給与計算はアウトソーシング?
必要な準備や注意点解説
給与計算はアウトソーシング?  必要な準備や注意点解説

2016/12/30

 
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どの企業においても必要な給与計算ですが、その煩雑さから外部に委託(アウトソーシング)することも少なくありません。そこで給与計算を実際するにあたり、必要な準備やアウトソーシングのメリット・デメリット、実際に起こりうる給与計算にまつわるトラブルを紹介していきます。そのうえで、最終的にどのような企業がアウトソーシングに向いているのか、はたまたインハウスで行うべきなのかについて、まとめていきたいと思います。

アウトソーシング…業務を外部に委託すること
インハウス…業務を自社内で完結すること

1.給与計算に必要な準備とは?

実際によくみられる給与計算にまつわるトラブルやリスクと、それらを回避するために必要な準備を紹介していきます。経営者の方は必読な内容です。

給与計算にまつわるトラブル・リスク

①不正データ入力
存在しない社員やスタッフが登録され、いわゆる幽霊社員に給与を支払うことで架空人件費がかかるリスクがあります。特に居酒屋やアパレルなど多くのアルバイトを雇っている企業は、この不正が発覚しにくいといえます。
また、事実とは違うデータが入力される場合もあります。例えば、住所変更を届け出ず、前の住所からの通勤交通費を請求してくるリスクにつながります。
②不正勤怠申請
実際に行っていない残業について申請するといったリスクです。特に、自由に出退勤時刻を書き替えられる企業などは要注意です。タイムカードを導入していても、他人に代わりに打刻してもらうことで不正請求が可能になってしまいます。
③計算ミス
一般的に最も多いトラブルとして、計算が合わず本来の給与よりも少なく、もしくは多く支払われる、というものが挙げられます。残業代や有休休暇の対応ミスなども多くみられます。
また、頻繁に行われる法改正についていけず、意図せずとも法律に引っかかってしまうというリスクもあります。そういった場合、税務リスクを引き起こしかねません。
④支払い
銀行の給与振り込みシステムを利用している場合、給与データを作成した担当者が振り込み承認も行える状態であると不正な振り込みができてしまいます。さらに、給与振り込みシステムを利用していない場合でも、他の従業員に間違った従業員の給与が振り込まれてしまうといったトラブルが発生しやすくなります。
⑤責任者の不在
給与計算において様々な法律や保険に関する知識が必要なので、一人の担当者に給与関連の仕事をすべて任せていると、その担当者が退職などで不在となってしまったときに誰も対応できなくなってしまいます。
⑥情報漏洩
担当者が社内の人間だと、ふとした時の会話で従業員個人の給与データが漏れてしまったり、「◯◯さんは全然仕事できないのにあんなにもらってるらしい」など人間関係の悪化に繋がったりする恐れがあります。

必要な準備

上記で紹介したリスクを回避するために必要な準備とは何なのでしょうか。最低限準備しておきたいものは以下の通りです。

● 就業規則や賃金規程
労働基準法により、従業員が常時10人以上の事務所は、就業規則を作成し届け出なければなりません。その中に賃金に関する事項は不可欠であり、詳細な記載が必要となる賃金に関しては別途、賃金規定を設けている企業が多くあります。ここに記載する内容に関しては後で詳しく説明します。
● 従業員名簿と賃金台帳
給与計算をするには、従業員の基本情報が必要です。扶養控除や、様々な手当に関する書類も一緒に用意してください。ただしここで気を付けておきたいのは、「給与計算にまつわるトラブルやリスク」の①でも紹介した通り、嘘の情報を登録している従業員がいるかもしれないという点です。一定期間がたったら、従業員名簿をきちんと見直してみる必要があります。
また、給与は勤続年数や役職などによって変わるため、それぞれがいくらの給与になるのかを記した賃金台帳もあわせて用意しておきましょう。
● タイムカードor出勤簿
従業員の労働時間がわかるものが必要です。時間外労働に対する賃金や、パート・アルバイトで働く従業員の給与を計算するのに用います。
● 給与計算ソフト
実際に必要な書類や情報が作成・集計できたら、それらを計算してくれるソフトを用意しましょう。すべて人の手で計算するとなると、計算ミスを起こす心配に加え、多大な人件費、労働時間を要することとなり、非常に効率の悪い作業になってしまいます。最近では、無料の給与計算ソフトもあるので、ぜひ活用してみてください。

