紙保存より効率UP?電子帳簿保存法の要点を解説
紙保存より効率UP?電子帳簿保存法の要点を解説

2017/7/3

 
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国税関係帳簿を保存しなければならないことは皆さんご存知でしょう。しかし、この帳簿をすべて紙媒体で保存するとスペースも取られ、何か確認しようと思っても手間が非常にかかります。そんな問題を解消するために、これらを電子媒体で保存しても良いという電子帳簿保存法が存在します。ここでは、電子帳簿保存法について詳しく解説していきます。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、所定の要件を満たせば国税関係帳簿を電子媒体で保存しても良いと定めた法律です。この法律は、コンピューターの普及に伴い、納税者の帳簿管理の負担軽減に対する要望の声が強まったことを受けて、平成10年に施行されました。
この法律では、国税関係帳簿の保存義務を有する人が、可視性や改ざんに対する対策ができているとして税務署によって承認された場合、国税関係帳簿に記載する事項を電磁的記録、すなわちパソコン等を用いて保存することによって、国税関係帳簿の保存に代替することができます。
紙媒体で保管しているとどうしても国税関係帳簿は分厚くなり場所をとってしまい、さらにそれを数年分保管しようとするとどこに何があるかわからなくなってしまいます。そのような問題を解決するために施行されたのがこの電子帳簿保存法です。

電子帳簿保存法の具体的な内容

電子帳簿保存法が適用されれば、帳簿の保存の面では大きく手間を省くことができ、非常に便利です。では、電子帳簿保存法が適用される対象および期間、そして電子媒体で国税関係帳簿を保存するにあたって守らなければならないポイントについて解説していきます。

電子帳簿保存法が適用される対象

そもそも、電子帳簿保存法における「国税関係帳簿書類」とは、帳簿や契約書、領収書、請求書、納品書、注文書など、主に会社内外を跨いだお金の移動が関係する書類のほぼすべてが該当します。そのため伝票類は、社内での整理を目的として作成される場合がほとんどなので対象外です。
まず、最初から国税関係帳簿書類を電子計算機、すなわちパソコンなどで作成する場合に、所定の要件を満たし管轄の税務署による承認を得ることができれば、電磁的記録をもって国税関係帳簿書類の保存と代えることができるとされています。電磁的記録とは、法令上の定義では「電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの」(国税庁HP)です。これを簡単に言うと、SDカードやハードディスクなど、いわゆるパソコンで扱うことのできる記録媒体に記録されている状態を指しています。「所定の要件」については後で詳しく述べますが、簡単に言うと記録の真実性や可視性を保つために必要な条件のことです。また、税務署の承認を得ることができれば、保存にCOM(電子計算機の電磁的記録が出力されるマイクロフィルム)を用いても良いと規定されています。以上を簡単にまとめると、国税関係帳簿書類をパソコンで作成し、税務署の承認を得ることができれば、国税関係帳簿書類を紙で保存しなくてもパソコンで読み取れる媒体に保存すれば良いということです。
また、原本が紙の書類について、税務署による承認があればこれをスキャンして電磁的記録を行い書類の保存に代えることも認められています。以前は3万円を超える契約書や領収書はスキャンによる保存の対象外で、なおかつスキャンは原稿台と一体になったものでなければならないという規定がありました。しかし平成27年度、28年度それぞれの税制改正で規制が緩和され、現在は所定の要件を満たせばすべての書類に関して、スマートフォンを用いた撮影でも可能となりました。ただし、帳簿に関してはスキャンによる保存は認められていないので注意が必要です。

電子帳簿保存法において守らなければならないポイント

電子データの保存方法

電子帳簿保存法にて最も大切なのは電子データの保存方法です。最初に電子データで帳簿や書類を保存する場合の方法について守らなければならないポイントを挙げていきます。
・帳簿をパソコン等の電子計算機上で作成する場合、帳簿に記録した後に訂正や削除を行った場合これを確認することができ、なおかつ所定期間が経過した後に記帳された事項に関してはそれを確認することができるソフトを使って帳簿を作成しなければなりません。
・帳簿などのデータを保存している場所に、そのデータを計算処理できるような電子計算機、プログラム、データを表示するための一定以上の解像度をもったカラーディスプレイとプリンター、そしてこれらの操作説明書を備え付けておき、いつでもすぐに整然と明らかな状態で出力できるようにしておかなければなりません。
・帳簿の電磁的記録に関して、取引年月日、勘定科目、取引金額など、その帳簿の種類に応じた主要な記録項目を条件として検索でき、且つ日付または金額についてはその範囲を指定して検索することができ、且つ二つ以上の任意の記録項目を組み合わせて検索を行えるようにしておかなければなりません。
・電磁的記録を行っている帳簿のある記録事項と、それに関連のある記録事項が別の帳簿に存在する場合には、その関連性を確認できるようにしてかなければなりません。
・電子データを保存するにあたって、使用しているシステムの概要書や仕様書など、各種システム関連書類を備え付けておかなければなりません。
また、スキャナで保存する場合には、以下の条件を守らなければなりません。
・25.4ミリメートルあたり200ドット以上の解像度で読み取れるスキャナを使うこと
・赤、青、緑をそれぞれ256段階以上で読み取れるスキャナを使うこと
・スキャンする文書の受領もしくは作成から3日以内にタイムスタンプを付すこと
・大きさがA4以上の書類に関しては、解像度、色の階調、書類の大きさを記録すること
・大きさがA4より小さい書類に関しては、解像度と色の階調を記録すること
以上が、電子データとして国税関係帳簿書類を保存する場合に守らなければならないポイントです。

