個人事業主の税金が増える?減る?
消費税について徹底解説
個人事業主の税金が増える?減る?  消費税について徹底解説

2018/11/6

 
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納税義務者である個人事業主は消費税によって納める税金が増える可能性は高いです。しかし、消費税の制度を上手に活用すれば税金を減らせるケースがあります。また、税制改正に伴う消費税の税率アップにより、消費税と無縁だった個人事業主にも影響を及ぼす可能性が出てきました。そこで、消費税について解説します。

消費税の基本的なルールについて解説

消費税の基本的なルールについて、個人事業主に即して説明します。

消費税の納税義務者と納税額

そもそも税法上、納税義務者は消費者や得意先から消費税を預かった個人事業主です。しかし、全ての個人事業主が納税義務者ではなく、それぞれの区分に応じて次の人に限定されます。

(1)国内取引を行う個人事業主

国内取引をメインに行っている個人事業主は次のいずれかに当てはまる場合、納税義務者となります。

1. 基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円を超える場合
2. 特定期間(前年の1月1日~6月30日までの期間)の課税売上高および給与支給額が1,000万円を超える場合

(2)輸入取引を行う人

個人事業主に限らず、給与所得者や家庭の主婦などの個人輸入を行う場合、輸入品に対する消費税に対して納税義務を負うことになります。

また、消費税の納税額は次の算式で計算します。

消費税の納税額=売上税額(課税売上高×税率)-仕入税額控除(課税仕入高×税率)

課税売上高は消費税が付随する売上高のことを指し、仕入税額控除は消費税が付随する支払いのことを指します。

消費税の納税が免除される個人事業主

消費税の納税が免除される個人事業主のことを免税事業者といい、次のいずれにも当てはまることが条件です。

1. 基準期間の課税売上高が1,000万円以下である場合
2. 特定期間の課税売上高または給与支給額が1,000万円以下である場合

 

個人事業主の基準期間の課税売上高は、たとえば年の途中で開業し事業をしている期間が1年に満たなくても、法人と違い、年換算する必要はありません。仮に12月に開業し、年商100万円の場合、個人事業主の基準期間の課税売上高は同額(100万円)となります。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6121.htm

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm

消費税の節税方法について解説

消費税の制度を理解し、利用することで節税につながります。それでは、節税方法について見ていきましょう。

節税方法はおもに2パターンある

前述の通り、消費税の納税額は「売上税額-仕入税額控除」で求めます。そのため、消費税の節税方法は次の2パターンに区分されます。

(1) 売上税額を減らす
(2) 仕入税額控除を増やす
後述する消費税の優遇税制は上記のいずれかを利用した節税方法です。

簡易課税制度の利用で仕入税額控除を増やせる

そもそも簡易課税制度は仕入税額控除の計算方法の特例制度であり、実額で計算する代わりに、業種ごとの売上税額に原価率を掛けて概算額で計算します。実額より概算額が大きくなる場合、仕入税額控除を増やすことができ、消費税の節税につながります。簡易課税制度の原価率のことをみなし仕入率といい、業種ごとに次の通りとなります。

みなし仕入率
第一種事業(卸売業) 90%
第二種事業(小売業) 80%
第三種事業(製造業等) 70%
第四種事業(その他の事業) 60%
第五種事業(サービス業等) 50%
第六種事業(不動産業) 40%

簡易課税制度を利用できるのは基準期間の課税売上高が5,000万円以下の個人事業主に限られます。ただし、最低2年間は簡易課税制度の利用を止めて、仕入税額控除を実額で計算することはできません。

また、簡易課税制度を利用するためには事前手続きが必要であり、次の区分に応じた提出期限までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出しなければなりません。

(1)すでに事業を開始している個人事業主

簡易課税制度を利用する年の前年末

(2)新規開業の個人事業主

開業した年の末日

課税事業者を選択して消費税の還付を受ける方法

そもそも消費税の還付(返金)を受けられるケースは売上税額よりも仕入税額控除が上回った場合であり、簡易課税制度を利用しない課税事業者であることが最低限の条件です。消費税の還付を受けるためには、たとえば基準期間の課税売上高が1,000万円以下など免税事業者の個人事業主の場合、自ら課税事業者を選択する必要があります。そのために必要な事前手続きは次の区分に応じた提出期限までに「消費税課税事業者選択届出書」を税務署に提出することです。