*就業規則(賃金規程)に記載するべき内容
就業規則には、賃金に関する事項について記載しなければならないという決まりがあります。そして、これらについて別途まとめたものを賃金規程と呼びます。もちろん賃金規程として特別にまとめず、就業規則の中で完結させてもかまいません。賃金規程に記載しなければならない事項は、大きく分けて二つ、「絶対的必要記載事項(必ず記載しなければならないもの)」と、「相対的必要記載事項(定めのある場合は、記載しなければならないもの)」に分けられます。
★ 絶対的必要記載事項
・賃金の決定、計算及び支払いの方法
・賃金の締め切り及び支払いの時期
・昇給に関する事項
★ 相対的必要記載事項
・臨時の賃金等及び最低賃金額に関する事項
・労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
・その他当該事業場の労働者のすべてに適用される事項

☆ヒント
給与計算にまつわるトラブルを防ぐためには、まず必ず就業規則で賃金規定を行うこと、次に従業員の基本データ、かつ労働時間の確認ができるもの、最後にそれらをまとめる給与計算ソフトを準備する必要があるということを紹介しました。
社内で給与計算を行う場合、どうしても情報漏洩のリスクやデータの入力、支払いミスなどのリスクが伴います。会社基盤がしっかりと整備されていないスタートアップ企業や中小企業の場合は、本業に専念しつつ会社組織を整えるために、給与計算を税理士などの専門家にアウトソーシングするのも一つの手段かもしれません。

2. 給与計算のアウトソーシングとは?

冒頭でも紹介した通り、アウトソーシングというのは外部に事業を委託すること、つまり煩わしい給与計算を税理士に丸投げするということです。そこにはどのようなメリットがあるのでしょう。はたまた、デメリットはあるのでしょうか。続いては、アウトソーシングのメリット・デメリットについて見ていきます。

メリット

● コストを削減できる
給与計算に必要な専門的知識を理解し、業務を確実に実行できる人材を育て、管理していくという教育費・人件費を削減できます。また、給与計算システムを自社で運用・管理していくコストも省けます。
● 法令改正に対応できる
労務関連法規や社会保険制度などは毎年のように改定されるため、それらすべてを把握し、業務に反映させることができるアウトソーシングはかなり心強い味方となるでしょう。
● 引継ぎが楽
給与計算の担当者が退職しても、業務に穴をあけることなく引継ぎが可能です。インハウスならば、給与計算のできる者がいったん不在になると途端に業務が滞ってしまいます。
● 主力業務に力を入れられる
それまで給与計算にとられていた人件費や時間、経費などを、本来の自社の成長にむけた業務に費やすことができるようになります。毎月のそれらを主力業務へとシフトしたら、大きな資源となりうるでしょう。
● 社内情報の漏洩を回避できる
社内で給与管理を行っていると、関与者が多いため情報漏洩を完全には防ぐ術がありません。しかし、外部に任せれば給与計算に関わる人間を最小限に抑えることができ、信用ある委託先であれば情報もきちんと守られます。
● 正確な処理を迅速に行ってもらえる
その道の専門家が行ってくれるため、仕事内容は非常に正確です。期日までに完璧な給与計算結果が返ってきます。

