個人事業主に関係する税金が
非課税になるケースを徹底解説
個人事業主に関係する税金が  非課税になるケースを徹底解説

2018/7/19

 
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個人事業主が事業活動による収入とは別の収入がある場合、所得税の確定申告をするかどうかについて迷うケースがあります。しかし、非課税なのは所得税だけではありません。住民税や消費税も非課税となり得ます。そこで、非課税になるケースを徹底解説します。

所得税の非課税収入を紹介

収入のうち所得税が非課税になるのには理由があります。そこで、非課税の理由と具体例を説明します。

そもそも所得税が課税される「所得」とは?

所得税は文字通り、「所得」に対して課税する税目です。その所得とは、もうけのことを指します。事業活動に係る事業所得はもちろん、銀行口座へ預け入れることにより受け取る利子ももうけの一種であり、所得税の課税対象です。また、自宅など事業と関係ない不動産を売却した場合の利益も譲渡所得として認識されます。このようにもうけである所得に対して課税するのが所得税です。

非課税所得の具体例を紹介

所得税は所得に対して課税するため、明らかにもうけと関係ない収入は非課税所得となります。そこで、非課税所得の具体例を紹介します。

(1)人的補償

人身事故などの被害による保険金、遺族年金、障害年金など人的被害に対する収入のことを指します。明らかにもうけと関係ないため、非課税所得となります。

(2)損害賠償金

「加害者から治療費、慰謝料、自動車事故などによる損害賠償金」や「社会通念上の範囲内の見舞金の受領」も上記(1)と同様にもうけと関係ありません。しかし、商品の事故による損害賠償金は商品を売ったのと同じ経済効果が得られるため、所得税の課税対象となります。

(3)ギャンブル収入

基本的に競馬などのギャンブル収入は一時所得として認識されます。しかし、宝くじの払戻金など特定の収入については所得税法とは別の法律で非課税所得となります。

(4)生活用動産の売却収入

そもそも生活用動産とは、生活必需品のうち不動産を除いた物を指します。その生活用動産の範囲は、たとえば生活に必要な家具、什器、通勤用の自動車、衣服などの動産が挙げられます。

(5)社会政策に基づくもの

失業保険、生活保護 などは社会政策に基づき非課税所得となります。しかし、個人事業主がこれらを受給するのは一般的に難しいです。たとえば、退職後に事業を営んでいるにもかかわらず、失業保険を受給すれば不正受給になってしまいます。また、生活保護の受給は個人事業主の収入だけでは生活でない場合に限定されます。仮に個人事業主の収入で生活できるにもかかわらず、生活保護を受給すれば不正受給となります。

住民税が非課税になるケース

住民税は本人の置かれている状況と前年の所得金額により、非課税になるケースがあります。

非課税の対象者とその条件

住民税の非課税となる対象者とその条件は次の通りです。

(1)1月1日現在で生活保護法による生活扶助(生活保護)を受けている場合

前年の所得金額に関係なく、住民税は非課税です。

(2)1月1日現在で本人が障害者、未成年者、寡婦(夫)の場合

前年中の合計所得金額が125万円以下なら住民税は非課税です。

(3)上記(2)を除いた人は前年の合計所得金額が次の金額以下の場合

扶養親族(年齢は関係ありません)の有無によって、住民税が非課税となる合計所得金額が異なります。

扶養親族の有無 合計所得金額
扶養親族がいない場合 35万円以下
扶養親族のいる場合 35万円×(控除対象配偶者+扶養親族数+1)+21万円以下

合計所得金額の計算方法

合計所得金額とは、10種類の所得金額の合計額のことを指します。たとえば、年の途中で退職し、事業を始めた個人事業主がいるとします。この個人事業主の合計所得金額は退職した会社からの給与所得と退職所得、事業でもうけた事業所得の合計額となります。おもな所得の計算方法は次の通りです。

所得の種類 所得金額の計算方法
配当所得 収入金額-負債利子(借入金利子)
不動産所得、事業所得 収入金額-必要経費-青色申告特別控除額
給与所得 収入金額-給与所得控除額
退職所得 収入金額-退職所得控除額(原則の場合)
一時所得 収入金額-支出金額-特別控除50万円
雑所得 収入金額-必要経費

消費税の非課税収入を紹介

個人事業主は事業活動で収入を得た場合には、基本的に「預かった消費税-支払った消費税(仕入税額控除)」を納付する義務があります。しかし、収入の中には消費税の非課税収入が存在し、預かった消費税にカウントされません。それでは、詳しい内容を見ていきましょう。

そもそも消費税の非課税とは?

消費税が課税されない収入は3種類あります。

(1)不課税取引に係る収入

そもそも消費税が課税される収入は事業活動により商品を販売したなど対価収入に限定されます。つまり個人事業主の場合、「事業活動によらない収入」や「贈与など対価収入でないもの」には課税されません。これらの収入に係る取引のことを不課税取引といいます。

(2)輸出免税に係る収入

事業活動による収入のうち、輸出売上に係る収入のことを指します。厳密には、消費税の課税売上ですが、税率が0%のために非課税となります。この税率が0%による非課税のことを輸出免税といいます。特に国内で商品を仕入れて海外へ売却する形態の輸出業は、消費税は非課税(預かり分が0円)なのに対し、仕入税額控除が受けられるため、消費税が還付される傾向にあります。

(3)非課税取引に係る収入

国内での事業活動による対価収入うち、社会政策的に非課税にしているものをいいます。たとえば、不動産投資の住居用の賃貸収入は対価収入ですが、消費税は非課税です。この社会政策的に非課税にしているものに係る取引を消費税法上の非課税取引と位置付けています。

また、上記(3)の収入については納税額を計算するために預かった消費税から差し引く支払った消費税の算定に影響を及ぼします。たとえば、住居用の賃貸収入など非課税取引に係る収入を得るために支出した通信費に係る消費税は仕入税額控除に含まれません。

消費税の不課税と非課税収入の具体例を紹介

消費税の不課税収入と非課税収入のおもな例は次の通りです。

(1)不課税収入

・寄附金、祝金、見舞金、補助金などの収入
・保険金や共済金に係る収入
・株式の配当金
・給料、賃金(給与所得になる収入)
・心身または資産について加えられた損害の発生に係る損害賠償金
など

(2)非課税収入

・株式や仮想通貨の売却収入
・住居用の賃貸収入(契約期間が1ヵ月以上のものに限る)
・土地の売却または貸付収入
・預貯金の利子
・切手、印紙、商品券、プリペイドカードなどの売却収入
・身体障害者用物品の売上や貸付収入
など

まとめ

個人事業主の非課税収入は所得税だけではありません。消費税の非課税収入も存在します。また、所得金額が少なければ住民税が非課税になるケースがあります。この記事を参考にして、収入の課税または非課税の区別、住民税が非課税となる可能性の検討にお役立てください。

阿部正仁
TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。
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