中小企業への支援拡大?
中小企業者必見の平成29年度税制改正のポイント
中小企業への支援拡大?  中小企業者必見の平成29年度税制改正のポイント

2017/6/21

 
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平成29年度の税制改正では、中小企業に関する変更点が数多くあり、新たに減税が適用される項目がある一方で、場合によってはこれまでの制度が適用されなくなってしまう項目もあります。ポイントを抑え、税制改正をフルに活用していきましょう。

地域経済を牽引する企業向けの投資促進税制の創設

今回の税制改正で、地域未来投資促進税制と呼ばれる新たな投資促進税制が作られました。この制度は、地域の強みを活かし、そこでしかできない先進的な事業を企業が始める際に必要な設備投資を、減税措置によって強力に後押しする目的で作られました。こうした地域の特色を活かした事業は将来的には地域の活性化につながると言われ、期待されています。

該当事業内容

税制措置を受けるための条件は以下の3点に集約されます。
・都道府県の策定する基本計画に合致していること
・地域経済に対して高い波及効果があること
・国内外における競争力を有すること
以上の観点から、都道府県より認定を受けた事業計画の中でも、高い先進性を持つと国に認定されたものについては、減税措置を受けることが可能になります。特に二つ目の項目が重視されており、地域活性につながるような事業には、国が積極的に協力する姿勢を見せていると言うことができるでしょう。

主な事業例として
・先端技術を活かした成長ものづくり分野(医療機器、航空機等)
・第4次産業革命関連分野(IOT、ビッグデータ、AI等)
・食関連・地域商社(農水産品の海外市場獲得等)
・新たなニーズをターゲットにした観光・商業、スポーツ活用ビジネス(スポーツスタジアム等)
・健康・教育関連サービス
などが該当します。

税制措置の具体的内容

本税制は、以下の要件を満たした場合について、特別償却又は税額控除を選択適用ができる制度です。

適用期間

「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律」の一部を改正する法律の施行の日から平成31年3月31日までの間

適用要件

1. 青色申告書を提出する事業者で、「地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律」の承認地域経済牽引事業者であること
2. その事業者の行う承認地域経済牽引事業に係る促進区域内においてその承認地域経済牽引事業に係る承認地域経済牽引事業計画に従って特定地域経済牽引事業施設等(取得価額が2,000万円以上のもの)の新設又は増設をすること
3. その新設又は増設に係る特定地域経済牽引事業施設等を構成する機械装置、器具備品、建物等及び構築物(以下、特定事業用機械等)の取得等をして、その承認地域経済牽引事業の用に供したこと

措置内容

以上の要件を満たした場合、以下の特別償却と特別税額控除のいずれかを選択適用することができます。ただし、特別税額控除額については、当期の税額の20%相当額を限度とします。

・特別償却
取得した特定事業用機械等の取得額(その特定事業用機械等に係る一の特定地域経済牽引事業施設等を構成する機械等の取得価額の合計額が100億円を超える場合には、100億円にその特定事業用機械等の取得価額がその合計額のうちに占める割合を乗じて計算した金額)の40%(建物等及び構築物については20%)相当額の特別償却をすることができます。

・特別税額控除
取得価額の4%(建物等及び構築物については2%)相当額の特別税額控除の措置を受けることができます。

対象設備 特別償却 税額控除
機械・装置 40% 4%
器具・備品 40% 4%
建物・附属設備・構築物 20% 2%

また、特別償却の適用には、確定申告書等に償却限度額の計算書に関する明細書の添付が必要になり、税額控除の適用には、確定申告書等に取得価額、控除を受ける金額及び金額の計算に関する明細を記載した書類の添付が必要となります。どちらを適用すれば良いか、適用を受けるためにはどのような書類を準備する必要があるかなど、税制や節税に詳しい税理士と相談すると良いでしょう。

中小企業投資促進税制等の拡充等

平成28年度までの税制においても、中小企業の投資及び経営全般に対して支援するような仕組みが取り入れられてきました。今回の税制改正ではさらにそれらの拡充が盛り込まれています。大きく分けて以下の3つとなります。

固定資産税の特例の拡充

平成28年に中小企業等経営強化法によって定められた中小企業の固定資産税の特例措置をさらに拡充するものです。具体的には中小企業者が取得する新規の機械装置について、一定の要件を満たした場合には3年間固定資産税を半分に軽減するという制度内容となっています。

中小企業経営強化税制の創設

中小企業投資促進税制の上乗せ措置を改組する形で新たに創設された中小企業経営強化税制では、対象の設備等を平成29年度から平成30年度の間に購入した場合、税制措置として即時償却または7%税額控除のどちらかを選択することができるようになります。うまく利用すれば非常に大きな節税効果を得ることができます。

中小企業投資促進税制の延長

これまでの中小企業投資促進税制の適用期間が平成30年度末まで延長されました。内容も一部改正され、対象業種の幅も広く適用されやすい制度となっています。

詳しくは「“攻めの投資”を可能にする中小企業税制措置拡充について解説【平成29年度税制改正】」において解説しておりますのでそちらもぜひ参照してみてください。

☆ヒント
税制はかなり細かく分類され、変更内容も複雑となっているため、思わぬ見落としや対象範囲内の特例措置を受けていないといった可能性があります。これらの利得を見逃さないためにも、この機会に税理士へ相談し、改正された税制のフル活用を目指されてはいかがでしょうか。

中小企業向けの租特適用要件の見直し

税制改正に伴い中小企業の積極的な事業拡大が推進される一方で、資本金一億円以下の中小企業に対する課税強化策も明示されました。法人税関係の中小企業向けの各租税特別措置について、平均所得金額が年15億円を超える事業年度の適用が廃止されます。平均所得金額とは、前三事業年度の所得金額の平均のことです。

すなわち、資本金が1億円以下である等の一定の要件を満たす中小企業のうち、利益を多く生み出している企業については、節税対策が重要な位置づけになってくると思われます。そのため、税理士と相談し適切な方法で節税対策を行うことを推奨します。

☆ヒント
税制には適用要件や適用期間がそれぞれ決まっているので、全ての税制についてそれらを把握し、適切な対策を講ずることは非常に難しいので、税理士と相談することをおすすめします。

まとめ

平成29年度の税制改正の中でも主に中小企業の事業者がチェックしておきたい項目について確認してまいりました。更に詳しく検討するには専門的な知識も必要になってきます。税制改正のポイントを的確におさえ、経理上の損失を抑えるためにも税制のプロである税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

株式会社プロジェクトカンパニー 松本孝輝
東京大学卒。在学中は経済工学や産業組織論を中心に専攻。
現在はコンサルティング会社に勤務し、ITを用いた集客やブランディングなど専門にコンサルティング業務を行う。
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