法人が配当金を受け取った場合の処理方法
税金や仕訳はどうなる?
法人が配当金を受け取った場合の処理方法  税金や仕訳はどうなる?

2018/11/22

 
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法人が他の法人の株式を所有している場合や投資信託をしている場合などに、配当金を受け取ることがあります。この配当金は税金が既に引かれていたり、法人税の計算上で益金に不算入のものがあったりして、処理方法が複雑だったり、税額に影響を与えたりします。ここでは、法人が配当金を受け取った場合の処理方法を解説します。

法人が配当金を受け取った場合の処理方法

受け取った配当金は税金が引かれている

法人が配当金を受け取ったときの会計処理を正しくするためには、配当金から差し引かれている税金のことや、仕訳について理解する必要があります。それぞれについて確認していきましょう。

 

配当金の受け取りの際にあらかじめ決められた税率により、所得税等(所得税+復興特別所得税)が差し引かれています。これを源泉徴収といいます。差し引かれる所得税等の税率は、所有している株主が上場株なのか非上場株なのかで次のように異なります。

 

種類 税率
上場株式の配当金 15.315%
非上場株式の配当金 20.42%

 

例えば、配当金が1万円である場合は、上場株式の配当金なら1,531円、非上場株式の配当金なら2,042円の所得税等が源泉徴収されています。

配当金を受け取った時の仕訳

受け取った配当金からは、所得税等が源泉徴収されています。そのため、配当金を受け取った場合は「受取金額」「源泉徴収された所得税等」「源泉徴収される前の配当金」の3つを用いて仕訳をする必要があります。具体例で確認しましょう。

 

例)所有している上場株式の配当金が普通預金に振り込まれた。振込金額は8,469円、源泉徴収された所得税等の金額は1,531円、源泉徴収される前の配当金の金額は1万円だった。
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 8,469円 受取配当金 10,000円 配当金の受取
法人税、住民税及び事業税 1,531円 所得税等

 

一般的に、源泉徴収された所得税等の勘定科目は、「法人税、住民税及び事業税」を使います。その他「法人税等」などの別の科目を使用する場合もあります。お使いの会計ソフトの科目や今まで使ってきた科目がある場合は、それに合わせてください。今回は、所得税と復興特別所得税を分けずに仕訳しましたが、分けて仕訳しても問題ありません。

 

通常、株式を発行している会社や、証券会社等から送られてくる配当金明細書などに、源泉徴収された所得税等の金額は記載されています。

受取配当金の益金不算入制度

なぜ、受取配当金は益金不算入になるの?

今までは、配当金を受け取った場合の会計処理について見てきました。ここからは2つ目の注意点である、受取配当金の益金不算入について見ていきましょう。

 

益金不算入とは、会計上は仕訳などで収益にするが、税金の計算では収益(益金)から除くということです。配当金を受け取ると、普通預金などの財産が増えるわけですから、当然収益に計上すべきものです。ではなぜ、法人税の計算では益金からはずすのでしょうか。理由は二重課税を防ぐためです。

 

法人は利益が出たら、その利益の中から法人税等を支払い、残りを株主に配当したり、翌期以降への活動資金に回したりします。株主である個人も、配当金を受け取るときに税金を源泉徴収されます。

 

では法人の利益の中に、他の法人から受け取った配当金が含まれている場合は、どうなるのでしょうか。

 

  • ① 他の法人から受け取った配当金は会社の利益であることから、法人税がかかります(1度目の課税)。
  • ② 法人は、他の法人から受け取った配当金を含めた利益から、株主である個人に配当をします。
  • ③ 株主である個人は、配当金を受け取るときに税金を源泉徴収されます。(2度目の課税)

 

つまり、1つの利益(他の法人から受け取った配当金)に二重で課税されてしまうことになります。この二重課税を防ぐために、受取配当金については、法人税等の計算上で益金から除く「受取配当金の益金不算入制度」が適用されています。

受取配当金の益金不算入になる配当金とは

受取配当金の益金不算入制度は、あくまで二重課税の排除を目的としています。しかし、配当金と名前があるものの中には、そもそも二重課税にならないものもあります。そこで、受取配当金の益金不算入になるものは、二重課税になるものに限定されています。

益金不算入になる配当金と、ならない配当金にはそれぞれ次のようなものが該当します。

①受取配当金の益金不算入になる配当金
  • 剰余金の配当や利益の配当、剰余金の分配(普通の会社の配当金)
  • 投資信託や投資法人から受け取る金銭の分配
  • 資産の流動化に関する法律に規定する特定目的会社等からの金銭の分配
  • 特定株式投資信託(外国株価指数連動型特定株式投資信託を除く)の収益の分配
②受取配当金の益金不算入にならない配当金
  • 外国法人、公益法人等又は人格のない社団等から受ける配当等
  • 保険会社の契約者配当金
  • 協同組合等の事業分量配当等
  • 公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配
  • 特定目的会社及び投資法人から受ける配当等
  • 受取配当金の益金不算入額の計算方法

    益金不算入額は、株式等の保有割合で異なる

    受取配当金の益金不算入額の計算では、所有している株式を4つのグループに分けて計算を行います。

     

    通常、一般的な会社からの配当金は益金不算入になります。しかし、他の会社の株式を所有している場合によくみられるのが、子会社や関連会社などの株式を所有しているというものです。子会社や関連会社と、全くの他社の株式を一律同じ割合で益金不算入とすると不都合が生じるため、次の4つの区分に分けて損金不算入割合を定めています。

     

    株式の種類 保有割合 不算入割合
    完全子法人株式等 100% 100%益金不算入
    関連法人株式等 1/3超100%未満 100%益金不算入(負債利子控除あり)
    その他の株式等 5%超1/3以下 50%益金不算入
    非支配目的株式等 5%以下 20%益金不算入

     

    負債利子とは、借入をして株式を取得しているときに、その年に支払った借入金利子のことです。受け取った配当金を益金不算入にする代わりに、支払った借入金利子も損金不算入(負債利子控除)にします。

    法人が配当金を受け取った場合の申告方法

    法人が配当金を受け取った場合は、株式の種類に応じて、益金不算入額を計算します。では、申告はどうするのでしょうか。

     

    受取配当金を益金不算入にするためには、通常の申告書と、「別表八(一)受取配当等の益金不算入に関する明細書」を作成して提出する必要があります。「別表八(一)受取配当等の益金不算入に関する明細書」は、益金不算入額を計算するための明細書です。該当する箇所に数字を記載していけば、益金不算入額を算出できます。

     

    また、別表四の減算欄にも受取配当等の益金不算入額を記載する欄があるので、忘れずに記載し、申告するようにしましょう。

    まとめ

    今回は、法人が配当金を受け取った場合の処理方法について確認しました。法人が配当金を受け取った場合には、会計処理と、法人税の計算で益金不算入が生じることに注意する必要があります。

    会計処理では、受取金額、源泉徴収された所得税等、源泉徴収される前の配当金の3つを用いて仕訳します。

    法人税の計算では、まずその配当金が、益金不算入になる配当金なのかを考え、益金不算入になる配当金であるなら、株式の種類に応じた割合で、益金不算入額を計算する必要があります。

    受取配当金の処理は、かなり複雑です。処理方法などで不明点などがある場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。

     

    長谷川よう
    会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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