中小企業の強い味方! 国が定める特別減税制度とは
中小企業の強い味方! 国が定める特別減税制度とは

2016/11/15

 
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中小企業にとって、法人税の支払いは重くのしかかりますが、国が中小企業を後押しする、特別減税制度を多数用意していることを知っていますか?
今回は特別減税制度のうち、節税効果が高い3つの制度について詳しく解説していきます。

投資促進税制の活用

投資促進税制とは、中小企業に設備投資を積極的に行ってもらうために、国が定めている減税制度です。その内容は、指定期間のうちに定められた設備投資を行うことで、法人税を減額することができるというものです。企業の範囲・取得する資産がそれぞれの条件を満たしていれば、高い節税効果を得られることになります。

「中小企業者」の範囲

この税制を受けることができる企業は、以下の条件を満たしているものです。

法人

・資本金が1億円以下の法人(大規模法人の子会社は除く)
・資本金を持たない法人のうち、常時使用する従業員の数が1000人以下の法人企業

個人

常時使用する従業員の数が1000人以下の個人

その他

農業協同組合等

対象となる資産

投資促進税制の対象となる資産は、平成10年6月1日から平成29年3月31日までに取得した新品の機械や装置のことで、以下ものが該当します。

機械及び装置

1台の取得価格が160万円以上のもの

器具及び備品

1台の取得価格が120万円以上の電子計算機、又はインターネットに接続されたデジタル複合機

ソフトウェア

1つの取得価格が70万円以上のもの

貨物運送用車両運搬具

貨物の運送に供される普通自動車で総重量が3.5トン以上のもの

減税額

投資促進税制では、30%の特別償却か、7%の特別控除を受けることが可能です。それぞれの性質を知った上で、自社にメリットがある方を選びましょう。

特別償却

償却という仕組みは、資産を取得した際に一定期間をもって、毎年少しずつ経費として計上するというものです。しかし投資促進税制での30%の特別償却を受けると、取得価格の30%を初年度に一度に経費として計上することが可能となります。
短期的に見るとメリットが大きそうな仕組みですが、節税効果があるのは初年度だけで、経費として計上する総額は変わりません。結局のところ、数年単位でみれば税額は変わらないため、減税の観点から言うと望ましい選択とは言えないでしょう。

特別控除

特別控除とは、購入価格の比率に応じた分だけ法人税を減税できる制度です。控除される額は、
・資産の取得価格の7% (税額控除額)
・その事業年度の法人税額の20% (税額控除限度額)

のうち、少ない方の金額になります。
例えば、条件を満たした200万円の資産を取得していて、その年度の法人税額が70万円以上の場合、200万円×7%=14万円の減税が可能となります。

研究開発税制を使った試験研究費の減税

研究開発税制とは、中小企業の製品製造や技術改良・発明などを支援するため、試験研究費を対象として税額控除を行う税制のことです。
ここでいう試験研究費とは、以下の条件のいずれかを満たすものになります。
・その試験研究を行うために要する原材料費と人件費、及び経費
・委託して研究開発を行う場合、委託に対して発生する支払い費用
・技術研究組合法第9条1項に規定される、技術研究組合の事業に要する費用

研究開発税制は、常に適用される恒久措置と、年度によって適用されうる上乗せ措置の2つに分けることができます。

恒久措置

試験研究費総額にかかる控除制度

この制度は、青色申告書を提出する法人が対象で、当該事業年度の試験研究費に対して最大10%控除する制度です。
試験研究費割合(各事業年度の平均売上金額のうち試験研究費が占める割合)を考慮して、控除率が定められます。

特別試験研究費にかかる控除制度

この制度は、大学や特別研究機関と共同で行う研究や委託して行う研究がある場合受けられる控除制度です。試験研究費総額にかかる控除制度に加えて、試験研究費の最大12%分が控除され、その上限は法人税額の25%です。対象となる研究がより限定される代わりに、控除率も高くなっているという特徴があります。

