他人事ではない!?
不適切会計処理をしていないか注意しましょう
他人事ではない!?  不適切会計処理をしていないか注意しましょう

2017/3/25

 
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最近、日本の大企業による「不適切会計」「粉飾決算」という言葉が大きく報道されています。このような不適切会計は、大企業のみの問題ではなく、中小企業や個人事業主の方にも身近に起こりうる問題です。
この記事では、不適切会計とはそもそも何なのか、その原因は何なのか、不適切会計が発覚した時には何が起こるのか、その防止策としては何があるのかについて、解説していきます。

不適切会計処理とは何か?

不適切な会計処理とは、「意図的であるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる、又はこれを誤用したことによる誤り(監査・保証実務委員会研究報告第25号)」とされています。

つまり、不適切な会計処理とは、故意か否かにかかわらず、財務諸表に関して虚偽の申告を行った場合を指し、意図的なものだけでなく会計処理上のケアレスミス等も含みます。また、財務諸表に関して虚偽の申告を意図的に行ったことが明確な場合には、「不適切」ではなく「不正会計」という言葉が使われます。

不適切会計が発生してしまう原因とは?

不適切会計と一重にいってもそれが発生する原因は様々です。ここでは、不適切会計の発生する原因を①組織の経営層が関わって引き起こされる場合、②組織の風土・ガバナンスが問題となって引き起こされる場合、③人為的なミスによって引き起こされる場合に分けて解説していきます。

(1) 組織の経営層が関わって引き起こされる場合

不適切な会計処理はしばしば組織的に行われることがあります。その主な動機としては以下のものが挙げられます。

・金融機関、株主等のステーク・ホールダーから資金を調達するため
金融機関から新たに融資を得たり、あるいは継続して融資を受けたりするために、資金繰りを良く見せようと虚偽の申告を行なうことがあります。また追加的な債券や株式の発行が必要な場合、それらを株主に買ってもらうために、損失の隠蔽が行われることがあります。

・会社の業績が悪化することで、経営者や監査役等の個人資産に悪影響が及ぶ場合
経営者の報酬が株式や業績に連動している場合、それらを減らさないために、業績に関して虚偽の報告が行われることがあります。

・公共事業の入札を勝ち抜くため
国や地方自治体による公共事業で入札資格を得るためには、しばしば企業の財務状況や経営能力を評価する「経営審査」が行われることがあります。それを切り抜けるためには、自社の財務状況をより良い状態に見せる必要があります。また、入札に勝つために、具体的な裏付けのないコスト削減策が含まれた工事原価総額が使用され、工事原価総額が過小に見積もられることがあります。

(2) 組織の風土・ガバナンスが問題となって引き起こされる場合

不適切会計は、組織の従業員によって引き起こされることもよくあります。具体的には、次のような原因が挙げられます。

・利益や売上目標の達成に対するプレッシャーが従業員に対し過度にかかる場合
組織における昇進や賃金を決定する上で、売上・利益目標の達成が非常に重要である場合、実際には目標を達成できていないところを達成したと見せかけるために、不正を働く可能性が高くなります。

・社内の会計処理に関する管理体制の不備によって引き起こされる場合
社内の会計処理の承認事務が有効に機能していない場合や、会計処理に関する権限が少数に集中している場合、他にも社内での情報共有が十分に行われていない場合、従業員による着服等の不正な会計処理が引き起こされやすくなります。

(3) 人為的なミスによって引き起こされる場合

不適切な会計処理は、意図的に引き起こされるものだけではありません。例えば、知識不足による会計処理の適用誤りや事実の見落とし、勘違い、さらには給与計算誤りのようなケアレスミス等の人為的なミスによって引き起こされることもあります。

不適切会計がバレたらどうなるか?

不適切会計を行った場合、会社法と呼ばれる法律によって処罰の対象となることがあります。例えば、会社法では「役員等の第三者に対する損害賠償責任」に関する項目があります。これによると、粉飾決算等で財務諸表に関して虚偽の申告をし、それによって第三者に損害を与えた場合、取締役は会社として連帯して損害を賠償する責任を負う必要があります。

また、不適切会計によって会社の財産を危うくした場合には、上述した損害賠償等の民事責任とは別に、5年以下の懲役あるいは30万円以下の罰金による刑事罰が科される可能性があります。

このように、不適切会計を行ってしまった場合、刑事責任・民事責任が問われ、法律によって罰せられることがあります。また、一度不適切な会計処理を行ってしまうと、それを隠蔽するためにさらなる不正が行われ、気づいたら大きな額に膨らんでしまうことがあります。さらに、不適切会計処理は、一度発覚すると会社の信用を大きく損なうことにもなるため、不適切会計処理が行われないよう、対策を十分に取る必要があるといえます。

不適切会計の防止策

不適切会計を防止するためには、不正を起こさせない組織風土・組織システムの構築のほかに、意図しない会計上のミスを未然に防ぐための対策が必要となります。具体的には、以下のような防止策が考えられます。

(1) 決算・財務報告プロセスにおけるチェック体制の強化

不適切会計を事前に防ぐ手段として、決済時の統制手続きの徹底が挙げられます。例えば、決済・財務報告プロセスにおける承認プロセスを有効に機能させるために、マニュアルの更新や業務手順書のアップデートを行なうことが挙げられます。そうすることで、業務プロセスにおける単純なミスだけではなく、不正な会計処理を発見できる可能性も高まります。

(2) 職場の風土の改善

不適切な会計処理を見逃さず従業員が内部通報を行えるよう、従業員の教育を徹底することも対処策の1つであると言えます。また、内部通報を行った従業員が保護されるような仕組みづくりも重要といえます。

さらに不適切な会計は、会計処理の業務に少数の人間のみが関わっているなどして、情報共有が十分に行われていない場合に起こりやすくなります。ですので、職場内で会計業務に関して情報共有をしっかり行なうことも防止策として挙げられます。

(3) 会計業務に関する知識を身につける

不適切な会計処理は、例えそのつもりがない場合でも行ってしまっていることがあります。例えば、会計処理に関して十分な知識を持っていない場合、会計処理の適用誤り等、結果的に不適切会計を行ってしまっていることがあります。このような事態を防ぐために、会計処理に関して十分な知識を習得するとともに、不明な点がある場合には、税理士等の専門家に相談することも有効な防止策の1つとして考えられます。

☆ヒント
意図して不適切会計を行えばそれは不正会計と見なされ、刑事責任を問われる事件まで発展する可能性があります。一度始めてしまうと、過去の不正会計を隠すために虚偽申告を行う…すなわち嘘を嘘で塗り固めるような経営に陥りかねません。
適切な会計処理を行うことは、会社を健全に運営していくためには必須要件といえます。税理士から会計に関する知識を教えてもらったり、正しい節税対策を指南してもらったりすることが重要です。

まとめ

不適切会計は大企業だけの問題ではなく、自分の会社など身近に起こりうる問題です。自分の会社は大丈夫なのか、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

株式会社プロジェクトカンパニー 松本孝輝
東京大学卒。在学中は経済工学や産業組織論を中心に専攻。
現在はコンサルティング会社に勤務し、ITを用いた集客やブランディングなど専門にコンサルティング業務を行う。
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