個人事業主がFX取引で利益が出た場合の税金とは?
FXと税金の関係
個人事業主がFX取引で利益が出た場合の税金とは?  FXと税金の関係

2018/7/30

 
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2国間の通貨の売買により、利益を獲得するFX取引。現在、FX取引は広く普及しており、取引をしているという人も多いでしょう。では、FX取引を行った場合の申告や税金はどうなるのでしょうか。ここでは、個人事業主がFX取引で利益が出た場合の確定申告や税金について詳しく解説します。

FX取引で利益が出たら、確定申告は必要?

FX取引で利益が出た場合に、確定申告が必要な人と不要な人

原則、FX取引で利益が出た場合は確定申告が必要です。ところが、実はFX取引で利益が出た場合であっても、確定申告が不要な人がいます。確定申告が不要な主な人は、次の要件に該当する人です。

①支払う税金のない人

所得税では、基礎控除38万円や配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除などの所得控除があります。FX取引で利益が出た場合でも、その利益(他の利益があればそれも含む)より所得控除の金額が多ければ、支払う税金はありません。

②サラリーマンで給与所得(及び退職所得)以外の所得が20万円以下の人

あくまで所得(もうけ)が20万円以下です。「収入金額が20万円以下」ではないので注意してください。

③公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の人

 

個人事業主の場合も①の支払う税金がない場合は、確定申告を行う必要はありません。ただし、確定申告をしないと所得証明が出ないことや、青色申告をしている個人事業主については通常、確定申告が必要なため、一般的な個人事業主は、FX取引についても個人事業とともに確定申告が必要です。

FX取引の所得は所得税の何所得になる?

通常、個人事業主は確定申告を行います。そこで重要なのが、FX取引の所得が何の所得になるのかということです。所得税では、個人が1年間に得た収入をその種類により、事業所得や給与所得など10の所得に分類して、所得金額や税額の計算を行います。一般的なFX取引は事業所得になるものを除き、雑所得になります。FX取引で事業所得になる場合は、大型の機械や備品を使い、FX取引を専門として仕事を行っている場合です。そのため、別に本業がある個人事業主がFX取引で利益を得た場合は、雑所得になります。雑所得とは、他のいずれの所得にも該当しない所得のことです。

FX取引で利益が出た場合の計算方法

FX取引の利益の計算方法

FX取引を行い、確定申告を行う場合は、FX取引でどれだけの利益(所得)が出たかを計算する必要があります。雑所得の所得金額は、「総収入金額-必要経費」の計算式で計算します。これをFX取引にあてはめると、次の計算式になります。

 

FXの利益(所得)=為替差益+スワップポイント-必要経費

 

それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。

①為替差益

2国間の通貨の売買をした場合の、為替の違いにより得た利益です。通常、FX取引はこの為替差益を得るために行います。

②スワップポイント

スワップポイントとは、簡単にいうと、2つの通貨の金利差のことです。

通貨にはそれぞれ、国が定めた金利があります。日本円を所有している場合は、日本円に対する金利がつきます。

しかし、FX取引は、2国間の通貨の取引です。そのため、異なる2国間の金利が影響してきます。低金利の通貨を売って、高金利の通貨を買った場合は為替差益だけでなく、その金利差(スワップポイント)も得ることができます。ポジションを維持したときには、維持した金額と期間分に応じたスワップポイントを受け取ることができます。このスワップポイントも、もちろん利益になるため、FXの利益の計算でプラスすることになります。

③必要経費

FX取引で利益を得るために直接かかった費用は、必要経費として認められます。例えば、取引手数料や、FX取引について記載された書籍、セミナー代などです。

FX取引のみで使っているパソコンの費用なども認められる可能性は高いですが、FXで利益を得るために必要な経費である旨を合理的に説明できる必要があるので、注意しましょう。

FX取引の税金の計算方法

FX取引の利益を計算したら、次は税金の計算です。先に「FX取引で利益を得た場合は、雑所得になる」と述べました。実は、雑所得にもいくつか種類があり、FX取引は「先物取引に係る雑所得等」に該当します。通常の雑所得は、事業所得や給与所得と合算し、その合算した所得に対し、一定の税率を乗じて所得税の金額を計算します。一方、先物取引に係る雑所得等の場合は、他の所得と合算せずに、税率20%(所得税15%、住民税5%)で税金を計算します。2037年までは、その他に0.315%の復興特別所得税がかかります。

 

例えば、FX取引の利益が100万円の場合の税額は以下のとおりです。

 

所得税 100万円×15.315%=153,000円(千円未満切捨、復興特別所得税含む)

住民税 100万円×5%   = 50,000円

合計            203,000円

FX取引による確定申告の方法

先物取引にかかる雑所得等の損益通算

FX取引は、「先物取引に係る雑所得等」に該当します。しかし、「先物取引に係る雑所得等」に該当する取引はFX取引だけでなく、次のようなものがあります。

 

・商品先物、日経225等の先物取引

・CFD、オプション取引

・上場カバードワラント

 

では、このうち1つが黒字で、もう1つが赤字の場合はどうなるのでしょうか。

例えば、FX取引が110万円の黒字で、商品先物が10万円の赤字の場合などです。

この場合は、黒字と赤字を相殺できます。つまり、「FX取引の黒字110万円-商品先物の赤字10万円=100万円」が、先物取引に係る雑所得等の金額として課税対象となります。この黒字と赤字の相殺のことを損益通算といいます。

FX取引などの赤字が損益通算できるのは、あくまで他の「先物取引に係る雑所得等」の取引のみです。FXの赤字と事業の黒字、もしくは事業の赤字とFXの黒字のように、別の所得と損益通算をすることはできないので、注意しましょう。

 

「先物取引に係る雑所得等」の取引内で損益通算をし、なお黒字が出ている場合は確定申告が必要です。FX取引で黒字がある場合は、通常の確定申告書に「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」を添付して提出する必要があります。

FX取引で赤字が出た場合の処理方法

個人事業主は、本業の事業について確定申告をする必要があります。FX取引で赤字が出た場合は、原則FX取引について申告する必要はありません。本業の事業についてのみ確定申告を行います。

ただし、FX取引で生じた赤字(損失)は、確定申告をすることを条件に、その赤字(損失)の金額を翌年以後3年間にわたって繰り越し、翌年以降に生じたFX取引の黒字と相殺することができます(翌年以後3年間は毎年、FX取引についての申告が必要)。

 

例えば、今年FX取引で20万円の赤字、翌年15万円の黒字が出た場合、今年FX取引について確定申告しておけば、翌年の15万円の黒字は、今年の赤字と全額相殺できるので、翌年はFX取引についての税金はなしになります。FX取引の赤字について確定申告しておかなければ、今年の赤字は切り捨てられ、翌年は15万円の黒字×20.315%=3万円(千円未満切捨)の税金がかかります。翌年に黒字がでるかどうかはわかりませんが、FX取引で赤字が出た場合は念のため確定申告しておいた方が有利でしょう。

※翌年以降に相殺できるのは、先物取引に係る雑所得等の黒字のみです。事業所得の黒字とは相殺できません。

 

FX取引で赤字を翌年に繰り越すためには、通常の確定申告書に「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」と「所得税の確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」を添付して提出する必要があります。

まとめ

個人事業主で、本業のほかにFX取引を行っている人は少なくありません。しかし、FX取引の利益の計算方法や申告方法を知っておかないと、正しく申告できなかったり、思わぬ損をしてしまうことがあります。FX取引を行っている場合は、FX取引の利益の計算方法や申告方法を理解し、正しく申告しましょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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