その他のポイント

まず最も重要なポイントは、紙で保存する場合と同じ年数だけ国税関係帳簿書類を保存しておかなければならないということです。法人税法、所得税法では保存しなければならない期間を最低7年間としています。そのため、データで保存する場合も同じように7年間以上保存しなければなりません。ただし、青色申告事業者のうち欠損金が生じた場合については、その年度の帳簿は9年間保存しておかなければならないということには留意しておきましょう。
そして、電子取引に関するデータ等も保存しておかなければなりません。電子取引とは、いわゆるオンラインショッピングなども含まれる、ネット等を通じた取引についてのことです。

国税関係帳簿書類の電子保存の申請にあたって必要な手続き

国税関係帳簿書類の電子保存にあたって必要な手続きは、主に税務署への申請書および添付書類の提出です。承認申請書の雛形は国税庁HPにてダウンロードすることができ、同ページには記載例も載っています。国税関係帳簿の申請と、国税関係書類の申請、そして国税関係書類のスキャン保存申請では用いる承認申請書が異なるので十分注意しましょう。
提出先は、最寄りの国税局もしくは税務署で、提出の期限は、承認を得たい帳簿もしくは書類の備付けを開始したい日の3か月前までです。必要書類は、申請書1部に加えて、帳簿もしくは書類の作成に用いるプログラムの概要を記した書類、帳簿もしくは書類の電子計算機処理の事務手続きの概要を記した書類です。申請書の記載事項を補完するために必要な書類があればこれも添付する必要があります。ただし、承認を受けようとする書類が以下のいずれかに該当する場合は、申請書を2部作成する必要があります。

・国税局において課税標準の調査及び検査を行うこととされている法人の法人税及び消費税に係る書類
・国税局において課税標準の調査及び検査を行うこととされている製造場等の酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、航空機燃料税、石油ガス税、石油石炭税、印紙税、電源開発促進税及び地方道路税に係る書類

一見手続きは簡単そうに見えますが、問題は申請書に記載しなければならない内容です。申請書には、どの帳簿あるいは書類をどの法律に基づいて保存するために申請を行うのか、明確に示さなければなりません。当然税務署からの承認を得られなければ電子保存を行うことはできませんし、再度申請するのは手間がかかる上に利用を開始できる時期も遅れてしまいます。そのようなことを防ぐためにも、書類の記入やそれに関するアドバイスを、専門的な知識を持った税理士の方から受けたうえで申請を行うことをお勧めします。

法令に違反した場合には

電子帳簿保存法に違反した方法をとっていて、悪質であると判断されると、青色申告の承認を取り消されてしまう可能性があります。青色申告を取り消されてしまうと、税金などに関する様々な特例の適用外になってしまう上、欠損金の繰越しができなくなってしまいます。青色申告の承認の解除は、実質的に会社としての信用を大きく損なうことになるので、電子データで国税関係帳簿書類を管理する場合には規則を遵守しましょう。
また、電子帳簿保存法に違反しているということはすなわち、国税関係帳簿書類を正しい方法で保管していないということになるとみなされる可能性があり、所得税法や法人税法など、その他の税法に違反しているとみなされる可能性があります。極めて悪質であると判断された場合、脱税などの嫌疑をかけられてしまう可能性もあります。十分に注意しましょう。

☆ヒント
国税関係の帳簿や書類を適切な手段で決められた年数にわたって保管しないと、青色申告の承認取り消しや、場合によっては所得税法違反や法人税法違反とみなされ、厳しい処罰を受けることになると同時に、企業としての信用を失ってしまいます。紙で保管する場合は、ある場所にまとめて保管しておけばよかったですが、電子データで保存する場合は細かい規定があるので更なる注意が必要です。
帳簿や書類の保管についてのトラブルを避けるためにも、専門的知識を持っている税理士の方からのアドバイスを受けましょう。ビスカスでは、多数の税理士を紹介しておりますので、各企業様の経営形態にあった税理士の方を見つけられるでしょう。

まとめ

電子帳簿保存法を上手に活用すれば、大量の書類を保管せずに済むうえ、自社の帳簿などの管理も非常に楽になり、経営にはメリットが大きいでしょう。一方で、正しい方法で管理が行われていなかった場合には、青色申告の取り消しという非常に厳しい処罰を受けることになってしまう可能性があります。このようなことを避けるためにも、専門知識のある税理士の方と契約し、帳簿や書類などの適切な管理に努めましょう。

山本麻衣
東京大学卒。現、同大学院所属。
学生起業、海外企業のインターンなどの経験を経て、外資系のコンサルティング会社に内定。
自分の起業の経験などを踏まえてノウハウなどを解説していきます。
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