法人が寄付をすると税金はどうなる?
法人と寄附金の関係について
法人が寄付をすると税金はどうなる?  法人と寄附金の関係について

2018/4/10

 
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法人で事業を行っていると、さまざまなところに寄付をすることがあります。しかし、寄附金には一定の制限が設けられており、法人が寄付を検討する場合には、寄付と税金の関係について知っておく必要があります。ここでは、法人と寄附金の関係について解説します。

そもそも寄附金って何?

寄附金とそれ以外の経費の違い

まず、寄附金とはどのような経費なのかを見ていきましょう。

寄附金には、通常の寄附金のほかに拠出金、見舞金などさまざまな名目がありますが、その名目を問わず、金銭や資産を見返りを求めずに相手に贈与することをいいます。

ただし、広告宣伝費や見本品費、接待交際費や福利厚生費に該当するものは、寄附金にはなりません

 

例えば、協賛金でも、自社の名前が広告などに記載され、広告効果がある場合は、広告宣伝費になります。しかし、神社の祭礼等に対するものの場合は寄附金になる可能性が高いです。また、香典やお祝いなどで金銭を取引先に贈った場合は、金銭の贈与であっても寄附金にならず、接待交際費になります。

 

このように、同じ金銭や資産の贈与でも、内容によって寄附金になる場合と他の経費になる場合があるので、注意しましょう。

 

また、寄附金となるのは、金銭や資産の贈与だけではありません。資産を時価よりも低い価格で譲った場合の時価と、譲った価格の差額が寄附金となったり、会社が無利息で金銭を貸付した場合の受け取っていない利息部分が寄附金となったりする場合があるため、こちらも注意が必要です。

寄附金には4つの種類がある

税金対策のために無制限に寄付が行われ、寄附金のすべてが経費にならないように、法人税では寄附金に一定の制限を設けています。しかし、すべての寄付に同じように制限をかけるわけでなく、寄付先や寄付の内容によって寄附金を4つに分け、それぞれで制限する内容を変えています。寄附金の4つの種類を見ていきましょう。

①国または地方公共団体に対する寄附金

国や都道府県、市区町村に対する金銭などの寄付です。震災などの義援金のうち、国または地方公共団体に対して直接寄付したものも該当します。

また、日本赤十字社の義援金口座に直接寄付した場合や、新聞・放送等の報道機関に対して直接寄附した義援金のうち、最終的に義援金配分委員会などに拠出されることが明らかなものも該当します。

②指定寄附金

指定寄附金とは、「広く一般に募集されていること」かつ「公益性及び緊急性が高いもの

」として財務大臣が指定した寄附金のことです。

例えば、赤い羽根募金や、日本赤十字社への寄付で財務大臣の承認を受けたものなどが該当します。

③特定公益増進法人等に対する寄附金

特定公益増進法人等に対する寄附金とは、教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献など、公益の増進に著しく寄与するものと認められた一定の公益法人等に対する寄附金のことです。

日本赤十字社の事業費や通常経費に対する寄付や、認定NPO法人に対する特定非営利活動に関する寄付などが該当します。

④一般の寄附金

上記①~③以外の寄附金はすべて一般の寄附金に該当します。

具体的には、町内会や政治団体、神社・寺や宗教法人への寄付などです。

寄附金の損金算入額を計算しよう

寄附金には経費になるものとならないものがある

寄附金には、4つの種類があることを述べました。その種類ごとで全額が経費になるか、一定金額のみ経費になるかが異なります。

 

「国又は地方公共団体に対する寄附金」と「指定寄附金」については、その支払額の全額が経費となります。震災などの義援金もこれに含まれ、全額経費にすることができます。

しかし、「特定公益増進法人等に対する寄附金」と「一般の寄附金」は一定の損金算入限度額を設け、その限度額を超えるものは経費にすることができません。

 

また、寄附金の支払い状況によっても、経費になるかどうかが異なります。寄附金のうち、その年度の経費にできるのは、その年に支払ったものだけです。未払いのものは、経費にすることができません。そのため、決算日前後の寄付には注意が必要です。

寄附金の損金算入限度額の計算

「特定公益増進法人等に対する寄附金」と「一般の寄附金」には一定の損金算入限度額が設けられています。そのため、法人税の税額を計算するためには、損金算入限度額の計算方法を知っておく必要があります。

①特定公益増進法人等に対する寄附金

特定公益増進法人等に対する寄附金の特別損金算入限度額は以下の計算式で求めます。

※所得の金額は、支出した寄附金の額を損金に算入しないものとして計算します。

※特別損金算入限度額を超える金額は、一般の寄附金の額に含めます。

②一般の寄附金

一般の寄附金に対する寄附金の損金算入限度額は以下の計算式で求めます。

※所得の金額は、支出した寄附金の額を損金に算入しないものとして計算します。

企業版ふるさと納税(法人住民税及び法人事業税における寄附金税額控除)を活用しよう

企業版ふるさと納税とは

ふるさと納税というと、個人が地方自治体等に寄附をすることによって控除を受けるイメージがあります。実は、法人にもふるさと納税の制度があります。それが、平成28年に創設された「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)」です。

 

企業版ふるさと納税とは、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対し、企業が寄付を行った場合に、その寄付の3割を法人住民税や法人事業税などから税額控除しようという制度です。寄附金の2割を法人住民税から、1割を法人事業税から控除します。

※法人住民税、法人事業税の税額控除にはそれぞれ上限があり、法人住民税の上限を超える部分は、法人税(上限あり)から控除します。

 

従来からの寄附金の損金算入による税の軽減は3割といわれているので、企業版ふるさと納税を利用(税額控除3割)することで、寄付した場合の企業の実質的な負担を4割に軽減することができます。

 

企業版ふるさと納税の寄附金には10万円の下限があります。また、個人のふるさと納税のように返礼品はありませんが、税額控除だけでなく社会貢献に取り組む企業としてPRできるメリットもあります。

企業版ふるさと納税の手続きの流れ

それでは、企業版ふるさと納税の手続きの流れを確認しましょう。

 

①「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」を企画立案した地方公共団体と企業が相談し、寄付の見込みを立てます。

②地方公共団体が、内閣府に地域再生計画を申請します。

③内閣府で地域再生計画を審査・認定。認定後は内閣府、地方公共団体共にその事実を公表します。

④地方公共団体が「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」を実施、事業費を確定します。

⑤企業が「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」に寄附金を払い込みます。

⑥地方公共団体から企業へ寄附金の領収書が届きます。

⑦企業は、法人税の申告時に地方創生応援税制の適用がある旨を申告することで、税制上の優遇措置を受けることができます。

 

企業版ふるさと納税の対象となる事業は、下記内閣府のホームページや地方自治体のホームページで公表されています。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/tiikisaisei/kigyou_furusato.html

まとめ

寄附金は、支払いの内容によって違う科目の経費となったり、支払額すべてが経費にならず、一定の制限が設けられていたりします。しかし、どの支払いが寄附金になるのか、また寄附金の損金算入限度額がいくらかを把握することは、専門的な知識がないと難しいのが現状です。

寄付を検討する場合、または寄付した場合でわからないことがある場合は、できるだけ税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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