中小企業が注意するべき間違った決算対策3選
中小企業が注意するべき間違った決算対策3選

2017/2/5

 
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本来収益増は望ましいものですが、その分課税所得金額が増大して法人税も増大するので多くの経営者の方々は節税対策を考えるでしょう。ほとんどの中小企業経営者の方々が思いつく対策は損金を増やして課税対象を減らすと言ったものです。この節税対策はメジャーですが、中には度を越した対策も紹介されています。この記事では、中小企業が注意するべき間違った決算対策を説明します。

役員賞与の支給

経営者の心理からしたら、ベースとなる役員報酬による支出はなるべく抑えて、利益が出たときだけ役員賞与を出して損金を増やしたいと考えるのも当然でしょう。しかし、残念ながら役員賞与を損金加入させるためには事前確定届出給与を提出する必要があります。これによって、決算前に役員賞与を支払うことにり利益調整を行い、節税することはできなくなっています。

以下のうち早い日が届出期限となり、役員賞与を損金加入として認められるのは、この届出期限を守った場合に限ります。
●株主総会等の決議により「事前確定届出給与」の定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日より後である場合にはその開始する日)から1か月を経過する日
●その会計期間開始の日から4か月を経過する日
また、届け出た額よりも支給額に過不足が生じてしまうと、損金として認められないので注意が必要です。しかし、業績悪化などにより事前に決めた報酬額を支払えない場合は、一定期間内に事前確定届出給与に関する変更届を提出することも可能なので、そのようなときは税理士に相談すると良いでしょう。

利益の変動が大きい場合、役員賞与による節税はリスクを伴ってしまうので、あまり有効な節税対策とは言えません。実際、役員賞与を使って節税対策をしている会社は少ないようです。

一方で、役員報酬は中小企業において最も重要な節税対策のひとつなので、要件を抑えておく必要があります。損金算入できる役員報酬は大まかに以下の3つに分類されます。
(1)定額同額給与
1か月以下の単位期間ごとで、その事業年度のおける支給額が一定である給与
(2)事前確定届出給与
納税地の所轄税務署長に事前確定届出給与に関する定めの内容に関する届出をしている給与
(3)利益連動給与
同族会社以外の法人が以下の3つの要件を満たす場合に限られています。
 ・損金経理をしている
 ・有価証券報告書に記載される利益の状況を示す指標の数値が確定した後1か月以内に支払われる見込みがある
 ・支給額の算定方法が利益の状況を示す指標の数値を基にした客観的な方法である

高額減価償却資産の購入

課税対象所得を減らすため、高級外車や不動産を購入して損金を増やす節税対策を紹介していることが見受けられますが、これは誤りであるケースが多いので注意が必要です。仮に高額減価償却資産を購入したとき、購入した初年度は、購入時からその事業年度末までの分しか償却をすることができません。収益増の見込みが立ち、急遽節税対策として自動車を購入したケースを考えてみましょう。

2月に500万円の自動車を新車で購入し、3月に決算を行うとします。つまり2月と3月の2ヶ月分償却を行うことになります。一般用の普通自動車の法定耐用年数は6年です。このとき、購入年度の償却額は、500×{1÷(6年×12か月)}×2か月≒14万円です。14万円を損金として計上することで節税できる法人税額は3万円弱が良いところでしょう。
高額の減価償却資産が必要であれば良いのかもしれませんが、節税だけを目的として考えるのならば、あまりにもったいない資金の使い方になってしまいます。

接待費

接待は税法上「交際費」という勘定に分類されます。中小法人の場合、年800万円まで交際費を全額損金算入するか、あるいは、飲食のために支出した費用の50%までを損金算入するかのどちらかを選ぶことができます。

しかしながら、損金算入だけを目的として過剰な接待をするのは本末転倒でしょう。納税額は減る一方で、企業の自己資金も減らすことになるので無意味な接待や過剰な接待は控える方が賢明です。

保険

法人保険に加入して保険料を損金算入することで、法人税を節税できるとされています。算入金額は保険商品により、全額損金や1/2損金など異なります。
他の節税対策に比べて損金算入できる金額が大きかったり、決算直前でも加入・損金算入することが可能であったり、保険商品に応じた保証を受けられたりとメリットが多く、デメリットに目が届かないことが多いようです。

しかしながら、保険商品を購入し、利益を先送りすることで資金の流れが悪くなったり、早期解約により返戻率が低くなったりと大きなデメリットも存在するので注意が必要です。
保険商品を使って節税をすることを間違いとは断言できませんが、デメリットに目が届かず損をしてしまっている経営者の方々も多くいるので十分注意が必要となります。

☆ヒント
節税対策として様々な方法が紹介されていますが、具体的にどのような対策を取ればいくらの節税対策ができるのか、キャッシュはどれだけ減るのかなどきちんと考えるべきことはたくさんあります。
目先の損得勘定で安易な節税をすることはおすすめできません。きちんと税理士と相談した上で、中長期的な目線で見たときに一番得であると思われる方法を取るのが良いでしょう。

まとめ

以上紹介してきたように、節税だけを目的とした小手先の支出や納税の繰越しは推奨できません。それよりも、法人税の仕組みを正しく理解して税金対策する正攻法が適切でしょう。とはいえ、税の仕組みを正しく理解するには相応の努力が必要です。本業で忙しい経営者の方々は、税理士に相談してはどうでしょうか。無駄な支出をすることのない適切で合法な決算対策のアドバイスだけでなく、税務面から観た経営のサポートも得られるでしょう。

山田隆裕
慶應大学卒。現、同大学院所属。
大学4年時に公認会計士試験に突破。
自分の知識の定着も兼ねて、会計・財務などに関する知識を解説していきます。
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