法人で外貨預金の為替差益がある場合の
税金と処理方法
法人で外貨預金の為替差益がある場合の  税金と処理方法

2018/5/25

 
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外国企業との取引を行っている場合など、外貨預金を所有している法人も少なくないでしょう。外貨預金を所有している場合に問題となるのが、どのように帳簿付けをするかということです。帳簿付けの方法を間違えれば、税金にも影響を与えます。ここでは、外貨預金の為替差益や差損がある場合の処理方法を解説します。

法人で外貨預金を所有している場合の処理の流れ

一般的な取引の流れ

外貨預金の為替差益や差損がある場合の処理方法を理解するためには、まず、外貨預金を所有している場合の一般的な取引の流れを知る必要があります。

【外貨預金を所有している場合の一般的な取引の流れ】
①外貨預金の口座を作る

まず、外貨預金の口座を作り、いくらかの現金を入金します。

日本の企業会計は、円単位を前提とするため、預け入れた日本円で帳簿付けします。

②外貨での取引

商品の販売や購入、サービスの提供など、外貨で行った取引はすべて帳簿付けする必要があります。日本円に換算して帳簿付けします。

③決算時の処理

決算時に残っている外貨預金や売掛金、買掛金、借入金などの外貨建資産や負債は、決算時の為替レートで円換算します。

円換算時に益が出れば為替差益で、損が出れば為替差損で処理します。また、為替差損益勘定を使って処理する場合もあります。為替差益や為替差損は損益に影響を与えるので、損益を基に計算する税金にも影響を与えます。

外貨建取引と外貨建資産等

外貨を使った場合に帳簿付けが必要なのが、外貨建取引と外貨建資産等です。この2つは経理処理方法が異なります。そこで、まずは外貨建取引と外貨建資産等がどのようなものか確認しておきましょう。

①外貨建取引

外貨建取引とは、外国通貨を使用する取引です。

外貨を使った資産の販売や購入、役務の提供、金銭の貸付や借入、剰余金の配当などの取引が外貨建取引に該当します。

外貨建取引は、原則「取引日のレート」を使って処理します。

②外貨建資産等

外貨建資産等とは、決算時に所有している資産や負債のことです。

外国通貨、外貨預金、外貨建債権債務、外貨建有価証券などが外貨建資産等に該当します。

外貨建資産等は、原則決算時に「期末時のレート」で円換算します。ただし、決算日から1年を超えて満期がくるような長期の外貨建資産等は、期末時のレートで円換算せずに取引日のレートで円換算したままにしておきます。

外貨建取引の処理方法

外貨建ての売上がある場合の処理方法

ここからは、実際に外貨預金を所有している場合の処理方法を見ていきましょう。まずは、外貨建取引で売上がある場合です。外貨建取引は、原則「取引日のレート」を使って処理します。

①為替差益が出る場合
例)4月10日に商品を2,000ドルで売り上げ、5月10日に代金が外貨預金に振り込まれた。

なお、為替レートは4月10日 1ドル=100円、5月10日 1ドル=102円である。

4月10日

取引日のレートを使って処理するので、円換算額は1ドル=100円×2,000ドル=200,000円です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
売掛金 200,000円 売上高 200,000円 商品売上

5月10日

外貨預金に振り込まれた代金は、5月10日のレートで円換算します。

1ドル=102円×2,000ドル=204,000円

200,000円の売上に対し、204,000円が振り込まれたので、差額の4,000円が為替差益です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 204,000円 売掛金 200,000円 商品代金入金
為替差益  4,000円 為替差益
②為替差損が出る場合

上記の例で、5月10日のレートが1ドル=96円だった場合を見てみましょう。

5月10日

外貨預金に振り込まれた代金は、5月10日のレートで円換算します。

1ドル=96円×2,000ドル=192,000円

200,000円の売上に対し、192,000円が振り込まれたので、差額の8,000円が為替差損です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 192,000円 売掛金 200,000円 商品代金入金
為替差損  8,000円 為替差損
③前受金がある場合

前受金がある場合は、取引日のレートで円換算し、それで確定です。そのため、商品を実際に販売した日のレートで円換算することはしません。

例)4月10日に取引先から、前受金2,000ドルを受け取り外貨預金に入金した。5月10日に取引先に商品を引き渡した。なお、為替レートは4月10日 1ドル=100円、5月10日 1ドル=102円である。

