従業員を雇う前に!
源泉徴収しなければならない範囲について
従業員を雇う前に!  源泉徴収しなければならない範囲について

2017/1/25

 
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会社勤めをしたことのある人なら誰でも一度は聞いたことのある源泉徴収ですが、その具体的な内容や計算方法を知っていますか?
今回の記事では源泉徴収の対象や納付方法まで、詳しく解説していきます。

源泉徴収の主旨と内容

源泉徴収制度とは、給与や利子、報酬などを支払う人が、決められた方法で所得税を計算し、支払金額から差し引いて国に納めるというものです。日本では昭和15年から導入されている長い歴史を持った制度で、海外でも多く採用されています。源泉徴収は、会社や協同組合、個人であってもすべての所得の支払者に義務があります。ただし、個人事業主で、常時2人以下の使用人に対して給与を払う場合や、給与の支払いがなく弁護士などへの報酬のみを支払っている場合は、源泉徴収をする必要はありません。

このような仕組みが取られている背景として、日本が「申告納税方式」という制度を用いていることにあります。この制度は納税者自らの申告によって税額を決める方式で、元々はアメリカ税制の影響を受けて生まれました。非常に民主的なこの制度ですが、申告納税方式のお陰で納税者は合法的に様々な節税をすることが可能になっています。
しかし、所得税に関して申告納税方式は建前で、支払い者が代わって納税を行う源泉徴収制度が用いられています。その主旨は、納税を確実にすること、また納税者の納税手続きが煩雑になることを防ぐという配慮にあります。実際に源泉徴収制度のお陰で納税は円滑に進んでおり、所得税の81%は源泉徴収方式で集められたものです。

源泉徴収で集められた税金の合計額が、その納税義務者が払うべき税額と一致しない場合、年末調整の手続きを行って過不足を精算する必要があります。
源泉徴収は、主に「対象判定」→「金額計算」→「支払い(源泉徴収)」→「納付」の手順で行われます。以下で手順ごとに詳しく説明していきます。

源泉徴収の対象

源泉徴収の対象となる所得の範囲は、所得を受け取る人によって以下のように分類されます。

受け取り対象が国内に住む個人の場合

利子等
公社債や預貯金の利子、公社債投資信託の収益の分配などがこれにあたります。
配当等
法人から受ける剰余金の配当、利益の配当などがこれにあたります。
給与等
給料や賃金、賞与などの性質を持つものを指します。
退職手当等
公的年金等
国民年金法、厚生年金保険法などに基づく年金が含まれます。
報酬・料金等
原稿料やデザイン料、公認会計士や税理士等の報酬、診療報酬など多岐に渡ります。

受け取り対象が国内に住む法人の場合

個人の場合と同様の、利子等・配当等があてはまります。

受け取り対象が海外の個人か法人の場合

国内源泉所得
国内の資産から得られる所得や、譲渡による対価、国内の法人から受け取る配当など、日本国内で得た所得「国内源泉所得」のみが対象となります。

源泉徴収の計算方法

源泉徴収は100万円を区切りに、2つの計算方法があります。

支払額が100万円以下の場合

この場合は、単純に支払金額の10.21%が源泉徴収額となります。
・例えば50万円の給与の支払いの場合、
 

50万円 × 10.21% = 51,050円

が税額となります。

支払額が100万円を超える場合

この場合は、100万円分の10.21%に加え、超えた額の20.42%が源泉徴収額となります。
・例えば150万円の給与支払いの場合、
 

(150万円 – 100万円) × 20.42% + 100万円 × 10.21% = 20万4200円

が税額となります。

納付方法

納付期限

源泉徴収した所得税は、差し引いた所得を支払った月の翌月10日が納付の期限となります。期限の日が休日の場合、休日明けの日が納付期限となります。
期限を過ぎてしまうと、延滞税や不納付加算税などを負担しなければならず、注意が必要です。
しかし特例として、所得を支払う人数が常に10人未満である場合は、年2回の納付で手続きを簡略化することが認められています。特例を申請して適用された場合、
・1〜6月に支払った所得の源泉徴収額 → 7月10日
・7月〜12月に支払った所得の源泉徴収額 → 翌年1月10日
が納付の期限となります。

納付の手続き

e-Taxでの納付
源泉徴収した所得税は、合計額をインターネット上のe-Taxを利用して納付することができます。詳しくは、以下のホームページを参考にしてください。
http://www.e-tax.nta.go.jp

納付書での納付
それ以外の場合は、「所得税徴収高計算書(納付書)」に情報を記入した上で、最寄りの金融機関か所轄の税務署で納付する必要があります。その際、源泉徴収の対象となった所得の種類によって、用いる納付書が異なるので注意が必要です。

☆ヒント
中小企業の経営者や個人事業主にとって、従業員への給与の支払いに関しての手続きは非常に煩雑で、本業への時間を奪われてしまいます。
給与支払いに悩んでいる場合は、私たちの税理士紹介サービスを利用されてみてはいかがでしょうか。様々な手続き、記帳、決算代行など様々なサービスを提供している他、業界に詳しい税理士であればその業界特有の悩みに対する解決策、節税対策などをアドバイスしてくれます。その他税に関するお悩みがある場合でも、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

源泉徴収は従業員を雇う人や法人であれば、義務として行わなければならない手続きです。今回解説したような内容をきちんと理解して、正しい税務を行いましょう。

岡田桃子
東京大学卒。
卒業後は中央官庁に勤め、退官後ベンチャー企業に転職し、経理・法務などに携わる。
経理業務で得た知見や、中央官庁時代に得た法律や制度に関するナレッジを分かりやすく解説します。
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