もう怖くない!中小企業の税務調査のまとめ
もう怖くない!中小企業の税務調査のまとめ

2017/8/8

 
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大企業には義務として課されている税務調査ですが、「個人事業主には関係ない」なんて思っているそこのあなた。それは間違いです。税務署の調査は全ての個人事業主やフリーランスの方のもとへも訪れる可能性があります。調査の際に入念に見られやすいポイントや、日頃から意識すべきポイントを押さえ、税務調査におびえなくて済む組織作りに努めましょう。

税務調査の基礎知識

そもそも税務調査って?

税務調査とは、納税者の申告内容について国税局や税務署などが調査をし、必要に応じて是正を求める手続きを言います。
税金の申告に向けて、収受したお金を計算したり勘定科目を法律に即して割り振ったりするのは、各企業や個人事業主の方々の大切な仕事です。あくまでも税務調査の目的は、この専門的な業務を適切に行う手助けを行うこと。申告の間違いや不正を指導し、改善を促すことが主眼に置かれているため、適切な手続きを行っている方であれば、税務調査の通知が来たとしても脅える必要はありません。

調査と監査の違い

よく混同されがちなのが、調査と監査です。税務調査は、上の説明にもあるように、税務署等が調査対象を定め、対象となった事業主等がこれに対応する、という構図となっています。それに対して税務監査とは、税務調査に備えて税理士等の外部機関に自社の税務をチェックしてもらうことを言います。つまり、税務調査と税務監査は根本的に異なります。

なお、監査には税務監査の他に、会計監査というものもあります。会計監査とはその名の通り、会計書類の確からしさに関して公認会計士や監査法人が監査を行うものであり、監査結果に問題がなければ監査証明を得ることができます。企業の会計に社会的信用をもたせたい場合、この監査証明が重要な役割を果たします。

税務調査は誰の元にも

税務調査というと企業が対象だとお思いかもしれませんが、個人事業主の方も、調査対象になります。仮に同じ事業内容であっても、法人は法人税法、個人は所得税法に基づいて税金を納めるため、法人と個人では支払う税金が異なるということはご存知かと思います。税務署には、法人と個人でそれぞれの税務調査部門があり、独自の情報と専門性を有しているため、調査対象は法人・個人を問いません。

そこで、税務調査の対象として自分が選ばれるのかどうかが気になるところですね。税務調査は、不正が発覚した企業・個人事業主が対象というわけではありません。調査の結果、何の問題も見つからなかったという事例も多くあるので、調査対象になったからと言って疑われていると捉える必要はないでしょう。また、一人の事業主から見れば税務調査を経験する回数はそれほど多くないので、日頃から税まわりの業務を適切に行っていれば何も問題はありませんし、少額の間違いならば、次回から気をつけるよう注意されるだけです。

まとめると、
・税務調査は個人事業主であっても対象となる
・不正がなくても税務調査の対象になり得る
・ミスが見つかっても、すぐさま追加徴税となるわけではない
ということになります。

調査対象になりやすい企業・個人事業主の特徴

前項ではすべての事業主が調査の対象になり得ると言いましたが、実際には、調査対象になりやすい企業や個人事業主にはある傾向があるといわれています。対象の選定は様々な角度から行われるため、一概には言えませんが、以下に対象となりやすい企業の特徴を挙げますので、参考にしてください。

軌道に乗り始めた

税務調査でさかのぼって調査する年数は通常3年であり、ミスが見つかるなど問題があった場合は5年、意図的な脱税などより大きな問題が発覚した場合は7年となっています。つまり起業して3年が経つと、調査するのに十分な書類がそろうことになります。起業から数年が経過し、経営が軌道に乗り始めた企業は、調査の対象にもなりやすいと言えます。

所得金額が極端に少ない

確定申告書には所得別の収入金額を記載する欄が設けられています。この記載内容と事業内容等から総合的に判断して、生活が立ち行かないような不自然な金額である場合は、調査の対象になりやすいと言われています。

