店舗を開業、
経営1年目の個人事業主のための税金について解説
店舗を開業、  経営1年目の個人事業主のための税金について解説

2018/7/3

 
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店舗を開業するには多額の設備投資が必要になるケースがあるでしょう。そのため、税金の計算が複雑です。たとえば、物件の賃借費用の中には、支払金額のうち支払時に経費で落とせない項目が存在します。そこで、開業1年目の個人事業主のための税金について解説します。

開業費用は経費で落とせるの?

一般的に個人事業主の経費は事業に関連するものといわれています。その範囲は事業活動中のみではなく、開業費用も含まれます。そこで、税法上の取り扱いや範囲について説明します。

そもそも開業費用とは何か?

開業費用とは、開業準備に必要な費用のことを指します。たとえば、店舗の物件を探す交通費や許認可の申請に必要な手数料などの費用が挙げられます。税法上では「開業費」として取り扱われ、事業活動中で使った年に経費で落とす費用とは異なり、資産計上と経費計上が選択できるのが特徴です。たとえば、開業費100万円があるとします。今年は50万円ずつ資産と経費に計上したり、全額資産計上したり、全額経費計上したりすることができます。

開業費になる範囲とは?

開業費用について、開業費になる範囲は定められています。開業前の費用としては、おもに次の通りです。
・開業のためのチラシ、広告などの制作費、広告宣伝費
・名刺作成費用
・土地、建物などの家賃
・物件を借りるときの仲介手数料
・電話、インターネットなどの通信費
・10万円未満のインク代など消耗品費
・オープニングスタッフなど従業員に対する給料
・電気代、ガス代、水道料

資産計上する開業費用の範囲

開業費用でも開業費ではなく、資産計上する項目は存在します。おもに次の通りです。
・10万円以上する固定資産
・商品や原材料など在庫の仕入代金
・敷金、保証金、加盟金など契約の解約時に返金されるもの
・返金されない敷金、保証金、礼金などのうち、契約期間が複数年のもの

開業1年目には必須、確定申告の税金について解説

個人事業主として開業する以上、確定申告は避けられません。そこで、確定申告の税金について解説します。

売上原価の計算に欠かせない在庫の金額の計算方法

開業1年目の売上原価の金額は「年間仕入金額-年末時点での在庫の金額」で計算します。そのため、在庫の金額を計算することで、間接的に売上原価の金額が決まってきます。具体的には次の手順で計算します。

(1)年末時点での在庫の数量を数える

商品や原材料などの種類ごとに数量を数えます。たとえば、コンビニエンスストアにボールペンの在庫があるとします。たとえ同種類のボールペンでも、0.5ミリや0.7ミリと細分化して数量を数える必要があります。

(2)在庫の数量に仕入単価を掛けて金額を求める

税法上、仕入単価の算定方法はいろいろ存在しますが、特に算定方法を選択しない場合は「最終仕入原価法」を採用して在庫の計算をします。最終仕入原価法とは、たとえば0.5ミリのボールペンの仕入単価が10月5日は60円、12月20日は62円の場合、後者の単価で在庫の金額を計算する方法です。

(3)仕入に付随する費用も在庫の金額に含めて計算する

商品などを購入する際の発送運賃などの付随費用についても、未販売分に対応する金額は在庫の計算に算入します。しかし例外として、付随費用が年間仕入金額のおおむね3%以内の場合は在庫の金額に含めないでもよいとされています。

在庫を家事消費した場合の計算方法

そもそも家事消費とは商品などの在庫を事業主がプライベートに使用したことを指します。代金のやり取りがなくても事業主への売上と同じなので、次のように処理します。

例)スーパーで販売価格が100円の果物を事業主が家事消費した場合
(1)基本は販売価格で売上を計上する

基本は果物の販売価格100円を売上に計上します。経理処理は次の通りです。

借方 貸方 金額
事業主貸 売上 100円
(2)帳簿に記帳している場合は販売価格の70%以上の計上ができる

帳簿に収入金額を記帳している場合に限り、販売価格の70%以上で売上に計上することが認められています。そのため、販売価格100円の果物を例にすると、売上は「100円×70%=70円」であり、経理処理は次の通りです。

