青色申告で税金を下げよう
個人事業主のための仕訳を徹底解説
青色申告で税金を下げよう  個人事業主のための仕訳を徹底解説

2018/11/26

 
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青色申告で税金を下げたい個人事業主は多いでしょう。そのためには、複式簿記に基づく決算書の作成が必要となり、仕訳を知っているかどうかがカギとなってきます。しかし、仕訳の種類は多岐にわたり、税法上の知識が必須です。そこで、個人事業主のための仕訳を徹底解説します。

仕訳の入力で決算書は自動作成できる

個人事業主が青色申告をするときに求められる損益計算書、貸借対照表は会計ソフトに仕訳を入力するだけで自動作成されます。それでは、決算書を作成するまでの一連の作業を見ていきましょう。

会計ソフトに仕訳を入力する

決算書の作成は取引の仕訳を会計ソフトに入力するところからスタートします。取引、仕訳の種類は次の通りです。

  • 日常取引
  • 税金の納付、還付(返金)
  • 固定資産の購入、除却、売却
  • 決算仕訳
  • 現金過不足が生じた場合

決算書が自動作成される

仕訳を入力すると、勘定科目ごとに金額が集計されます。会計ソフトの機能により勘定科目の合計額を損益計算書、貸借対照表の各項目に転記され、決算書が自動作成されます。

たとえば、現金売上100万円を仕訳したとします。会計ソフトの機能により、勘定科目の売上高と現金はそれぞれ100万円増額されます。増額分は損益計算書と貸借対照表に反映され、所得金額までは自動計算します。

日常取引の仕訳について解説

個人事業主が最初に会計ソフトへ入力するのが日常取引の仕訳です。そこで、日常取引のパターン別に仕訳を解説します。

売上取引の仕訳について紹介

売上取引は現金売上と掛売上に大別できます。

(1)現金売上
例)小売店が売上により10万円レジ入金があった場合
借方 金額 貸方 金額
現金 10万円 売上高 10万円
(2)掛売上
例)貿易業が得意先に商品100万円を掛けで販売した場合

1. 販売した時点

借方 金額 貸方 金額
売掛金 100万円 売上高 100万円

2. 売上代金が普通預金に入金された時点

借方 金額 貸方 金額
現金預金 100万円 売掛金 100万円

仕入取引の仕訳について紹介

仕入取引は現金仕入と掛仕入に大別できます。

(1)現金仕入
例)飲食店が食材50万円を現金購入した場合
借方 金額 貸方 金額
仕入 50万円 現金預金 50万円
(2)掛仕入
例)電技部品の商社が商品500万円を掛けで購入した場合

1. 購入した時点

借方 金額 貸方 金額
仕入 500万円 買掛金 500万円

2. 当座預金で支払った時点

借方 金額 貸方 金額
買掛金 500万円 現金預金 500万円

旅費交通費の仕訳について紹介

事業活動において出張などの移動は欠かせないのが一般的です。そこで、旅費交通費の仕訳をパターンごとに解説します。

(1)現金預金払いをした場合
例)電車代300円を支払った場合
借方 金額 貸方 金額
旅費交通費 300円 現金預金 300万円
(2)電子マネーで負担する場合
1. 電子マネーにチャージ1,000円をした時点
借方 金額 貸方 金額
預け金 1,000円 現金預金 1,000円
2. 電子マネーでタクシー代700円を負担した時点
借方 金額 貸方 金額
旅費交通費 700円 預け金 700円

また、電子マネーの年末残高から旅費交通費を逆算する場合は次の仕訳を入力します。

1. 電子マネーにチャージ1,000円をした時点
借方 金額 貸方 金額
旅費交通費 1,000円 現金預金 1,000円
2. 電子マネーでタクシー代700円を負担した時点

仕訳なし

3. 電子マネーの年末残高が300円と確定した時点
借方 金額 貸方 金額
預け金 300円 旅費交通費 300円
(3)事業主がポケットマネーで駐車場代200円を負担した場合
借方 金額 貸方 金額
旅費交通費 200円 事業主借 200円

車検代の仕訳について紹介

車検代の内訳は税金、保険料、整備費用など多岐にわたり、仕訳が少し複雑になります。

例)車検代10万円をクレジットカード払いした場合
(1)クレジットカード払いした時点
借方 金額 貸方 金額 摘要
修繕費 3万5,000円 未払金 10万円 整備・修繕費用
修繕費 2万4,000円 代行手数料
損害保険料 2万円 自賠責保険
租税公課 2万円 自動車重量税
租税公課 1,000円 印紙・証紙代
(2)クレジットカードの引き落としがあった時点
借方 金額 貸方 金額
未払金 10万円 現金預金 10万円

