平成30年税制改正で決まった、
固定資産税の特例措置について徹底解説
平成30年税制改正で決まった、  固定資産税の特例措置について徹底解説

2018/3/26

 
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中小企業や個人事業主が事業をするために必要な固定資産。固定資産を所有すると、固定資産税を納付する必要があります。固定資産税は納付額が大きく、特例措置が設けられていることが多々ありますが、特例措置は短いスパンで新設、変更があるため注意が必要です。今回は、平成30年の税制改正で決まった最新の特例措置を解説します。

固定資産税とは―土地や建物以外の資産にも税金がかかる

固定資産税はどのような税金?

まず、固定資産税がどのような税金か見ていきましょう。

固定資産税とはその名のとおり、所有している固定資産に課される税金です。国ではなく、市区町村等の自治体に納付します。ところで、固定資産税がかかるものとして、土地や建物を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。所有者がサラリーマンなど個人の居住用のものであれ、店や事務所などの事業用のものであれ、土地や建物には固定資産税が課されるため、多くの人にとって、固定資産税は身近な税金といえます。

 

しかし、固定資産税が課されるのは、土地や建物だけではありません。実は、機械や備品などの固定資産についても固定資産税が課されます。土地や建物と違う点は、法人や個人事業主が所有する事業用の機械や備品などが対象となっていることです。自宅にある生活に使うための家具などに固定資産税はかかりません。

 

土地や建物以外の事業用(有形)固定資産を償却資産、償却資産にかかる税金を償却資産税といい、固定資産税と分けて表示する場合もあります。償却資産は土地や建物のように登記簿等への登録がないため、自治体が把握することができません。そのため、毎年1月末までに所有している資産等を記載した申告書を、所有者が自分で各自治体に提出する必要があります。

 

償却資産税の対象となる資産の主なものは次のとおりです。

資産の種類 償却資産の具体例
構築物 門、塀、舗装路面、自転車置場、広告塔、煙突等
機械及び装置 製造設備等の機械装置、土木建設機械、機械式駐車設備等
船舶 漁船、客船、貨物船、モーターボート等
航空機 飛行機、ヘリコプター、グライダー等
車両及び運搬具 大型特殊自動車(分類番号が、0、00~09、000~099、9、90~99、900~999の車両)、構内運搬車、台車等

※自動車税・軽自動車税の対象となるものは除く

工具、器具及び備品 パソコン、電話機、コピー機、応接セット、ロッカー、テレビエアコン、冷蔵庫、陳列ケース、レジスター、看板、ネオンサイン、測定工具、金型、医療機器、理容・美容機器等

償却資産税は、取得価格から年の経過に伴う価値の減少(減価)を差し引いた価額(課税標準)に、税率を乗じて計算します。

 

償却資産税=課税標準額×税率

 

税率は各自治体によって異なります。一般的には、1.4%であることが多いです。

固定資産税の特例措置の導入の背景

固定資産税について説明しましたが、では、なぜ固定資産税に特例措置が必要なのか、その背景について見ていきましょう。

 

景気が回復しつつある現在、中小企業においても業況が回復傾向にあります。しかし、ひとりの労働者が1時間働いて生み出す生産額を表す「労働生産性」を見ると、中小企業では伸び悩んでいます。その理由のひとつが、所有している設備の老朽化による効率の悪化です。

 

今後、少子化や働き方改革により労働力が低下することも予想されるため、老朽化が進む設備を生産性の高い設備へ切り替えることは、中小企業が生き残るために急務となっています。そこで、国は固定資産税の特例措置を導入することで、生産性の高い設備への切り替えを促そうとしているのです。

 

なお、平成30年の税制改正で新たな特例措置が導入されたため、現行の機械装置等の固定資産税1/2軽減措置は、平成31年3月31日の適用期限で廃止されます。

償却資産に係る固定資産税の特例措置の創設

では、平成30年の税制改正で新たに導入された固定資産税の特例措置について見ていきましょう。

 

