自宅の売買には多くの特例が!
どの特例を選ぶのが最適?
自宅の売買には多くの特例が!  どの特例を選ぶのが最適?

2018/12/12

 
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自宅を買い換えるにあたり、古い住宅を売却した際に多額の税金を課されてしまうと新たな住宅を購入できなくなってしまうことから、課税を先送りにしたり減額したりといった様々な特例があります。この記事では住宅の売買に適用できる様々な特例を紹介しますので、売却予定がある方は是非参考にしてください。

課税標準額を減額する特例

課税標準額の特例と税率の特例

住宅を売却した場合に、売却して得た利益(譲渡所得)に対して課税されることはご存知のことと思います。具体的には、売却により受け取った金額から、売却する住宅の取得にかかった費用を差し引いた金額(課税標準額)に税率を乗じて税額を計算します。

 

住宅の取得にかかった費用の計算をする際、建物については減価償却をした後の金額を使わなければいけませんが、減価償却を失念してしまうことがあります。

 

また、土地や建物を取得するための費用がわかる書類、例えば購入当時の領収書や契約書を紛失してしまった場合には、売却により受け取った金額の5%を取得に要した費用とすることができます。また、土地や建物を取得するために実際に支払った費用が売却により受け取った金額の5%に満たない場合にも、同じく売却により受け取った金額の5%を取得に要した費用とすることができます。

 

今回ご紹介する特例には、大きく分けて課税標準額を減額する特例と税率を引き下げる特例があります。まずは課税標準額を減額する特例についてお知らせします。

収用交換等の特別控除と居住用財産を譲渡した場合の特別控除

<収用交換等の場合>

自宅の売却が「収用交換等」に該当する場合には、課税標準額から5,000万円を差し引くことができます。「収用交換等」とは、公共事業のために必要などの理由で行政から半ば強制的に自宅の売却を迫られた場合などが該当します。

 

この特例を利用することにより売却により得た利益から5,000万円を差し引くことができますので、収用交換等により自宅を売却する多くの場合には税金がかからないでしょう。

<自宅を売却した場合>

自分が住んでいる住居を売却した場合には、課税標準額から3,000万円を差し引くことができます。また、住まなくなってから3年を経過した年の年末までの間に売却した場合にも同様です。

 

ただし、売却相手が配偶者や直系血族など、身内の場合には対象外となってしまいますので、注意しましょう。

税率を引き下げる特例

5年が分かれ目!短期譲渡所得と長期譲渡所得

土地・建物を売却した場合には、売却するまでに所有していた期間に応じて2種類の税率が適用されます。土地・建物を取得した日の翌日から売却した年の1月1日までが5年以下の場合には39.63%(所得税30.63%、住民税9%)、5年を超える場合には20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税率が適用されます。

 

上記のとおり、自宅を売却する場合には売却による利益から3,000万円を控除することができますので、売却による利益が3,000万円に満たないと予想される場合には税率を気にしなくても差し支えありません。しかし、もし売却益が3,000万円を超えると予想される場合には、可能であれば売却の時期を少しずらすことで低い税率の適用を受けることができます。

マイホームを譲渡した場合の特例

所有期間が5年を超える不動産を売却した場合には低い税率の適用を受けられることは上記のとおりです。さらに、所有期間が10年を超える自宅を売却した場合には、売却益のうち6,000万円以下の部分については税率が14.21%(所得税10.21%、住民税4%)に軽減される特例が定められています。

 

なお、他の特例は原則として複数の特例と併用できませんが、この特例は自宅を売却した場合に課税標準額から3,000万円を差し引くことができる特例と併用できます。したがって、所有期間が10年を超える自宅を売却する場合には、多くの場合税金が課税されないか、課税されたとしても少額ですから、過大な心配をする必要はないでしょう。

 

この特例も「課税標準額から3,000万円を差し引くことができる特例」と同じく、配偶者や直系血族への売却には適用することができません。

国や地方公共団体への譲渡の場合の特例

所有期間が5年を超える不動産を収用交換等により売却した場合には、売却益のうち2,000万円以下の部分については税率が14.21%(所得税10.21%、住民税4%)に軽減される特例が定められています。

 

マイホームを譲渡した場合の特例と異なり、他の特例と併用することはできませんのでご注意ください。

マイホームの売却に関する様々な特例

居住用財産の損益通算と繰越控除

ある所得で損失が発生した場合、他の所得からその損失を差し引くことができる制度があります。例えば、サラリーマンとして給与所得を得ている方がご自身の事業で損失を発生させてしまった場合、事業により生じた赤字を給与所得から差し引くことができます。

 

しかし、平成16年度以降は原則として土地・建物の売却により発生した損失は、同じく土地・建物の売却により生じた所得からしか差し引くことができなくなりました。

 

したがって、例えば2つの不動産を同じ年に売却し、片方の不動産からは500万円の利益、もう片方の不動産からは200万円の損失が生じてしまった場合、その年の譲渡所得は300万円として申告することができます。

 

一方、サラリーマンとして500万円の給与所得を得ている方が不動産の売却により200万円の損失を被ってしまった場合、給与所得を300万円として申告することはできません。

 

しかし、所有期間が5年を超える不動産を買い替えて損失を発生させてしまい、かつ新居の住宅ローン(返済期間が10年以上)を組んだ場合には、古い住居を売却して発生した損失を給与所得など他の所得から差し引くことが可能です。

 

また、発生した損失をその年の所得から差し引ききれなかった場合には、3年にわたって繰り越すことが可能です。

 

なお、この特例はこれからお知らせする住宅ローン控除と併用することが可能です。

住宅ローン控除の概要と適用対象

住宅ローン控除とは、10年間にわたり年末の住宅ローン残高の1%にあたる金額を所得税額から控除してもらうことができる制度です。最初の1回だけは確定申告により申請しなければいけないので面倒に感じられるかもしれませんが、2年目以降は年末調整で控除を受けることができますので積極的に活用しましょう。

 

ただし、受けられる控除は当然ですが毎年のご自身の所得税額が上限となります。住宅ローン控除は原則として他の制度と併用できないことから、どの制度を利用するか検討することと思います。その際、住宅ローン残高の1%の金額分のメリットを必ずしも享受できるわけではありませんので、ご自身の所得税額をきちんと確認しましょう。

まとめ

自宅を売却する際に税金を抑えることができる様々な特例が用意されています。しかし、要件が複雑ですし、どの制度を選択するのが最もメリットが大きいのか判断するのは容易ではありません。また、適用を受けるのを失念してしまうと大きな損失を被ってしまいます。

 

自宅を売却する場合には、譲渡所得の申告はぜひ税理士を活用しましょう。

 

千葉勇人
早稲田大学商学部に在学しながら会計事務所に勤務、その後経営学修士を取得し、記帳代行業・海事代理士業を営む。
自分自身が個人事業主・同族企業の会社役員として法人税・所得税・消費税・相続税を「自分ごと」として日々取り扱っている経験をいかし、皆様にとって有意義な情報をご提供します。
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