個人事業を始める前に!開業届に関するポイント解説
個人事業を始める前に!開業届に関するポイント解説

2017/5/24

 
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開業届とは新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続です。本記事では、個人事業主として独立する前に知っておきたい、開業届のメリットや提出時の注意点を解説していきます。

開業届とは?

開業届とは、国内で新たに事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業を開始する際に必要な手続きの一つで、その日から1ヶ月以内に提出しなければなりません。開業届は国税庁のHPからダウンロードするか、最寄りの税務署で書式を受取り、必要事項を記入して納税地所轄の税務署に持参又は郵送することで手続きは完了します。
しかし、実際のところ未提出のまま業務を行っている個人事業主もおり、開業届を提出するかどうかでどのような違いがあるでしょうか?

個人事業主になるために必要な書類一覧

はじめに、事業を始める際に必要な手続きについて見ていきましょう。開業届の他にも事業を開始する際には下記のような書類の提出が必要となります。

個人事業開始等申告書

開業届と似た名前ですが、こちらは地方税の管轄なので別途提出する必要があります。
・期限:
提出都道府県による
・提出先:
都道府県税事務所

所得税の青色申告承認申請手続

・期限:
青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後新たに事業を開始した場合又は不動産の貸付けをした場合にはその事業開始等の日(非居住者の場合には事業を国内において開始した日)から2ヶ月以内)。
・提出先:
納税地所轄の国税局

青色事業専従者給与に関する届出手続

・期限:
青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人はその開業の日や専従者がいることとなった日から2ヶ月以内)。
・提出先:
納税地所轄の国税局

たな卸資産の評価方法及び減価償却資産の償却方法の届出書

・期限:
新たな事業を開始した日の属する年分の確定申告期限
・提出先:
納税地所轄の国税局

また、従業員を伴う場合はこれらの他にも下記のような書類の提出が必要となります。
・給与支払事務所等の開設届出書(開設した日から1ヵ月以内、納税地所轄の国税局)
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(時期は特に定められていません、納税地所轄の税務署)
・労働保険関係成立届(従業員を雇い入れてから10日以内、労働基準監督署)
・労働保険概算保険料申告書(従業員を雇い入れてから50日以内、労働基準監督署又は都道府県労働局又は日本銀行)
・雇用保険適用事業所設置届(従業員を雇い入れてから10日以内、ハローワーク)
・雇用保険被保険者資格取得届(従業員を雇い入れた翌月の10日まで、ハローワーク)
・健康保険・厚生年金保険新規適用届(5人以上の従業員を雇い入れてから5日以内、日本年金機構事務センター)

中には期限が短いものもあり、これらを全て調べあげて適切な方法で提出することは大変手間のかかる作業と言えます。これらの書類を適切に提出するためには税務のプロである税理士に相談するとよいでしょう。

開業届を提出するとできること

青色申告

青色申告を行うと、青色申告特別控除、青色事業専従者給与、貸倒引当金、純損失の繰越しと繰戻しなどといった制度によって、節税効果が得られると知られています。青色申告は、事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき業務を行う事業主のうち、「所得税の青色申告承認申請」を行った者に承認されます。

青色申告による節税効果は、特に青色申告特別控除と純損失の繰越しと繰戻しで非常に高くなっています。青色申告特別控除では、正規の簿記による記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して申告している場合には、最大65万円を控除することが可能です。
また純損失の繰越しと繰戻しでは、事業所得に赤字のある場合に定められた金額を所得から控除できる損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額について、翌年以後3年間にわたって繰越し、各年分の所得金額から控除等することが可能です。

一方で青色申告の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような正規の簿記によることが原則となっており、やや手間がかかります。簡易帳簿による記帳も可能ですが、一部控除を受けられなくなってしまうので注意が必要です。

銀行口座開設

また開業届は個人事業主が屋号付き銀行口座を開設する際に必要となります。社会的信用を得るためや個人名をふせるために屋号付き銀行口座を持つ場合は開業届の提出が不可欠です。

開業届提出の注意点

業種で異なる事業税の税率

個人事業のうち法律で定められた業種に対して課せられる個人事業税は、業種によって税率が異なります。
第1種事業(物品販売業や保険業など)では事業税が5%なのに対し、第3種事業(医業に類する事業等)には3%のものもあります。開業届提出時の業種申請の際に類似の業種にしてしまったために損をするといったことを避けるために、念のため注意が必要です。

失業保険が受け取れない

個人事業主の方が雇用保険に加入している場合、新たな事業を始めるまでの間失業保険の手当を受け取ることができますが、開業届の提出が完了してしまうと失業保険の手当を受け取ることができなくなってしまいます。
開業届を提出した日付よりも後に受け取ってしまった手当は不正受給とみなされる場合があり、不正受給を続けていると受給分の3倍もの金額の支払いを命ぜられたり、以後手当を受け取ることができなくなったりする恐れがあるため注意しましょう。

☆ヒント
個人事業を始めるには、他にも税務署への届出等にマイナンバーの記載が義務付けられ、その際に本人確認書類も添付させる必要があるといったような、いくつか手間のかかる作業が必要となります。
適切な開業届の提出時期や申請方法に詳しい税理士へ相談することで、こういった申請の負担を軽減することができるので、是非税理士を利用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

開業届は個人事業を始める際の重要な手続きの一つです。これまでに述べてきた通り開業届の提出により多くのメリットを得ることができる一方で、見落としがちな注意点が幾つかあります。
開業の際には税務のプロである税理士によく相談をして、適切に開業手続きを行いましょう。

岡田桃子
東京大学卒。
卒業後は中央官庁に勤め、退官後ベンチャー企業に転職し、経理・法務などに携わる。
経理業務で得た知見や、中央官庁時代に得た法律や制度に関するナレッジを分かりやすく解説します。
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