経営改善しながら税制優遇を受けられる?
商業・サービス業・農林水産業活性化税制を解説
経営改善しながら税制優遇を受けられる?  商業・サービス業・農林水産業活性化税制を解説

2017/5/17

 
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法人税や所得税など、事業を行っていく上で支払わなければならない税金には様々なものがあります。これらの税金はなるべく節税し、支払う金額を少なくしていきたいものです。節税方法は数多く存在しますが、その中でも商業・サービス業・農林水産業活性化税制という税制をご存知でしょうか。本記事ではこの税制に関して、制度の概要・期間・適用条件・手続き・対象設備などを詳しく解説していきます。

商業・サービス業・農林水産業活性化税制とその特徴

商業・サービス業・農林水産業活性化税制とは

この制度は、商業・サービス業などを営む中小企業者等が、経営改善に効果のある設備を導入した場合に、特別償却または税額控除が認められるというものです。
具体的には、器具備品、建物附属設備などを取得や製作等した場合に、
・取得価額の30%の特別償却
・取得価額の7%の税額控除
のいずれかを選んで適用できるようになっています。特別償却と税額控除の違いについては、以下で説明していきます。

特別償却と税額控除

減価償却

特別償却や税額控除について見る前に、企業会計における一般的な購入費用の認識のひとつである、減価償却について少し説明します。
減価償却とは、年数の経過や使用によって価値が減少する資産を取得した際に、取得にかかった費用を法律で定められた耐用年数に応じて分割し、必要経費として計上していくことをいいます。つまり、買った時点で全ての費用を経費とするのではなく、以後何年間かに分けて少しずつ経費として計上していくということです。

特別償却

減価償却に対して特別償却とは、通常の減価償却に加えて特別な減価償却を費用に算入する方法であり、経費の一部の減価償却費が前倒しで費用に加えられるということになります。結果としてかかる費用は減価償却と比べて変わりませんが、早い段階で多くの経費を計上することができる点は大きなメリットとなります。

税額控除

一方で税額控除とは、計算された所得税額から直接一定の金額を差し引くことができるというものです。税額控除を選択できる対象法人は、資本金が3,000万円以下の中小事業者と個人事業主に限られます。
なお税額控除できる金額は、事業年度の税額の20%が上限となります。これを上回った部分については、1年間繰越が認められます。

商業・サービス業・農林水産業活性化税制の期間と適用条件

期間

この制度は、平成29年3月31日までに対象設備を取得・製作等して指定事業の用途として用いた場合に適用されます。

適用条件

本制度が適用されるためには、「特定のアドバイス機関」から、経営改善に関する指導や助言を受けたことを明らかにする書類の交付を受けた、青色申告書を提出する「特定中小企業者等」である必要があります。
ここでいう「特定のアドバイス機関」とは、認定経営革新等支援機関、商工会議所、商工会、都道府県中小企業団体中央会、商店街振興組合連合会、農業協同組合、農業協同組合連合会、農業協同組合中央会、都道府県農業会議、森林組合、森林組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、都道府県生活衛生営業指導センター、を指しています。

また、「特定中小企業等」とは、
・資本金または出資金の額が1億円以下の法人
・資本金または出資金を有しない法人のうち、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主
・中小企業等協同組合、出資組合である商工組合、商店街振興組合
を指しますが、
・大規模法人から2分の1以上の出資を受ける子会社
・2つ以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける子会社
・アドバイス機関
は対象に含まれません。

対象設備

対象設備としては、
・省令での定められた「建物附属設備」で1台の取得価額が 60 万円以上のもの
・「器具及び備品」で1台又は1基の取得価額が 30 万円以上のもののうち、経営の改善に資するために取得したもの
となります。
なお、「建物附属設備」、「器具及び備品」に含まれる資産は以下の表のとおりです。

建物附属設備 器具及び備品

・電気設備
・給排水又は衛生設備及びガス設備
・冷房、暖房、通風又はボイラー設備
・エアーカーテン又はドアー自動開閉設備
・アーケード又は日よけ設備
・店用簡易設備
・可動間仕切り 等

・家具、電気機器、ガス機器及び家庭用品
・事務機器及び通信機器
・時計、試験機器及び測定機器
・光学機器及び写真製作機器
・看板及び広告器具
・理容又は美容機器
・娯楽又はスポーツ器具 等

適用のための手続き

本制度の適用に際しては、いくつかの手続きが必要となります。以下、三種類に分類して見ていきます。

個人事業主が行う手続き

特別償却を選択する場合

青色申告決算書の「減価償却の計算」の「㋬割増(特別)償却費」の欄に特別償却の額を、「適用」の欄に特例名(「措法 10 条の5の2」)を記入します。
税額控除を選択する場合
「特定中小事業者が経営改善設備を取得した場合の所得税額の特別控除に関する明細書」を確定申告書に添付します。

法人が行う手続き

特別償却を選択した場合

法人税の確定申告書に「特別償却の付表」(特定中小企業者等が取得した経営改善設備の特別償却の償却限度額の計算に関する付表)と「適用額明細書」を添付します。

税額控除を選択した場合

法人税の確定申告書に「別表」(特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書)と「適用額明細書」を添付します。

個人事業主・法人が共通で行う手続き

アドバイス機関から指導助言を受けたことを明示する書類として、中小企業者等の氏名・名称、 取得する設備の明細、アドバイス機関の氏名・名称、アドバイス機関の住所・所在地、アドバイスを行った年月日、アドバイスの内容等が記載されたものを用意する必要があります。書式については、中小企業庁のホームページを確認してみてください。

☆ヒント
特別償却と税額控除のどちらを選択するべきかについては、それぞれ企業のケースによって異なります。
具体的な適用については、専門の税理士などに相談してみると良いでしょう。例えば税理士紹介を行っている株式会社ビスカスでは、税制に精通した税理士を多数紹介しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。商業・サービス業・農林水産業活性化税制をうまく活用することで節税につなげていくことができます。一方で、本制度では特別償却と税額控除の選択や手続き等、自分で行うには大変なものもあるため、専門の税理士に相談することが大切です。

山田隆裕
慶應大学卒。現、同大学院所属。
大学4年時に公認会計士試験に突破。
自分の知識の定着も兼ねて、会計・財務などに関する知識を解説していきます。
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