ではない方も多かったのではないでしょうか。しかし、対象となる医療品に身近なものが多い点や、1万2千円以上という、比較的小さな金額を超えるだけで控除が適用されるといった点など、魅力的なポイントが数多くあります。必要な手続きや書類をしっかり把握したうえで、この新制度を活用し、節約できる税金についてはもれなく節約していきましょう!

株式会社プロジェクトカンパニー 松本孝輝
東京大学卒。在学中は経済工学や産業組織論を中心に専攻。
現在はコンサルティング会社に勤務し、ITを用いた集客やブランディングなど専門にコンサルティング業務を行う。
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