借方 貸方 金額
事業主貸 売上 70円

資産計上した固定資産や保証金などを経費で落とす計算方法

そもそも経費で落とせる資産計上の項目は、「固定資産は使用に伴い価値が減少する減価償却資産」と「保証金などは税法上の繰延資産」に大別できます。

(1)減価償却資産を経費で落とす計算方法

減価償却資産は税法上の使用可能期間である耐用年数を用いて、複数年にわたって経費で落とします。たとえば、耐用年数5年の減価償却資産100万円なら、5年間にわたって年間平均20年ずつ経費で落としていきます。

(2)税法上の繰延資産を経費で落とす計算方法

税法上の繰延資産は上記(1)の耐用年数に相当する償却期間を用いて、複数年にわたって経費で落とします。その償却期間は項目ごとに定めらており、たとえば家賃の保証金なら、基本的に契約期間か5年のうち、いずれか短い期間となります。

(3)少額の減価償却資産や保証金は支払時に一括で経費として落とせる

一括で経費として落とせる金額の範囲は次の通りです。

 

資産の種類 確定申告の種類 金額
減価償却資産 青色申告 30万円未満
白色申告 10万円未満
税法上の繰延資産 青色申告と白色申告ともに共通 20万円未満

自宅兼店舗を購入した場合の住宅ローン控除について解説

店舗経営1年目の個人事業主の中には、ローンで自宅兼店舗を購入するケースがあります。その場合、次の条件を満たさないと住宅ローン控除が受けられません。

(1)新築または取得した自宅と店舗を合わせた床面積が50平方メートル以上であること
(2)上記(1)の床面積の2分の1以上が自宅として居住用に使用していること
など

特に(2)については、注意が必要です。自宅兼店舗の半分を超える部分が事業用の場合、住宅ローン控除が受けられなくなるからです。

確定申告のほかに固定資産税がかかる

店舗経営は備品などの固定資産が必須です。そのため、固定資産税が課税されます。そこで、詳しい内容を解説します。

固定資産税のかかる条件

そもそも固定資産税は土地、家屋(建物)、償却資産(自動車を除いた動産の減価償却資産)ごとに課税されます。その課税される条件となる金額は次の通りです。

 

資産の種類 金額 左記の算定基準
土地 30万円以上 時価の約70%
家屋 20万円以上 購入金額から使用に伴う減価分の金額を差し引いた残額
償却資産 150万円以上

土地、家屋、償却資産の範囲

固定資産税を計算する上で土地、家屋、償却資産の範囲は次の通りです。

資産の種類 範囲
土地 宅地などの土地
家屋 住家、店舗、倉庫などの建物
償却資産 店舗の改装費用、構築物、機械・装置、工具・器具及び備品など
(参考資料)償却資産の例示
業種 申告対象となる主な償却資産の例示
共通 パソコン、コピー機、ルームエアコン、応接セット、内装・内部造作等、看板(広告塔、袖看板、ネオンサイン)、LAN設備等
娯楽業 パチンコ器、パチンコ器取付台(島工事)、ゲーム機、両替機、カラオケ機器、ボーリング場用設備等
料理飲食店業 テーブル、椅子、厨房用具、冷凍冷蔵庫、カラオケ機器等
小売業 陳列棚・陳列ケース(冷凍機又は冷蔵機付きも含みます。)等
理容・美容業 理容・美容椅子、洗面設備、消毒殺菌機、サインポール等
クリーニング業 洗濯機、脱水機、乾燥機、プレス機、ボイラー、ビニール包装設備等
ホテル・旅館業 客室設備(ベッド、家具、テレビ等)、厨房設備、洗濯設備、音響設備、放送設備、家具調度品、駐車場設備等

(参考:東京都主税局)

http://www.tax.metro.tokyo.jp/shisan/shokyak_sis.html#gaiyo_03

まとめ

いかがでしたか。
店舗経営の税金について、開業、確定申告、固定資産税の3つに区分して解説しました。特に開業費の計上は忘れがちです。だからこそ、これから店舗を開業する起業家は事前に知識を身につけ、開業1年目でも税金に困らないようにしましょう。

阿部正仁
TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。
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