(1)すでに事業を開始している個人事業主

還付を受けようとする年の前年末

(2)新規開業の個人事業主

開業した年の末日

ただし、一度課税事業者を選択すると、最低2年間は免税事業者になることができません。

消費税の還付が受けられるおもなケースは次の2つです。

(1)多額の設備投資をした場合

課税売上高と比較して、初期投資など多額の設備投資をした場合には、仕入税額控除が増やせるため、売上税額よりも大きくなる可能性があり、消費税の還付につながります。しかし、調整対象固定資産または高額特定資産を購入した場合、原則にかかわらず、その年から3年間は「課税事業者から免税事業者になること」と「簡易課税制度の利用」が認められません。
 

  • 調整対象固定資産:棚卸資産を除いた、建物、車両などの設備投資の一回の取引額が税抜100万円以上のもの
  • 高額特定資産:不動産業における土地などの棚卸資産および設備投資の一回の取引額が税抜1,000万円以上のもの
(2)輸出業者

そもそも輸出業者は国内で仕入れて、海外へ輸出します。そのため、仕入が国内取引のため、仕入税額控除は通常通り計上することができます。しかし、海外への輸出は課税売上高であるが、輸出免税により売上税額がカウントされません。つまり、仕入税額控除だけがカウントされるため、売上税額より上回り、消費税の還付につながります。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6613.htm

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6551.htm

消費税の軽減税率について解説

平成31年10月1日から消費税の税率がアップし、軽減税率が導入される予定です。そこで、軽減税率について解説します。

そもそも消費税の軽減税率とは

消費税の税率が8%から10%にアップします。しかし、軽減税率の対象品目については8%のまま、据え置かれます。そのため、消費税の納税額を計算するとき、売上税額および仕入税額控除について、10%と8%の税率を使い分けることが求められます。

軽減税率の対象品目を紹介

消費税の税率が8%のまま据え置かれる、軽減税率の対象品目は飲食料品と新聞に大別できます。

(1)飲食料品

食品表示法に規定する飲食料品が軽減税率の対象品目です。しかし、酒類および外食、ケータリング、出張料理などの飲食料品は除かれます。

(2)新聞

週2回以上発行される定期購読の新聞が軽減税率の対象品目となります。しかし、新聞の電子版や店舗で購入する新聞は除かれます。

軽減税率の導入に伴う帳簿書類について解説

消費税の軽減税率の導入に伴い、区分記載請求書等保存方式を採用し、帳簿および請求書などの書類を10%と8%に区分表示します。そのため、免税事業者の個人事業主でも課税事業者の取引先から請求書や領収書の区分表示を要求される可能性は十分にあり得ます。つまり、軽減税率の導入は免税事業者の個人事業主にも影響を及ぼすと考えたほうが良いでしょう。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0017007-067_all.pdf

軽減税率対策補助金について解説

軽減税率の導入に伴い、レジなどのシステムの対応が求められます。その補助金として軽減税率対策補助金の交付が受けられます。

補助金の対象者と交付金額

軽減税率に対応したレジや受発注システムを購入した場合、対象者に当てはまれば軽減税率対策補助金の交付が受けられます。

(1)対象者

業種ごとに従業員数が次の人数の個人事業主です。

1. 製造業:300人以下
2 .卸売業:100人以下
3. 小売業:50人以下
4. ソフトウェア業、情報処理サービス業:300人以下
5. 旅館業:200人以下
6. その他サービス業:100人以下

(2)交付金額

対象機器に応じて次の通りです。

1. レジの導入・改修の補助率
  • 導入費用が3万円未満の機器:3/4
  • 導入費用が3万円以上の機器:2/3
  • タブレッド等の汎用機器:1/2

 

なお、限度額は一台当たり20万円(複数台の場合は200万円)です。

 

2. 受発注システムの購入・改修・入替と補助率
  • 補助率:2/3

 
なお、限度額は小売業の発注システム1,000万円、卸売業の受注システム150万円(両方購入する場合は1,000万円)です。

補助金の交付申請の方法

軽減税率対策補助金の交付を受けるためには、交付申請をする必要があります。そこで、交付申請期限について説明します。

(1)導入または改修および支払期日

平成31年9月30日です。

(2)交付申請の期限

基本的に平成31年12月16日です。しかし、受発注システムの改修に限り、平成31年6月28日が交付申請の期限であり、平成31年12月16日までに別途、事業完了報告書を提出します。

http://kzt-hojo.jp/

http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2018/180109zeiritu.htm

 

まとめ

今までは消費税の知識が必要なのは消費税の確定申告をする個人事業主に限られていました。しかし、軽減税率の導入に伴い、請求書や領収書などの発行で税率の区分が求められるため、免税事業者の個人事業主にとっても消費税の知識が必要となるでしょう。この記事を参考に消費税について理解することをおすすめします。

阿部正仁
TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。
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