デメリット

● 社内に給与計算のノウハウを持つ人がいなくなる
社員から給与に関する質問が来た時に、専門知識を持った人がいないと回答できなくなる可能性があります。また、経営者にとっても社員の給与に関して相談できる人間が社内にいなくなってしまいます。
● 信頼できる委託先を見つけることが大変
きちんとした税理士や企業を選ばなければ、納品されたデータを再度確認しなければならず、余計な手間が増えてしまいます。また、セキュリティ面がしっかりしていないところと関係を結ぶと、全従業員のデータが流出してしまう恐れがあります。
● 委託先との関係構築に時間がかかる
委託先の税理士や企業との関係が落ち着くまでに約1年がかかるといいます。開始から1年間は、多少の問題発生とその対応に追われる可能性があります。
● 委託するコストがかかる
外部に給与計算をしてもらうわけなので、そこに委託コストがかかります。自社で給与計算をするコストと、アウトソーシングをするコストと、どちらが多くかかるかの見分けが必要です。

☆ヒント
当社は、20年以上税理士を紹介する事業を進めて参りました。もし現在、給与計算に関する悩みを抱えていたり、お付き合いしている先生との関係に悩みがあったりするようでしたら、お気軽にお問い合わせください。これまでのノウハウや知見を活かし、誠心誠意、お客様の満足のいくまで最適な税理士を探し、紹介させていただきます。

会社の状況に応じて判断する

「自社で給与計算をするコストと、アウトソーシングをするコストと、どちらが多くかかるかの見分け方」についてお伝えします。どういった企業がアウトソーシングにするべきなのか、インハウスで行うべきなのか、自社の状況と比較してご覧ください。

アウトソーシングにした方がいい会社とは?

給与計算を外部に任せた方がいい企業の特徴は以下の通りです。
● 給与計算をインハウスで行うことで主力業務がおろそかになっている
● 主力業務をおろそかにせず、給与計算を行える人材がいない
● 給与計算の担当者が急に休職した場合、代わりに行える者がいない
● 成長の著しい中小企業であり、現在のリソースで給与計算をインハウスで行うには仕事量が多すぎる
● 給与計算の制度化が未熟

インハウスで行うべき会社は?

一方、給与計算を自社内で完結させた方がいい企業の特徴は以下の通りです。
● 給与計算を担っていても主力業務がおろそかにならない
● 主力業務をおろそかにせず、給与計算を行える人材がいる
● 給与計算の担当者が急に休職した場合でも、代わりに行える者がいる
● 立ち上げたばかりの企業で、社員の人数も少なく、自社でやった方がコストはかからない
● 規模が大きくなり、アウトソーシングした場合の費用が多くかかる
● 給与計算の制度が整っている
● 上場する予定のある企業(ただし、アウトソーシングしている=上場NGとなるわけではなく、委託先の信頼性やインサイダー取引規制への対応、委託先の定期的な評価管理など、いくつかの条件をクリアすれば、アウトソーシングしていてもOKです。)

☆ヒント
給与計算については、企業を立ち上げたばかりの小さなところはインハウス、企業の成長に伴い従業員数が増えてきて、自社の手には負えなくなってきたらアウトソーシング、さらに規模が大きくなり、反対にアウトソーシングでは費用がかさむほどの従業員数になったら再度インハウス、といった流れが主流のようです。
給与計算をアウトソーシングした場合の費用に関しては、一度無料で見積もりしてもらい、その結果をみて費用対効果が少しでもプラスに転じるのであれば、アウトソーシングをすることをお勧めします。
当社では、美容業・医療業・飲食業・不動産業・建設業・フランチャイズ・接骨整骨業・貿易業などといったさまざまな業種別に税理士を紹介しておりますので、それぞれの業界に明るい税理士を紹介することが可能です。

まとめ

給与計算で悩んでいる中小企業の方は少なくないはずです。「これまで自社内でやってきたけれど、計算ミスも起こるし社内でさばけるだけの従業員数でなくなってきているな…」という企業の方は、ぜひ一度アウトソーシングを考えてみてはいかがでしょうか。

岡田桃子
東京大学卒。
卒業後は中央官庁に勤め、退官後ベンチャー企業に転職し、経理・法務などに携わる。
経理業務で得た知見や、中央官庁時代に得た法律や制度に関するナレッジを分かりやすく解説します。
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