中小企業技術基盤強化税制

ひとつめの投資促進税制で示した「中小企業者」の範囲に当たる場合、上の2つの税制に代えて、一律で試験研究費の12%の控除を認めるものです。上限は法人税額の25%です。
例えば、試験研究費の総額が100万円で、その事業年度の法人税額が48万円以上の場合、100万円×12%=12万円の減税が可能となります。

上乗せ措置

上乗せ措置には「増加型」と「高水準型」の2つの制度があり、どちらかを選択することができます。

「増加型」を満たす条件

増加型と呼ばれる上乗せ措置は、試験研究費が過去3年平均より増加した場合の控除制度で、以下の2つの条件を満たすことが必要となります。
・「前年と比べた試験研究費の増加額」>「過去3年の試験研究費の平均額×5%」
・「その年の試験研究費」>「過去2年の試験研究費のうち多い方」
控除される額は増加した試験研究費の5〜30%で、その上限は法人税額の10%です。

「高水準型」を満たす条件

高水準型は、試験研究費の売上高に占める割合が10%を超える場合、超えた部分に応じて税額を控除することができる制度です。その控除額は、
・試験研究費-平均売上金額×10%(超過額)
・(試験研究費割合から10%差し引いた割合)×0.2(控除率)
をかけ合わせたものになります。その上限は法人税額の10%です。

所得拡大促進税制・雇用促進税制による法人税控除

経済産業省の所得拡大促進税制、厚生労働省の雇用促進税制と管轄は違いますが、この2つの制度は選択適用で、どちらか1つしか適用することができません。しかしどちらもメリットの大きい優遇政策なので、性質を理解した上でどちらかを選びましょう。

所得拡大促進税制

この税制は、雇用者給与などの支給額を増加させた場合、その増加額の10%を法人税から控除できる制度です。その上限は、法人税の10%、中小企業は20%です。
平成27年度から適用の要件が緩和され、中小企業者を中心に適用されやすくなったのが特長です。以下の3つの条件を満たした法人や個人事業主が、利用することができます。

雇用者給与等支給額が基準年度の給与支払額より一定割合増加していること

ここでいう給与は、役員や役員の親族など、所得税非課税の給与を除いたものです。必要となる増加促進割合は、以下の表のとおりです。

 

適用年度 平成25年度以後に開始する最も古い事業年度の1前の事業年度 平成25年度〜
平成26年度
平成27年度〜
平成29年度
促進割合
(中小企業)
基準事業年度 2% 3%(緩和後)
雇用者給与等支給額が前年度以上であること
平均給与等支給額が前年度を上回っていること

ここでいう平均給与等支給額とは、継続雇用者1人あたりの月割りの平均給与のことをいいます。

雇用促進税制

雇用促進税制とは、条件を満たした雇用者数増加を果たした事業主が、法人税の税額控除を受けられる制度です。

対象となる事業主

・青色申告書を提出する事業主であること
・適用年度とその前年に、事業主都合による離職者がいないこと
・適用年度に雇用者を5人以上(中小企業の場合は2人以上)、かつ10%以上増加させていること
・雇用者給与等支給額が、 前年度の給与等支払額×(1+(雇用増加割合)×30%)以上であること
・風俗営業等を営む事業主ではないこと
ひとつの注意点としては、適用年度の開始2ヶ月以内に「雇用促進計画」をハローワークに提出する必要があることです。 これらの条件を満たすと、雇用者を1人増やすごとに40万円の税額控除を受けられるため、非常に大きな減税効果が得られるといえるでしょう。

まとめ

今回紹介した効果の高い減税制度の中でも、投資促進税制の特別控除、中小企業技術基盤強化税制、所得拡大促進税制・雇用促進税制は、特に中小企業に優しい制度です。これらをうまく活用し、効果的な法人税対策を行いましょう。

細井山豊
東京大学卒。現、同大学院所属。
ベンチャー企業の経営やビジネスを学んでおり、経営に役立つ様々な知識やノウハウを習得中。
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