提出書類がずさん・不備がある

提出書類に不備があると、申告漏れなどが疑われやすくなります。個人事業主の場合、売り上げがかなり大きくなってきていても税務監査を行っていなかったり、顧問税理士を持っていなかったりすることがあります。税理士を通していないからと言って即疑いの対象となるということはありませんが、結果として書類に不備があるケースが相対的に多くなるため、調査の対象になりやすいと言えるでしょう。

KSKシステムによる調査

税務署では国税総合管理システム(以下ではKSKシステム)を用いて、納税主体から提出された申告書に特異な数値がないかを調べています。同業種と比べ利益率が低かったり、売り上げが著しく低下していたりすると、KSKシステムで検出され、調査の対象になることがあります。これは適切な申告をしていても起こり得ることですので、おびえることなくありのままに調査を受ければよいでしょう。有益なアドバイスを受けることができるかもしれません。

よくみられるポイント

では実際に税務調査の対象になってしまった場合、どのようなことを調査されるのでしょうか。調査項目は多岐にわたりますが、重点的に見られる項目もあります。税務調査の着眼ポイントをあらかじめ把握することで、日々の税まわりの業務改善に役立てましょう。

ポイント①:期ズレ

必ずと言っていいほど見られるのが、期ズレの有無です。期ズレとは、本当は会計年度中に計上しなければならない売り上げや費用を、次営業年度に持ち越したり、逆に前倒しにしたりすることを言います。書類上では人為的に申告のタイミングをずらすことが可能なので、調査側も入念に調べます。期ズレが発覚した場合は、修正申告や更生が必要となるので注意が必要です。期ズレについては別途取り上げておりますのでそちらも参照してみてください。

ポイント②:交際費

交際費は会計上、複雑な勘定科目の一つです。自分では正しく申告しているつもりでも、会議費を交際費として計上してしまうなんてことはよくあります。そのため、これらの勘定科目に関しては入念にチェックをされるようです。日頃から税務のプロである税理士に相談し、これらの勘定科目を適切に計上しておくというのが、スマートな選択でしょう。
交際費と会議費については本サイトでも詳しく取り上げておりますので、そちらも参考にしてみてください。

日頃から心がけるべきことは?

以上を踏まえて、日々の税まわりの業務について気を付けるべき点をまとめます。税務調査にはもちろん不正を暴く側面もありますが、その大きな目的には課税の平等性があります。調査を実施することによって、日本国内の企業が適切に納税を行うことができる社会を目指しているのです。税務調査を恐れるのではなく、適切な税務を心がけましょう。

支払った領収書をコピーして保存する

必要経費として計上できるかどうかは、その事業との関連性によります。調査員に質問されてその場しのぎで答えるのではなく、自社側でも領収書等についてはきちんとデータを保存して、わからないことは調べてから答えるという体制を整えましょう。

事業用とプライベートの現金・預金口座を完全に区別する

不正をする気がなくても、事業用の口座とプライベートの口座を分けていないと、会計上の処理をする際に間違える可能性が高くなります。申告の際にいちいち振り分けるのも手間なので、事業用の口座とプライベートの口座は完全に区別しておきましょう。取引先との関係において、プライベート用の口座に金銭を振込ませて隠ぺいしているのでは、といった疑いを避ける効果もあります。

☆ヒント
ここで説明したような税務上の処理は、専門的な知識やある程度の労力を費やさなければ、なかなか完全に、正しく行うことは難しいものです。ましてや、税務調査となると相手はプロですから、生半可な知識ではかえって誤解を招いたり、疑いをかけられたりすることになってしまいます。
日頃から税務のプロである税理士に相談しておけば、このような心配をすることなく事業に集中することができます。信頼できる税理士による税務監査を定期的に受けておけば、備えは万全と言えるでしょう。

まとめ

今回は税務調査について取り上げました。税務調査は誰しもが対象となり得ますので、ここで紹介したような基本的な知識はおさえておきましょう。税理士と共に、税務調査が怖くない健全な経営を目指しましょう。

岡田桃子
東京大学卒。
卒業後は中央官庁に勤め、退官後ベンチャー企業に転職し、経理・法務などに携わる。
経理業務で得た知見や、中央官庁時代に得た法律や制度に関するナレッジを分かりやすく解説します。
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