預り金の仕訳について紹介

預り金の勘定科目は従業員から預かった源泉所得税、住民税、社会保険料に用います。
 
例)従業員に対し、給与30万円から源泉所得税1万円、住民税5,000円、社会保険料3万円を天引きして支払った場合

(1)給与を支払った時点
借方 金額 貸方 金額
給与賃金 30万円 現金預金 25万5,000円
預り金 4万5000円
(2)源泉所得税と住民税を納付した時点
借方 金額 貸方 金額
預り金 1万5,000円 現金預金 1万5,000円
(3)社会保険料6万円が口座から引き落とされた時点
借方 金額 貸方 金額
福利厚生費 3万円 現金預金 6万円
預り金 3万円

保険料の仕訳について紹介

保険料は生命保険と損害保険によって仕訳が異なります。

(1)生命保険

例)事業主の生命保険料2万円を事業用の口座から引き落とした場合

借方 金額 貸方 金額
事業主貸 2万円 現金預金 2万円
(2)損害保険

例)営業車に係る損害保険料2万円を事業用の口座から引き落とした場合

借方 金額 貸方 金額
損害保険料 2万円 現金預金 2万円

利息の仕訳について紹介

預金に対する利息の受け取り分は利子所得に該当するため、法人と仕訳が異なります。
 
例)受取利息8円が定期預金に入金された場合

借方 金額 貸方 金額
定期預金 8円 事業主借 8円

税金の仕訳について解説

税金の仕訳は種類によって異なるため、税目ごとの仕訳について解説します。

所得税の仕訳について紹介

所得税の納付、還付は所得金額の計算に関係ないため、他の税金と仕訳が異なります。

(1)申告所得税20万円を納付した場合
借方 金額 貸方 金額
事業主貸 20万円 現金預金 20万円
(2)予定納税額の一部である10万円が還付された場合
借方 金額 貸方 金額
現金預金 10万円 事業主借 10万円
(3)事業主の原稿料20万円から源泉所得税2万円が天引きされて入金された場合
借方 金額 貸方 金額 摘要
現金預金 18万円 売上高 20万円 入金額
事業主貸 2万円 源泉所得税

事業税の仕訳について紹介

事業税は必要経費に算入することができます。
 
例)事業税8万円を納付した場合

借方 金額 貸方 金額
租税公課 8万円 現金預金 8万円

固定資産税の仕訳について紹介

固定資産税は賦課された時点で必要経費に算入することができます。
 
例)固定資産税24万円の通知書が届いた場合

(1)24万円のうち、第1期固定資産税6万円を納付した場合
借方 金額 貸方 金額 摘要
租税公課 24万円 現金預金 6万円 第1期固定資産税
未払金 18万円 第2~4期固定資産税
(2)第2期固定資産税6万円を納付した場合
借方 金額 貸方 金額
未払金 6万円 現金預金 6万円
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5300.htm(2 租税公課の損金算入時期を参照)

消費税の仕訳について紹介

課税事業者の場合、決算書の勘定科目の金額について消費税を含めるかどうかが選択できます。含める場合は税込経理、含めない場合は税抜経理で仕訳を入力します。
 
例)税抜価格100万円の商品を掛で販売した場合

(1)税込経理

1. 販売した時点

借方 金額 貸方 金額 摘要
売掛金 108万円 売上高 108万円 消費税8万円を加算

2. 預かった消費税8万円を納付した時点

借方 金額 貸方 金額 摘要
租税公課 8万円 現金預金 8万円 必要経費に算入
(2)税抜経理

1. 販売した時点

借方 金額 貸方 金額 摘要
売掛金 108万円 売上高 100万円 税抜価格を計上
仮受消費税等 8万円 消費税分を別建表示

2. 預かった消費税8万円を納付した時点

借方 金額 貸方 金額 摘要
仮受消費税 8万円 現金預金 8万円 所得金額に影響しない

固定資産にまつわる仕訳について解説

事業活動では日常取引以外にも単発で多額の支出をします。代表例が固定資産の購入でしょう。そこで、固定資産にまつわる仕訳について解説します。

固定資産を購入した場合の仕訳について紹介

青色申告の個人事業主が30万円以上の固定資産を購入した場合、一括で必要経費に算入できないため、資産計上することになります。
 
例)120万円の営業車を現金預金払いで購入した場合

借方 金額 貸方 金額
車両運搬具 120万円 現金預金 120万円

固定資産をリースした場合の仕訳について紹介

固定資産をファイナンスリース(原則、解約できないリース)により使用する場合、仕訳は2パターンあります。
 
例)120万円の営業車をファイナンスリース契約により使用する場合

(1)資産計上する場合
借方 金額 貸方 金額 摘要
車両運搬具 120万円 現金預金 2万円 第1回目のリース料
未払金 118万円 リース債務残高
(2)リース料を必要経費に計上する場合
借方 金額 貸方 金額 摘要
リース料 120万円 現金預金 2万円 第1回目のリース料

