個人事業者とは異なる、
法人が直面する税金の課税対象の計算とその税額計算
個人事業者とは異なる、  法人が直面する税金の課税対象の計算とその税額計算

2018/5/22

 
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脱サラして会社を起こして、事業が順調に軌道に乗ったら次は税金問題に直面します。法人に対する税金にはどのようなものがあり、どれくらいの税金が課せられるか不安に思っている方も多いでしょう。ここでは、資本金500万円の会社で1,000万円の税法上の利益があったら法人税等の税額はいくらになるか試算してみましょう。

法人税、地方法人税、事業税、法人都道府県民税及び法人市町村民税の計算

会計での利益を税法の利益(所得)に調整する(税務調整)

① 会計(一般的な簿記会計)は、企業の経営成績と財政状態を株主・債権者等に、財務諸表で報告することを目的としています。ここでは、一会計期間の「収益」と「費用」の差額として「利益」を計算します。

ちなみに法人税では、一会計期間の「益金」と「損金」の差額として「所得」を計算します。ですので利益額と所得額は一致しません。それは、会計では会計上の原則に沿って利益を計算しますが、法人税では、会計上の原則を貫くことで課税上の不公平や優先すべき財政政策の運用上、障害になることを避けるために、税法は別段の定めで会計上の原則を規制することがあるからです。

 

② 法人税は会計と違って「所得」を算定する独自の計算システムを持っていませんから会計で算定した利益に、法人税の「別段の定め」にしたがって調整(税務調整といいます)をして税額算定の対象となる「課税所得金額」を計算します。

法人税等の税額の計算方法

 ①課税標準法人税額の計算

「課税所得金額」に税率を乗じて課税標準法人税額を計算します。因みに、法人税では比例税率(固定税率)が適用され、下記に抜粋引用した税率によります。ただし資本額によって各種の優遇措置がありますから注意が必要です。

 

資本金1億円までの法人・・・・・・・・・・・優遇措置あり
年間所得800万円以下の部分 15%
年間所得800万円超の部分 23.40%
資本金1億円超の法人 23.40%

 

②地方法人税の計算

地方法人税は、平成26年に新たにできた国税です。詳細は割愛しますが、法人数が多い地域と少ない地域で、納付される税額に偏りが生じないように創設されたもので、法人税の納付義務がある法人はすべて納付しなければなりません。 上記の課税標準法人税額に4.4%を乗じて計算します。

「課税標準法人税額」 × 4.4% = 地方法人税額
③事業税、地方法人特別税、法人都道府県民税の計算

「課税所得金額」と「課税標準法人税額」を基準として事業税と法人都道府県民税を求めます。申告書を都道府県の都道府県税事務所にこれを提出して納付します。

・事業税所得割額の計算

課税標準法人税額と同じく、「課税所得金額」に税率を乗じて事業税所得割額を計算します。

 

課税所得金額 税率
年額400万円以下の金額 3.650%
年額400万円超、年額800万円以下の金額 5.465%
年額800万円超の金額 7.180%

 

・地方法人特別税の計算

地方事業税が都道府県ごとの偏りが強いことから、暫定的な措置として従来の法人事業税の一部を国税として徴収し、人口及び従業員数を基準として国が都道府県に財源を再分配することを目的とするものです。事業税所得割額に43.2%を乗じて計算します。

「事業税所得割額」 × 43.2% = 地方法人特別税額
・法人都道府県民税の計算(法人税割額と均等割額からなります)

法人税割額の計算

法人税割額は、「課税標準法人税額」に税率4.0%を乗じて計算しますが、資本金の額または出資金の額が1億円以下で、かつ、法人税割の課税標準となる法人税額が年1,000万円以下の法人等については、税率3.2%が適用されます。

「課税標準法人税額」 × 3.2% = 法人都道府県民税法人税割額

均等割額の計算

所得に関係なく定額で決められているのが「均等割」で、所得が赤字であったとしても納付しなければなりません。また、納税額は資本金等の額によって異なります。

 

資本金等の額 税額
1,000万円以下 20,000円
1,000万円超~1億円以下 50,000円
1億円超~10億円以下 130,000円
10億円超~50億円以下 540,000円
50億円超 800,000円

 

④法人市町村民税の計算
・法人税割額の計算

「課税標準法人税額」を基準としますから、具体的には法人税法の規定によって計算した課税標準法人税額(地方法人税額は含めません)に12.1%を乗じて計算します。

「課税標準法人税額」 × 12.1% = 法人市町村民税法人税割額
・均等割額の計算

標準税率は従業者数や資本金等の額により、年額5万円から300万円の間で9段階に定められています。所得に関係なく定額で決められているのが「均等割」で、所得が赤字であったとしても納付しなければなりません。

 

法人の区分 従業員の数の合計 税額
資本金等の額が1千万円以下である法人 50人以下 50,000円
50人超 120,000円
資本金等の額が1千万を超え1億円以下の法人 50人以下 130,000円
50人超 150,000円
資本金等の額が1億円を超え10億円以下の法人 50人以下 160,000円
50人超 400,000円
資本金等の額が10億円を超え50億円以下の法人 50人以下 410,000円
50人超 1,750,000円
資本金等の額が50億円を超える法人 50人以下 410,000円
50人超 3,000,000円

