法人や個人事業主など事業をする人が、
知っておきたい消費税の基礎知識
法人や個人事業主など事業をする人が、  知っておきたい消費税の基礎知識

2018/8/14

 
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法人や個人で事業を営むと、さまざまな税金がかかります。中でも、最も気を付けたい税金が消費税です。消費税は事業が赤字でも支払わなければならない税金で、しかも数十万や数百万円などの高額になることもしばしばあります。今回は、法人や個人で事業を営む経営者にぜひ知ってもらいたい、消費税の基礎知識を解説します。

知っておきたい消費税の制度と仕組み

そもそも消費税とはどんな税金?

消費税は、消費という行為に対して課される税金で、すべての国民に公平に負担を求められます。事業を行っている個人や企業は、消費者から集めた消費税を消費者に代わって国に納めるようになっています。

法人や個人事業主は1年間の取引を基に消費税を計算して納付しますが、実は取引には消費税が課税されるものと課税されないものがあります。

消費税が課税される取引とは、国内で事業者が事業として対価を得て行う、商品の販売やリース、サービスの提供などです。そのため、法人や個人事業主が、通常、利益を得るために行っている取引には、原則、消費税が課されます。

 

一方、消費税がかからない取引の例としては、次のようなものがあります。

・別の国での取引は、その国の消費税が適用されるため、消費税がかかりません。

・事業者が事業として行う取引に対して課税されるため、例えば、サラリーマンや主婦が知り合いに使っていた車などを売却した場合には、消費税がかかりません。

・消費税はモノやサービスの「対価」に対して課税されるので、原則、無償であげたものには課税されません。

消費税の免税事業者と課税事業者

すべての法人や個人事業主が消費税を納めなければならないかというと、そうではありません。消費税の制度では、会社の規模などによって、法人や個人事業を消費税の免税事業者と課税事業者に区分しています。免税事業者になるためには、次の基準にすべて該当する必要があります。

 

①前々事業年度(年度)の売上が1,000万円以下

②前事業年度(年度)の上半期日の売上が1,000万円以下、または給料総額が1,000万円以下

 

開業1年目については、前々事業年度(年度)や前事業年度(年度)がありません。

そのため、上記2つの条件を満たすので、通常、免税事業者となります。

ただし、開業1年目でも、その事業年度の開始の日における資本金が1,000万円以上である法人、または資本金が1,000万円以下でも一定の企業に支配されている法人は、免税事業者になることができないので注意が必要です。

 

なお、消費税の免税事業者が課税事業者になるかどうかの判断をする場合、上記判定の売上1,000万円は税込金額で考えます。

消費税の基本 本則課税とは

消費税の3つの取引を理解しよう

消費税の課税事業者である法人や個人事業主は、1年間の取引から納める消費税の金額を計算する必要があります。

一般的な消費税の計算方法が「本則課税」です。簡単に言うと、本則課税では、売上などで預かった消費税から経費の支払いなどで支払った消費税を差し引いた金額が、納める消費税の金額となります。

ただし、日々の取引は大きく分けて、「課税取引」「非課税取引」「対象外取引」の3つに分かれています。そこで、それぞれの取引が3つのどの取引に該当するのか把握する必要があります。

①課税取引

通常に消費税が課税される取引です。商品の売買など一般的な取引は原則、課税取引になります。

②非課税取引

本来は課税取引ですが、取引の性格や政策的配慮により消費税を課さないこととされている取引です。土地の売買や貸付、教科書の販売、住宅の家賃などが該当します。

③対象外取引

そもそも消費税が課されない取引のことです。従業員の給料や香典、お祝い金などが該当します。

本則課税の基本的な計算方法

では、本則課税の基本的な計算方法を見ていきましょう。本則課税の計算の基本の考え方は以下のとおりです。

 

①売上など収入の取引の中から、課税取引のものを集計し、預かった消費税の金額を計算する。

②仕入や経費などの支出の取引の中から、課税取引のものを集計し、支払った消費税の金額を計算する。

③計算し預かった消費税から、支払った消費税を差し引き、納める消費税の金額を求める。

 

具体例で計算方法を確認しましょう。

 

例)

売上2,160,000円、仕入720,000円、経費360,000円の場合

①売上の消費税 2,160,000円×8/108=160,000円

②仕入や経費の消費税 (720,000+360,000)×8/108=80,000円

③消費税の納付額 ①160,000円-②80,000円=80,000円

 

※上記は、本則課税の計算の基本の考え方を示しています。実際の消費税の計算はもう少し複雑になります。

簡易課税とは 簡易課税の制度と仕組み

簡易課税を利用できる事業者とは

消費税の計算方法には、原則的な本則課税のほかに、簡便な計算方法である「簡易課税」があります。簡易課税は、すべての法人や個人事業主が選択できるわけではなく、選択できる事業者には一定の要件があります。簡易課税制度を選択するための要件は、次のすべてを満たす必要があります。

 

①前々事業年度(年度)における課税売上高が5,000万円以下であること

②簡易課税を適用する課税期間開始の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄の税務署に提出していること

 

いったん簡易課税を選択すると、2年間継続する必要があります。また、2年間継続後に簡易課税を取りやめるためには、「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があるので、注意しましょう。

簡易課税の基本的な計算方法

では、簡易課税の基本的な計算方法を見ていきましょう。簡単に言うと、簡易課税とは、仕入や経費などにかかる消費税は無視して、売上にかかる消費税だけを使って消費税を計算する方法です。簡易課税の計算の基本の考え方は以下のようになっています。

 

①売上など収入の取引の中から、課税取引のものを集計し、預かった消費税の金額を計算する。

②①で計算し預かった消費税の金額に、業種ごとに決まっているみなし仕入率を乗じて、仕入や経費などにかかる消費税を簡易的に計算する。

 

③計算し預かった消費税から、簡易的に計算した支払った消費税を差し引き、納める消費税の金額を求める。

 

本則課税と同じ具体例で、計算方法を確認しましょう。

 

例)

売上2,160,000円、仕入720,000円、経費360,000円の場合 みなし仕入率80%

 

①売上の消費税 2,160,000円×8/108=160,000円

②仕入や経費の消費税は、①で計算した売上の消費税に「みなし仕入率」の80%を乗じて、仕入や経費の消費税を計算します。

160,000円×80%=128,000円

③消費税の納付額 ①160,000円-②128,000円=32,000円

 

具体例で確認した通り、簡易課税は仕入や経費などにかかる消費税は無視して、売上にかかる消費税だけを使って消費税を計算する簡易的な計算方法です。そのため、本則課税と計算結果が異なります。本則課税と簡易課税の両方を選択できる場合は、どちらが得になるかを考えて、選択する必要があります。

 

※上記は、簡易課税の計算の基本の考え方を示しています。実際の消費税の計算はもう少し複雑になります。

 

みなし仕入率は、業種によって次のように決まっています。

 

事 業 区 分 みなし仕入率
第一種事業 卸売業 90%
第二種事業 小売業 80%
第三種事業 製造業、建設業、鉱業、農林水産業等 70%
第四種事業 飲食店業など第一種~第三種事業、第五種事業、第六種事業に該当しない業種 60%
第五種事業 金融・保険業、運輸通信業及びサービス業(飲食店業を除く) 50%
第六種事業 不動産業 40%

まとめ

今回は、消費税の基本的な計算方法についてご紹介しました。今回ご紹介したものは、消費税のほんの触りの部分です。実際には、複雑な計算をする場合もありますが、基本的な考え方を知っておくだけでも、おおよその消費税の納税額を計算できます。普段から、消費税について意識し、納税対策などを行いましょう。

 

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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