この特例措置は、一定の中小企業者が、生産性を向上させる一定の固定資産を取得した場合に、固定資産税の課税標準を3年間0円~1/2に軽減するという制度です。期間は平成30年~32年の時限的なものではありますが、対象資産の固定資産税が最大3年間、最低でも半分以下になるのは大きな優遇措置といえます。また、この制度と併用して国からの補助金なども受けることが可能です。

 

固定資産税の特例措置を受ける流れは以下の通りです。

 

(1)中小企業者が商工会議所や商工会等と連携して、先端設備等導入計画を作成。

(2)作成した先端設備等導入計画を市町村等に申請。

(3)市町村は導入促進基本計画を策定し、国と協議し同意を得る。

(4)中小企業者に対し、市町村は先端設備等導入計画の認定、固定資産税の優遇を行う。

 

この特例を受けるための要件は次のとおりです。

①対象者

次のすべてを満たす者

・資本金1億円以下の法人(大企業の子会社を除く)または従業員1,000人以下の個人事業主

・市町村等から先端設備等導入計画の認定を受けた者

②対象設備
資産の種類 取得価額 販売開始時期
機械装置 160万円以上 10年以内
測定工具及び検査工具 30万円以上 5年以内
器具備品 30万円以上 6年以内
建物付属設備 60万円以上 14年以内

 

上記対象設備のうち、次の要件をすべて満たすものに限られます。

・旧モデルより年平均1%以上生産性が向上する設備

・生産、販売活動等に直接供される設備

・新品資産であること

 

※各条件は、自治体によって異なる場合があります。

平成30年税制改正で延長が決まった、その他の固定資産税等の特例

平成30年の税制改正では、固定資産税の特例措置の創設だけでなく、既存の特例の延長も決まりました。延長が決まった2つの特例について、紹介しておきます。

固定資産税等(土地)の負担調整措置の3年延長

1つ目は、固定資産税等(土地)の負担調整措置の3年延長です。

固定資産税等(土地)の負担調整とは、簡単にいうと、当年度の土地の価格と前年度の課税標準を比較して、当年度の課税標準額を調整する制度です。価格の低い土地に対しては税負担を引き下げたり据え置きしたりし、逆に価格の高い土地に対しては、なだらかに税負担を上昇させ、負担水準のばらつきの幅を狭めていくことを目的としています。

しかし、地価が下落しても、土地の税金が変わらない場合があるなどの問題点も多く、負担調整措置のあり方について引き続き検討をすることも、税制改正のなかで盛り込まれています。

不動産取得税の特例税率等の3年延長

延長が決まったもう1つの特例が、不動産取得税の特例税率等の3年延長です。

不動産を購入等で取得した場合には不動産取得税がかかります。不動産取得税は、以下の計算式で税額を求めます。

 

不動産取得税=課税標準額(固定資産評価額)×税率4%

 

「不動産取得税の特例税率等」とは、上記の課税標準額(固定資産評価額)と税率それぞれに設けられた次の特例のことです。どちらも、平成30年3月31日までの適用期限が3年間延長されました。

 

・課税標準額(固定資産評価額)の特例

所有している土地が宅地の場合に課税標準が1/2になるというものです。

 

宅地の課税標準額=固定資産評価額×1/2

 

・税率の特例

土地及び住宅として供されている建物の税率を3%に軽減する特例です。

 

不動産取得税の税率
不動産の種類 税率
土地 3%
住宅 3%
住宅以外の建物 4%

まとめ

中小企業にとって、固定資産は事業をするために必要不可欠なものです。国としても固定資産に対する税制に力を入れており、他の税金よりも頻繁に税制の改正等を行っていて、優遇措置を受けられる制度もたくさんあります。常に税制改正等を注視し、自社に適用できる制度を活用することが、会社の成長にもつながることでしょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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