法人が増資をすると税金が増える?
増資と税金の関係とは
法人が増資をすると税金が増える?  増資と税金の関係とは

2018/6/21

 
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法人は、売上や利益などに関係する税をはじめ、事業活動の中でさまざまな税金を支払います。中には、資本金の金額に影響される税もあります。では、法人が増資すると税金にどのような影響が及ぶのでしょうか。ここでは、増資をした場合など、法人の資本金と税金の関係について、詳しく解説します。

増資とは 増資の種類とその方法

増資には大きく分けて2種類ある

法人が設立して事業活動を続けていく中で、増資することがあります。増資とは、資本金を増やすことです。株式会社の場合、増資するためには新しい株式を発行します。実は、増資には大きく分けて有償増資と無償増資の2種類あります。

①有償増資

有償増資とは、会社は新しい株式を発行し、出資者がお金を出してその株式を購入する増資の方法です。

②無償増資

無償増資とは、会社内で留保している資本準備金などの資産を使って、株式を発行し増資する方法です。この増資方法では、出資者が新たにお金の準備をする必要がありません。

 

つまり、お金のやり取りがあるのが有償増資、お金のやり取りがないのが無償増資です。

増資をする方法は複数ある

増資には、大きく分けて有償増資と無償増資があります。しかも、それぞれの増資方法は、さらに複数の方法に分かれます。有償増資、無償増資それぞれについて主なものを見ていきましょう。

【有償増資の種類】
①公募増資

公募増資とは、有償増資の中で一般的な増資方法です。その名のとおり、一般投資家に公募して出資者を募り、増資する方法です。上場企業など株式を公開している会社が、資金調達をする方法です。

②株主割当増資

現在の株主のみに新たに出資してもらって増資する方法が、株主割当増資です。出資する株主は株主全員で、増資する前の持ち分割合に応じて新しい株式を割り当てます。増資前と増資後の持ち分や議決権の割合が変わらないため、株主がそれほど多くない場合や現在の株主の影響力を変えたくない場合に行われます。

③第三者割当増資

第三者割当増資とは、一般投資家ではなく、その会社の従業員や役員、関係の強い取引先などから出資してもらって増資する方法です。中小企業や同族会社などが増資する場合、よく行われる方法です。

【無償増資の種類】
①利益の資本組み入れ

無償増資で一般的に行われる増資方法が、利益の資本組み入れです。会社は利益が出ると、株主に配当したり、資本準備金や利益準備金のように、社内に留保したりします。社内に留保した利益を資本金に組み入れるのが、利益の資本組み入れです。中小企業や同族会社の場合など、第三者の承認が必要ない会社で、増資する場合に行われることが多いです。

②現物出資

現物出資とは、お金ではなく持っている資産を資本金にする方法です。土地や建物、車など基本的には資産の種類は問いません。手元に資金がなく増資したい場合に行われます。

法人が増資をするメリットとデメリット

法人が増資をするメリット

見てきた通り、法人はいろいろな方法を使って増資を行います。それは、法人が増資するとメリットがあるからです。ここでは、法人が増資をするメリットを見ていきましょう。

①返済不要

法人が資金を調達する方法として、増資と金融機関等からの融資があります。増資と融資の大きな違いは、調達した資金を返済する必要がないことです。返済のことを気にせず、法人の経営体制や財務体質の強化などが行えます、また、融資と違い、利息などの経費を抑制することもできます。

②外部に対する信用力の強化

その会社の信用を判断するためには、売上や利益などいろいろな指標がありますが、指標として多く用いられているのが資本金です。資本金が多いということは、それだけ資金を集める力があるということです。そのため、資本金が多いと外部に対する信用力の強化につながります。外部に対する信用力があると、優良な取引先と商売ができたり、事業の拡大を考えるときに金融機関からの融資が受けやすかったりするなどのメリットがあります。

法人が増資するデメリット

法人が増資する場合は、メリット以外にデメリットもあります。

①手間やコストがかかる

法人が増資するためには、さまざまな手続きが必要です。例えば、増資の前には株主総会を開いたり、増資後には法務局への登記申請や税務署や都道府県税事務所、市役所などへ届出の提出などをしたりします。また、登記申請には登録免許税がかかります。増資の手続きを司法書士や税理士に依頼する場合は、その手数料も必要です。

②増資後の配当金の金額が増える

利益が出ると、株式数に応じて株主に配当金を支払います。増資をするということは、発行済の株式数が増えるということです。そのため、増資後は増資前より配当金の金額が増え、会社の資金が目減りします。

法人が増資をすると税金が高くなる

資本金が1,000万円になると税金が高くなる

法人が増資をする場合の注意点としてあげられるのは、資本金が一定金額を超えると、税金が高くなるということです。税金に関係する資本金の金額として、1,000万円と1億円があります。まずは、資本金が1,000万円になった場合から見ていきましょう。

①法人住民税の均等割

法人が法人税の申告で支払う税金は、国に支払う法人税のほかに、都道府県と市区町村に支払う法人住民税があります。法人住民税では、その地域に存在するすべての法人が支払う「均等割」があります。この税金は赤字であっても支払う必要があります。均等割はその地域によって異なりますが、7万円の場合が多いです(従業員50人以下)。ちなみに、東京都も7万円です。均等割の金額は、資本金が1,000万円を超えると高くなります。東京都の場合では18万円となります。

※厳密には、資本金だけでなく、資本剰余金なども含めた「資本金等の額」が基準となります。

②消費税の課税事業者

法人には、消費税の免税事業者と課税事業者が存在します。消費税の免税事業者になるか課税事業者になるかの判定には、いろいろな基準がありますが、設立したばかりの法人(新設法人)は、資本金が1,000万円未満の場合、設立後2年間は消費税の免税事業者となります(2年目は前年度の上半期の売上高により、課税事業者になる場合あり)。消費税は、利益が赤字でも、売上高などに対して課される税金のため、数十万や数百万円の税額になる可能性が高い税金です。そのため、資本金の額による免税効果はけっして小さいものではありません。増資する際には特に注意が必要です。

資本金が1億円になると税金が高くなる

資本金1,000万円は、税金が高くなるひとつの目安となっていますが、さらにもう1段階、税金が高くなる目安があります。それは資本金1億円の場合です。

①法人税の軽減税率

資本金1億円以下の法人には、軽減税率が適用されます。資本金1億円未満の場合、年800万円以下の所得に対して15%の税率です。これに対し、資本金1億円超の法人では23.4%の税率になります(平成30年4月1日現在)。

②中小企業の特例

資本金1億円以下の法人には、次のような中小企業の特例があります。

・30万円未満の少額減価償却資産の特例

・交際費の定額控除

・一定の機械などを取得した場合の税額控除・特別償却

これら特例は、資本金が1億円超になると適用できなくなります。

③法人事業税、法人住民税の均等割

法人事業税では、資本金が1億円超になると外形標準課税制度の対象となり、税額が高くなる可能性があります。また、資本金1,000万円超のときと同じように、法人住民税の均等割額がさらに高くなります。

まとめ

法人は増資をすることで、法人の経営体制や財務体質の強化を図れたり、対外的な信用力の強化を図れたりするなどのメリットがあります。しかし、資本金が一定の額を超えると支払う税金が増えるなどのデメリットもあります。増資を考えるときには、メリット・デメリットをしっかり把握するようにしましょう。

 

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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