4月10日

取引日のレートを使って処理するので、円換算額は1ドル=100円×2,000ドル=200,000円です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 200,000円 前受金 200,000円 前受金

5月10日

代金は4月10日のレートで確定なので、前受金をそのまま売上に振り替えます。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
前受金 200,000円 売上高 200,000円 商品売上

外貨建ての支払いがある場合の処理方法

次に外貨建取引の支払いがある場合の処理方法を見ていきましょう。

①為替差益が出る場合
例)5月10日に商品を1,000ドルで仕入れ、6月10日に代金を外貨預金から支払った。

なお、為替レートは5月10日 1ドル=102円、6月10日 1ドル=101円である

5月10日

取引日のレートを使って処理するので、円換算額は1ドル=102円×1,000ドル=102,000円です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
仕入高 102,000円 買掛金 102,000円 商品仕入

6月10日

外貨預金から支払った代金は、6月10日のレートで円換算します。

1ドル=101円×1,000ドル=101,000円

102,000円の仕入に対し101,000円の支払いで済んだので、差額の1,000円が為替差益です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
買掛金 102,000円 普通預金 101,000円 商品代金支払
為替差益  1,000円 為替差益

②為替差損が出る場合

上記の例で、6月10日のレートが1ドル=104円だった場合を見てみましょう。

6月10日

外貨預金から支払った代金は、6月10日のレートで円換算します。

ドル=104円×1,000ドル=104,000円

102,000円の仕入に対し、104,000円の支払いをしたので、差額の2,000円が為替差損です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
買掛金 102,000円 普通預金 104,000円 商品代金支払
為替差損  2,000円 為替差損
③前渡金がある場合

前渡金がある場合は、取引日のレートで円換算し、それで確定です。そのため、商品を実際に購入した日のレートで円換算することはしません。

例)5月10日に取引先に、前渡金1,000ドルを外貨預金で支払った。6月10日に取引先から商品の引き渡しを受けた。なお、為替レートは5月10日 1ドル=102円、6月10日 1ドル=101円である。

5月10日

取引日のレートを使って処理するので、円換算額は1ドル=102円×1,000ドル=102,000円です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
前渡金 102,000円 普通預金 102,000円 前渡金

6月10日

代金は5月10日のレートで確定なので、前渡金をそのまま売上に振り替えます。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
仕入高 102,000円 前渡金 102,000円 商品仕入

外貨建資産等の処理方法

外貨預金の期末の処理方法

では、決算時まで外貨預金に残高が残っていた場合の処理方法を確認しましょう。

外貨預金などの外貨建資産等は、原則決算時に「期末時のレート」で円換算します。

①為替差益が出る場合
例)決算時に外貨預金にある残高は500ドル 為替レートは1ドル=100円、外貨預金の帳簿残高は49,000円だった。

・決算時

外貨預金に残高がある場合は、期末時のレートで円換算します。

円換算額は1ドル=100円×500ドル=50,000円です。帳簿残高が49,000円のため残高が1,000円増えます。残高が増えるということは利益が出ることと同じなので、為替差益で処理します。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 1,000円 為替差益 1,000円 為替差益
②為替差損が出る場合

上記の例で、帳簿残高が52,000円だった場合は、残高が2,000円減ります。残高が減るということは損失が出ることと同じなので、為替差損で処理します。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
為替差損 2,000円 普通預金 2,000円 為替差損

換算の基礎となる為替相場とは

ここまでは、外貨預金を所有している場合の処理方法を確認しました。では、円換算する為替相場は何を使えば良いのでしょうか。円換算する為替相場にはTTB(電信買相場)、TTS(電信売相場)、TTM(電信売買相場の仲値)の3つがあります。このうち円換算に使うレートは、TTMです。自分の利用している銀行のTTMを利用して円換算を行いましょう。TTMは銀行のホームページ等に記載されています。

まとめ

今回は、外貨預金を所有している場合の処理方法を確認しました。外貨預金を使った取引や、決算時に残高がある場合は、円換算する必要があります。円換算をすると為替差益や為替差損が発生しますが、損益に影響するため、税金にも影響します。ぜひこの記事を参考に、正しい処理を行いましょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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