固定資産を除却した場合の仕訳について紹介

固定資産の除却にまつまる費用は必要経費に算入することができ、これは後述する売却した場合との違いです。
 
例)未償却残高(固定資産のうち、必要経費に算入されていない金額)30万円の営業車を除却した場合

借方 金額 貸方 金額
固定資産除却損 30万円 車両運搬具 30万円

固定資産を売却した場合の仕訳について紹介

固定資産の売却損益は譲渡所得に該当するため、前述の除却した場合とは仕訳が異なります。
 
例)未償却残高30万円の営業車を下取り価格3万円で処分した場合

借方 金額 貸方 金額 摘要
現金預金 3万円 車両運搬具 30万円 下取り価格
固定資産売却損 27万円 売却損

決算仕訳について解説

最終利益を確定させるために決算仕訳が存在します。そこで、おもな決算仕訳について解説します。

減価償却の仕訳について紹介

減価償却とは、固定資産の購入金額を税法上の使用可能期間である耐用年数に応じて、複数年にわたって必要経費に算入する手続きのことをいいます。
 
例)営業車について減価償却費を20万円計上する場合

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 20万円 車両運搬具 20万円

敷金・保証金にまつわる仕訳について紹介

賃貸物件の敷金、保証金のうち、家主に返還しない部分の金額は税法上の繰延資産に該当し、原則、契約期間に応じて複数年にわたって必要経費に算入することができます。
例)1月中に契約期間3年の賃貸物件の敷金90万円(全額返還されない金額)を支払った場合

(1)支払った時点
借方 金額 貸方 金額
長期前払費用 90万円 現金預金 90万円
(2)決算時点
借方 金額 貸方 金額 摘要
修繕費 30万円 現金預金 30万円 1年分の30万円を必要経費に算入

未払費用の仕訳について紹介

契約に基づき継続して役務(サービス)の提供を受ける場合、未払い金額について未払費用として必要経費に算入することができます。
 
例)12月中に水道光熱費1万円をクレジットカード払いした場合

(1)12月中の請求額が1万円と確定した時点
借方 金額 貸方 金額
水道光熱費 1万円 未払費用 1万円
(2)クレジットカードの引き落としがあった時点
借方 金額 貸方 金額
未払費用 1万円 現金預金 1万円

長期前払費用の仕訳について紹介

契約に基づき継続して役務の提供を受ける場合、既に支払ったがいまだにサービスの提供を受けていないものに係る費用が前払費用であり、1年を超えるのが長期前払費用です。
 
例)1月中に返済期間5年間の融資を受けるため、信用保証料25万円を負担した場合

(1)融資を受けた時点
借方 金額 貸方 金額
現金預金 475万円 借入金 500万円
長期前払費用 25万円
(2)決算時点
借方 金額 貸方 金額 摘要
利子割引料 5万円 長期前払費用 5万円 1年分の5万円を必要経費に算入

棚卸資産にまつわる仕訳について紹介

年初と年末に在庫がある限り、年間の仕入金額と売上原価は一致しません。そこで、2つの勘定科目を一致させるために棚卸資産の決算仕訳が必要となってきます。
 
例)在庫が年初100万円、年末120万円の場合

借方 金額 貸方 金額 摘要
期首商品(製品)棚卸高 100万円 棚卸資産 100万円 年初の在庫100万円を売上原価に加算
棚卸資産 120万円 期末商品(製品)棚卸高 120万円 年末の在庫100万円を売上原価から減算

現金過不足の仕訳について紹介

個人事業主はレジの現金預金など事業用資金が帳簿上の残高より多いまたは少ない場合、現金預金過不足の仕訳を入力します。
 
例)レジの現金預金残高が1万円不足している場合

(1)残高不足を把握した時点
借方 金額 貸方 金額
現金預金過不足 1万円 現金預金 1万円
(2)残高不足の原因が消耗品購入の記帳もれと発覚した時点
借方 金額 貸方 金額
消耗品費 1万円 現金預金過不足 1万円
(3)年末まで残高不足の原因が分からない場合
借方 金額 貸方 金額
雑損失 1万円 現金預金過不足 1万円

まとめ

青色申告で求められる決算書を作成するためには仕訳の知識が必須となってきます。特に日常取引の仕訳は会計ソフトに入力する件数は決算仕訳などよりも圧倒的に多くなります。そのため、まずは日常取引の仕訳からマスターすることをおすすめします。

阿部正仁
TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。
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