 

具体例に基づく法人税等の税額計算

具体例に基づく法人税の税額計算

法人税等の具体的計算をするために、下記を想定します。

資本金 500万円、 従業員5人、 事業所は東京都武蔵野市のみ

法人の税務調整後の所得(課税所得金額) 10,000,000 円

 

法人税の計算 ・・・ 税務調整後の所得金額(課税所得金額)は、10,000,000円です。

課税所得800万円までの税額

8,000,000円 × 15%   = 1,200,000円

課税所得800万円相超の税額

※2,000,000円 × 23.4%   =  468,000円

 

資本金1億円までの法人・・・・・・・・・・・優遇措置あり
年間所得800万円以下の部分 15%
年間所得800万円超の部分 23.40%
資本金1億円超の法人 23.40%

 

具体例に基づく地方法人税の税額計算

「課税標準法人税額」 × 4.4% = 地方法人税額 です

1,668,000円 × 4.4% = 73,392円 → 100円未満切り捨てて73,300円

※地方法人税の納付書に税額73,300円と記入して税務署または各種金融機関で納付します。

具体例に基づく事業税及び法人都道府県民税の税額計算

具体例に基づく事業税の税額計算

法人事業税の税額計算 ・・・ 課税所得金額は10,000,000円です。

課税所得400万円までの金額

4,000,000円 × 3.650% =146,000円

課税所得年400万円を超え年800万円以下の金額

4,000,000円 × 5.465%  = 218,600円

年800万円を超える金額

2,000,000円 × 7.180%  =143,600円
合計    508,200円

 

課税所得金額 税率
年額400万円以下の金額 3.650%
年額400万円超、年額800万円以下の金額 5.465%
年額800万円超の金額 7.180%

 

・ 具体例に基づく地方法人特別税の税額計算

事業税所得割額に43.2%を乗じて計算します。

「事業税所得割額」 × 43.2% = 地方法人特別税額 ですから

 

508,200円 × 43.2% =   219,542円 → 100円未満切り捨て 219,500 円

具体例に基づく法人都道府県民税の税額計算

・具体例に基づく法人税割額の計算

法人税割額は、法人税額に税率4.0%を乗じて計算しますが、資本金の額または出資金の額が1億円以下で、かつ、法人税割の課税標準となる法人税額が年1,000万円以下の法人等については、税率3.2%が適用されます。

「課税標準法人税額」 × 3.2% = 法人都道府県民税法人税割額 ですから

1,668,000 円 × 3.2% = 53,376 円 → 100円未満切り捨てて 53,300 円
・均等割額の計算

均等割額は、想定例が資本金500万円の法人ですから、下記引用税額表で20,000 円とわかります。

 

資本金等の額 税額
1,000万円以下 20,000円
1,000万円超~1億円以下 50,000円
1億円超~10億円以下 130,000円
10億円超~50億円以下 540,000円
50億円超 800,000円

 

※法人税道府県民税・事業税・地方法人特別税の納付書に下記要領で記入します。

 

法人都民税 法人税割額 53,000円
均等割額 20,000円
法人事業税 所得割額 508,200円
地方法人特別税 219,500円
 合計 801,000円

 

具体例に基づく法人市町村民税の税額計算

法人税割額の計算

「課税標準法人税額」 × 12.1% = 法人市町村民税法人税割額 ですから

1,668,000円 × 12.1% = 201,828円 → 100円未満切り捨て 201,800円
 ・ 均等割額の計算

均等割額は、想定例が資本金500万円、従業員5人の法人ですから、下記抜粋税率表から均等割額は50,000円とわかります。

法人の区分 従業者の数の合計 税額
資本金等の額が1,000万円以下である法人 50人以下 50,000円
50人超 120,000円
資本金等の額が1,000万円を超え1億円以下の法人 50人以下 130,000円
50人超 150,000円
資本金等の額が1億円を超え10億円以下の法人 50人以下 160,000円
50人超 400,000円
資本金等の額が10億円を超え50億円以下の法人 50人以下 410,000円
50人超 1,750,000円
資本金等の額が50億円を超える法人 50人以下 410,000円
50人超 3,000,000円

※法人市町村民税納付書に 、法人税割額201,800円、 均等割額50,000円、合計251,800円

と記入して、本店所在地の市町村または金融機関で納付します。

まとめ

法人税法等は、課税所得金額をベースに課税されることがわかりましたが、所得税と異なり課税所得金額が赤字でも事業税を除く法人都道府県民税と法人市民税には均等割額があるため、一定額を納付しなければなりません。

 

想定例に従って、法人税等をもとめましたが、合計額は

668,000円(法人税額)+73,300 円(地方法人税額)+801,000円(法人都道府県民税)+ 251,800円(法人市町村民税) = 2,794,100円

となります。

ここから、実効税率27.94%を求められます。

概算ですが、課税所得金額(法人税法上の利益)の30%弱が法人税等で納付しなければならない金額だとわかります。

税理士 久慈伸樹
税理士 専門学校専任講師、短大専任講師、四大時間講師を歴任。退職後税理士法人を主宰、解散後自宅を事務所として税理士業を営む。相続税申告が得意。
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