【法人経営者向け】
生命保険の税金対策と有効活用について徹底解説
【法人経営者向け】  生命保険の税金対策と有効活用について徹底解説

2019/1/7

 
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税金対策に生命保険を利用することはすでに定着しています。しかし、保険料を負担するだけでは節税額よりも支出額のほうが多くなります。そのため、税金対策と生命保険の有効活用が大切になってきます。そこで、法人経営者向けに生命保険を利用した税金対策と有効活用について徹底解説します。

生命保険を利用した税金対策のメリット

生命保険は保険料の負担により法人税の節税につながるだけではありません。まずは生命保険を利用した税金対策のメリットを紹介します。

税金対策と保障の一挙両得がメリット

生命保険を利用した税金対策のメリットは保険商品の本来の目的である保障とセットで得られることに尽きます。たとえば、生命保険料の負担により法人税を節税しながら、被保険者の死亡時に死亡保険金が法人口座に振り込まれます。

また、保険商品によっては「満期返戻金+法人税の節税額>保険料の累積負担額」により、実質返戻率100%を超える(実質的に支出額より入金額のほうが多い)ケースがあります。

生命保険の年払いにより決算対策ができる

生命保険の支払い方法には年払い方式があり、たとえ決算月に保険料を払い込んでも来年度の11ヵ月分を前倒しで損金に計上することができます。そのため、生命保険を税金対策に利用することで、決算日直前でも決算対策が可能です。

ただし、年払保険料を損金計上するためには、次の条件のすべてを満たす必要があります。
 

  • 生命保険の契約期間に今年度が含まれている
  • 生命保険の契約期間が1年以内
  • 生命保険料を今年度中に支払う
  • 生命保険料を支払った年度に継続して損金経理(費用計上)する

税金対策の2つの課題

生命保険を利用した税金対策は2つの課題をクリアしないと法人のメリットは半減してしまいます。

(1)生命保険が有効活用できているかどうか

生命保険料を負担すれば、たしかに法人税の税金対策につながります。しかし、節税額よりも保険料の負担額のほうが多く、確実にお金は減っています。加入することで得られる保障が法人に役立ってこそ、生命保険を有効活用しているということになります。

(2)解約返戻金と死亡保険金が益金に算入される

保険料の累積負担額が多額である以上、解約返戻金や死亡保険金も多額なのが一般的です。法人の場合、解約返戻金や死亡保険金は入金額が益金に算入されて、法人税が課税されます。たとえば、3,000万円の死亡保険金が入金されれば、税率23.2%をかけた696万円の法人税がかかります。つまり、解約返戻金や死亡保険金の入金額に対する税金対策まで視野に入れておく必要があります。

生命保険の有効活用の具体例

生命保険は上手に利用すれば、有効活用することができます。そこで、具体例を紹介します。

リスクマネジメント

生命保険を利用したリスクマネジメントでは、代表者の死亡や赤字などにより緊急の資金調達が必要な場合、保険会社から資金調達をします。つまり、生命保険の加入により、万が一のために資金調達ができるように備えることが可能です。

生命保険を利用した資金調達方法は解約と契約者貸付の2種類あります。

(1)解約

解約をすることで満期返戻金と同額の資金調達ができます。赤字で青色欠損金(累積赤字)がある場合、解約返戻金と相殺できるため、入金額が益金に算入されずに済みます。

(2)契約者貸付

生命保険の保障の範囲内で、保険会社からの借入が可能です。入金額は益金に算入されず、しかも銀行の融資審査よりも低いハードルで資金調達ができます。

役員退職金の財源確保

生命保険の解約返戻金を役員退職金の財源に充てることができます。解約返戻金と同額の役員退職金を支給すれば、所得金額の増減はありません。役員退職金は損金に算入できるからです。

しかし、役員退職金の支給額の全額が損金に算入できると限らず、不相当に高額な部分の金額は損金不算入になります。しかも、損金算入できる役員退職金の金額については税務当局の間で争点になる部分であり、設定額は慎重に検討する必要があります。

相続税対策〜納税資金の確保〜

事業承継により、後継者(相続人)が先代の経営者(被相続人)から自社株を相続した場合、自社株の評価額に応じて相続税が課税されます。しかも、自社株の相続により現金預金が増えないため、納税資金の確保が困難なケースは十分に考えられます。そこで、被相続人を被保険者とする生命保険に加入する方法があります。具体的には、後継者の自社株を法人が死亡保険金を財源に買い取り、相続税の納税資金に充てます。

年金特約を利用する

解約返戻金と死亡保険金は益金に算入されるため、一時金として受け取り、入金額が多いと法人税も多くなってしまいます。そこで、年金特約を利用することで、一時金の代わりに年金で受け取ることを選択することができます。年金で受けとれば、解約返戻金と死亡保険金は分割して受け取れるため、益金の平準化につながります。その結果、受け取り方法を一時金しか選択できないよりも、税金対策がしやすくなります。

福利厚生に利用する

保険商品によっては、従業員のための福利厚生の充実や退職金に活用することができます。そのため、福利厚生を充実させて優秀な人材を確保した法人におすすめの生命保険の利用方法といえます。

払済保険を利用する

払済保険とは、保険料の払込みを中止し、変更時の解約払戻金を一時金の保険料に充て、今までの契約の保険期間を変えずに保障額の少ない保険に変更できる制度です。その結果、保障を得ながら、コスト削減ができます。

生命保険の代わりに利用できる公的制度

リスクマネジメントや退職金の財源確保など生命保険の代わりに利用できる公的制度が存在します。そこで、3種類の公的制度について紹介します。

経営セーフティ共済

もともとは取引先の倒産に備えた公的制度ですが、生命保険の代わりに利用することができます。一定期間、掛金を支払うと返戻率は100%以上保障されます。たとえば、任意解約する場合、掛金納付月数が40ヵ月以上なら返戻率は100%です。もちろん、掛金は全額損金に算入することができます。

また、法人が緊急資金を必要とする場合、たとえ取引先が倒産していなくても一時貸付金より資金調達が可能です。

小規模企業共済

小規模企業の経営者や役員が、廃業や退職時の生活資金などのために積み立てる小規模企業共済制度です。一定期間、掛金を支払うと返戻率は100%以上保障されます。たとえば、任意解約する場合、掛金納付月数が240ヵ月以上なら返戻率は100%以上です。

また、一般貸付や緊急経営安定貸付など目的に応じた貸付金制度により資金調達が可能です。

しかし、契約者は法人単位でなく個人単位になります。そのため、掛金は全額所得控除されます。法人の税金対策に利用する場合、たとえば掛金と同額を役員報酬に上乗せするなどの工夫が必要です。

中小企業退職金共済

中小企業退職金共済は従業員のための退職金制度です。掛金は法人が負担して、退職金は従業員に直接支給されます。また、特典として勤労者退職金共済機構・中退共本部と提携しているホテル、レジャー施設などを割引料金で利用できます。

また、掛金は全額損金にすることができます。

まとめ

生命保険は税金対策と保障内容の両方を利用することで最大限のメリットが得られます。そのためには、リスクマネジメント、退職金の財源確保、相続税対策など自社のニーズを把握して利用することが大切になってきます。

阿部正仁
TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。
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