個人事業主なら知っておきたい
税金の予定納税を徹底解説
個人事業主なら知っておきたい  税金の予定納税を徹底解説

2018/8/1

 
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個人事業主の税金の納付は確定申告だけでありません。確定申告と別に予定納税を納付する義務があります。
「予定納税とはどのような制度なの?」
「納付する金額はどのように計算するの?」
「納付期限はいつなの?」
これら税金の予定納税について徹底解説します。

そもそも予定納税とは何か?

個人事業主に関係する予定納税の税目は所得税と消費税です。各税目について解説する前に、まずは「予定納税とは何か?」について見ていきましょう。

予定納税は税金の前払い制度である

予定納税は税金の前払い制度です。たとえば、2018年の予定納税は2019年確定申告の税金の前払いです。そのため、予定納税は確定申告にも影響を及ぼします。

予定納税は確定申告にどう影響するの?

予定納税は前年の年税額(確定申告で計算した1年間の税金)をベースに計算します。確定申告のときに納付する税金は次の通りです。

 

確定申告で納付する税金=今年の年税額-予定納税の税金

そのため、今年の業績と比較して相対的に前年の年税額が多額の場合、予定納税をするのは大変であり、確定申告を納付する税金が少なくて済みます。一方、前年の年税額が少ない場合、予定納税をする金額は少なく、確定申告で納付する税金は多くなります。

特に業績のよい年の翌年の予定納税については納税資金を確保する必要があります。つまり、「今年はもうかった」と判断して、広告宣伝などに資金を投入しすぎると所得税の予定納税は大変です。

また、「年税額<予定納税額」の場合、予定納税をした税金の一部が確定申告で還付されます。

なお、予定納税は前年の年税額が一定額を下回る場合、納税は免除されます。たとえば、後述する所得税は前年の年税額が15万円未満なら予定納税をする必要はありません。

所得税の予定納税のアウトライン

基本的に所得税の予定納税は前年の年税額をベースに計算しますが、例外として今年の業績をベースに見積計算する方法も存在します。そこで、所得税の予定納税のアウトラインを紹介します。

所得税の予定納税が義務付けられるケース

所得税の予定納税は今年の5月15日現在において確定した前年の年税額(予定納税基準額)が15万円以上である場合に義務付けられます。つまり、5月15日までに確定申告をした所得税の再計算を考慮します。

たとえば、本来受けられないはずの青色申告特別控除65万円を確定申告で所得控除をした場合、この計算ミスに対して5月15日までに予定納税基準額を再計算し、予定納税の計算に加味します。

予定納税基準額の計算方法

個人事業主の場合、基本的に予定納税基準額と確定申告をした前年の年税額は同額です。ただし、確定申告をした前年の所得金額のうち、おもに次の所得を除いて予定納税基準額を計算します。

・山林所得
・退職所得などの分離課税の所得(分離課税の上場株式等の配当所得等を除きます。)
・譲渡所得
・一時所得
・雑所得
など

所得税の予定納税の納付期限と納付金額は?

所得税の予定納税の納付期限と納付金額は次の通りです。

納付期限 納付金額
第一期:7月31日 予定納税基準額の3分の1
第二期:11月30日

もちろん、納付期限を過ぎると延滞税などのペナルティが発生し、予定納税の税金に上乗せして納付しなければなりません。

 

また、所得税の納付で振替口座を利用している個人事業主がクレジットカード納付をする場合は、事前に税務署へ連絡した後に納付手続きをする必要があります。仮に連絡を怠ると予定納税の所得税が口座から引き落とされてしまうからです。

予定納税の減額申請とは?

今年の業績が芳しくない場合など予定納税基準額の3分の1を納付するのが大変な場合、見積計算をすることが認められています。具体的には「予定納税額の減額申請書」を次の申請期限までに提出することで、予定納税の減額申請ができます。

申請期限 計算ベースの金額
第一期の減額申請:7月15日 6月30時点の業績
第二期の減額申請:11月15日 10月31日時点の業績

 

国税庁では、予定納税の減額申請の対象者を次のように例示しています。

(1) 廃業や休業、失業をした場合

(2) 業績不振などのため、本年分の所得が前年分の所得よりも明らかに少なくなると見込まれる場合

(3) 災害や盗難、横領により事業用資産や山林に損害を受けた場合

(4) 次のように本年分の所得控除額や税額控除額が前年分と比較して増加する場合

・災害や盗難、横領により住宅や家財に損害を受けたなどにより雑損控除を受けられる場合

・多額の医療費を支出したため、医療費控除を新たに受けられる場合や前年分よりも医療費控除額が増加する場合

・配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、寡夫控除など所得控除を新たに受けられる場合

・住宅ローン控除などを新たに受けられる場合

など

消費税の予定納税のアウトライン

消費税の予定納税は所得税よりもルールが細かいです。そこで、予定納税のアウトラインについて紹介します。

消費税の予定納税が義務付けられるケース

確定申告をした前年の消費税および地方消費税の合計額(年税額)が60万円超の場合は予定納税が義務付けられます。一方、年税額が60万円以下の場合、予定納税は免除されます。

消費税の予定納税の納付期限と納付金額は?

消費税の予定納税は前年の年税額によって、納付期限と納付金額が異なります。そこで、前年の年税額ごとに見ていきましょう。

前年の消費税の年税額 対象期間 納付期限 納付金額
60万円超500万円以下 1~6月 8月31日 前年の消費税の年税額の2分の1
500万円超6,000万円以下 1~3月 5月31日 前年の消費税の年税額の4分の1
4~6月 8月31日
7月~9月 11月30日
6,000万円超 1~3月 5月31日 前年の消費税の年税額の4分の1
4月 6月30日 前年の消費税の年税額の12分の1
5月 7月31日
6月 8月31日
7月 9月30日
8月 10月31日
9月 11月30日
10月 翌年1月4日
11月 翌年1月31日

予定納税を実額で計算する仮決算とは?

所得税と同様に今年の業績が芳しくない場合など、前年の消費税をベースに計算した予定納税が大変なケースは十分に考えられます。そのため、予定納税の対象期間で仮決算を行い、今年の業績をベースに実額で予定納税の消費税を計算することが認められています。その場合、消費税の中間申告書を税務署へ提出しなければなりません。仮に申告をしないと、前年の消費税をベースに予定納税の消費税を計算し、納税することを選択したとみなされます。

また、仮決算による予定納税額が年税額より多額でも、納めすぎた消費税は還付されません。

まとめ

予定納税は税金の前払いであり、基本的に前年の業績をベースに計算します。特に今年の業績が芳しくないなど資金繰りが苦しいときは予定納税を納付するのは大変です。そのため、確定申告をした後の所得税、消費税の年税額を確認し、予定納税の納付期限と納付金額を事前に把握しましょう。

阿部正仁
TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。
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