法人が投資信託している場合の税金と処理方法
法人が投資信託している場合の税金と処理方法

2018/9/27

 
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利益を得るための1つの方法である投資信託。投資信託は、個人の投資家が行うものと思われがちです。しかし、法人でも投資信託をすることは可能です。ただし、法人で投資信託を行う場合はきちんと帳簿付けなどを行い、税金を計算する必要があります。今回は、法人で投資信託をする場合の処理方法について解説します。

そもそも投資信託とは

投資信託ってどんなもの?

まず、そもそも投資信託がどのような金融商品か、その概要から確認しましょう。

投資信託とは、多くの投資家から集めたお金を1つにして、運用の専門家がさまざまなものに投資していくものです。利益が出れば、投資金額等に応じて投資家に分配します。投資信託は投資した金額がすべて回収できるわけではなく、損(元本割れ)することがあるのも特徴の1つです。集めたお金を投資する対象が株式なのか公社債なのかによって、株式投資信託、公社債投資信託などの名前がついている場合が多いです。投資信託には投資、販売、運用、管理で4つの人物・機関が登場します。

①投資

投資信託を購入する投資家です。投資信託は個人でも法人でも投資できます。

②販売

投資信託の販売は金融機関や証券会社などの販売会社が行います。販売会社はいわば窓口で、集めた資金の運用は行いません。投資家ごとの口座の管理や、分配金・償還金の支払いなどの業務を行います。

③運用

投資信託の運用は運用会社が行います。さまざまなデータを独自に分析し、どの株式や公社債に投資するのかを決定します。

④管理

投資家から集めた資金は、運用会社が管理するのではなく、別に信託銀行などで管理されます。これにより、投資家の資金と運用会社の資金を区別することができ、運用会社が投資家の資金を使い込めないようにしています。運用会社の指示で株式などの売買を行います。

投資信託で利益が出る2つのケース

ここまでは、投資信託の仕組みについて見てきました。では投資信託ではいつ、どのように利益が出るのでしょうか、投資信託で利益が出るのは次の2つです。

①分配金

投資信託で出る利益として一般的なのが分配金です。運用した投資信託の利益は、保有する口数等に応じて投資家に分配されます。分配金をいつ受け取るかは、投資信託ごとに異なります。月1回のものもあれば、年1回に受け取るものもあります。

②売却

投資信託で出るもう1つの利益が売却益です。購入した時点での価額より換金(売却)時の価額が高ければ、売却益をあげることができます。換金方法には「買取請求」と「解約請求」があります。

・買取請求

所有している投資信託を販売会社に買い取ってもらい、換金する方法です。

・解約請求

販売会社を通して、信託財産の一部を解約して換金する方法です。

投資信託の会計処理の方法

投資信託を購入した場合の処理方法

ここからは、投資信託を所有している場合の会計処理を見ていきましょう。

投資信託は「有価証券」もしくは「投資有価証券」勘定で処理するのが一般的です。

MMFなどの日々決算型の公社債投信は「有価証券」で、長期所有目的の公募株式投信は「投資有価証券」で処理します。では、購入時の仕訳を見ていきましょう。

 

例)株式投資信託100万円と購入手数料21,600円の合計1,021,600円を、普通預金から支払った。
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
投資有価証券 1,000,000円 普通預金 1,021,600円 投資信託
投資有価証券   20,000円 購入手数料
仮払消費税等     1,600円 購入手数料

 

一般的に、購入時の手数料は投資有価証券に含めて処理します。

投資信託で利益が出た場合の処理方法

次に、投資信託で利益が出た場合の仕訳について確認しましょう。投資信託での利益には、分配金と売却益があります。それぞれの仕訳は次のとおりです。

①分配金

分配金には、さらに利益の分配にあたる「普通分配金」と、元本の払い戻しである「特別分配金」に分かれます。法人の場合、普通分配金からは、15.315%の所得税が差し引かれて振り込まれます。

 

例)普通分配金2万円から所得税3,063円が差し引かれ、差額の16,937円が振り込まれた。また、後日特別分配金1万円も振り込まれた。

●普通分配金の仕訳

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 16,937円 受取配当金 20,000円 普通分配金
仮払金 3,063円 源泉所得税

 

差し引かれた所得税は「仮払金」や「預け金」などの資産科目で処理します。

 

●特別分配金の仕訳

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 1万円 投資有価証券 1万円 特別分配金

 

特別分配金は、元本の払い戻しのため、「投資有価証券」をマイナスします。

②売却益

投資信託の換金(売却)方法には、「買取請求」と「解約請求」があります。実は、「買取請求」と「解約請求」では税務の考え方が異なります。そのため、会計処理も異なるものとなります。

・買取請求

例)証券会社に、投資信託の買取請求を行った。買取金額110万円、売却手数料21,600円が差し引かれ、1,078,400円が普通預金に振り込まれた。帳簿上の投資信託の価額は101万円だった。

 

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 1,078,400円 投資有価証券 1,010,000円 投資信託
支払手数料   20,000円 有価証券売却益 90,000円 売却手数料

売却益

仮払消費税等     1,600円 売却手数料

 

買取請求の場合は、有価証券の譲渡と考えて仕訳を行います。

・解約請求

例)証券会社に、投資信託の解約請求を行った。解約金額110万円、手数料21,600円、所得税13,783円が差し引かれ1,064,617円が普通預金に振り込まれた。帳簿上の投資信託の価額は101万円だった。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 1,064,617円 投資有価証券 1,010,000円 投資信託
支払手数料   20,000円 受取配当金 90,000円 手数料

売却益

仮払消費税等     1,600円 手数料
仮払金    13,783円 源泉所得税

 

解約請求の場合は、配当金の受取と考えて仕訳を行います。

 

今回ご紹介した仕訳は一例です。投資信託にはいくつかの種類があり、その種類によって、仕訳が異なることもあります。

法人で投資信託をしている場合の税金とは

投資信託を譲渡した時の税金とは

ここから、法人で投資信託をしている場合の税金について見ていきます。

投資信託で買取請求をした場合は、譲渡とみなされます。個人事業では本業(事業)と譲渡の所得を分けて計算しますが、法人は分けることはしません。本業の利益と投資信託の譲渡の利益を合算し、合算した利益に法人税率を乗じて、法人税の計算を行います。そのため、投資信託の譲渡で大きな利益が出ている場合は、法人税の金額も大きくなるので注意が必要です。

投資信託で分配金がある場合の税金とは

投資信託で分配金がある場合や解約請求をした場合の利益は、配当金とみなされます。そのため、分配金や解約請求をしたときの利益には、15.315%の所得税が源泉徴収されます(上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率等)。ただし、この源泉徴収された金額は税金の前払いのため、法人税の納付額の計算の際に控除されます。

 

投資信託の分配金や解約請求をした場合の利益は、受取配当金です。ここで注意したいのが、受取配当金の益金不算入制度との関係です。原則、株式投資信託の収益分配金(特定株式投資信託の収益分配金を除く)は、受取配当金の益金不算入の対象外となります。益金不算入の配当金と同様に計算しないように注意が必要です。

まとめ

投資信託には、さまざまな種類があります。そのため、法人で投資信託をしている場合は、その種類に合わせた会計処理や税務処理が必要となります。今回はその中でも一般的な処理方法をご紹介しました。自社が所有している投資信託が一般的な処理方法を行ってよいか不明な場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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