消費税の納税が免除? 免税事業者について徹底解説
消費税の納税が免除? 免税事業者について徹底解説

2016/12/15

 
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消費税とは、商品を購入したりサービスを受けたりしたときに、その取引に対して課税される税金です。消費税を負担するのは消費者ですが、企業にはこの消費税の申告・納付義務があります。ですが、場合によっては消費税の納税義務が免除されるのは知っていますか?今回は免税事業者について紹介します。

消費税についておさらい

国税庁によれば、「消費税は、特定の物品やサービスに課税する個別間接税とは異なり、消費に広く公平に負担を求める間接税」のことを指します。そして「この消費税は、生産及び流通のそれぞれの段階で、商品や製品などが販売される都度その販売価格に上乗せされますが、最終的に税を負担するのは消費者となります」とも記述があるように、最終的にそのサービスを受ける人や商品を購入する人が負担する税です。

図1 消費税の仕組み

2016年12月現在、税率は6.3%で、これに地方消費税の1.7%が上乗せされて、全体で8%となっています。
納税義務があるのは個人事業者と法人で、納付税額は、課税期間ごとに、「売上げに対する税額」から、「仕入れに含まれる税額」と「保税地域からの引取りに係る税額」との合計額を差し引いて算出します。
参考:No.6101 消費税のしくみ|消費税|国税庁 

免税事業者とは?

免税事業者とは、消費税の納税義務がない事業者のことです。対して、納税義務がある事業者は課税事業者と呼びます。
免税事業者となることができるのは売り上げが比較的小さい事業者です。つまりそのような規模の小さい事業者については、納税すべき消費税額の計算の煩雑さを考慮して、納税義務を免除しているというわけです。
ちなみに、消費税の納税義務が免除されているため、免税事業者は消費税の還付を受けることはできません。

免税事業者の要件

免税事業者にあたるかどうかの判断をする際には、次の基準を参照しましょう。
・その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下かどうか
基準期間における課税売上高とは、個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度の課税売上高のことを指します。
課税売上高とは、「輸出などの免税取引を含め、返品、値引き、割戻しをした対価の返還等の金額を差し引いた額(税抜き)」のことです。
参考:No.6501 納税義務の免除|消費税|国税庁

具体的な例を挙げてみましょう。例えばA社の売り上げが次の通りだとします。

平成26年度 課税売上高800万円
平成27年度 課税売上高1500万円

A社の平成28年度と平成29年度の消費税納税義務については次のようになります。

平成28年度 消費税納税義務:なし(平成26年度の課税売上高を参照)
平成29年度 消費税納税義務:あり(平成27年度の課税売上高を参照)

このように前事業年度ではなく、さらに一期前のものを参照して消費税納税義務の有無が決まるので、注意が必要です。

さて、二期前の課税売上高を参照するということでしたが、三期目の法人で、基準期間にあたる一期目が1年未満であることは往々にしてあります。そのような場合は、一期目の課税売上高を1年ベースにして考え直します。
次の例で考えてみましょう。3月決算で9月13日設立の法人Bがあったとします。一期目の課税売上高は630万円でした。これを1年ベースで考えた時に、課税売上高はいくらになるのでしょうか。

まず、一期目は何カ月事業を行っていたかを計算します。1カ月未満の日数はすべて繰り上げてひと月と考えて、9月から3月で7カ月です。7カ月で630万円、つまりひと月あたり90万円の課税売上高があったと考えられます。これを12倍して、1年あたり1080万円となりますから、法人Bの一期目の課税売上高は1080万円で、三期目は課税事業者となり消費税納税の義務が課せられることになります。
このように、基準期間が1年未満である場合は、その期間の課税売上高を1年ベースに直して計算をする必要がありますから注意しましょう。

また新規法人については、設立1年目や2年目で基準期間がない場合は、原則として消費税の納税義務はありません。しかし、以下の二点のどちらかにでもあてはまる場合はその原則の適用外となり、消費税の納税義務が生じます。
・その事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が、1,000万円以上である
・特定新規設立法人に該当する場合

特定新規法人とは、平成26年4月1日以後に設立した新規設立法人(その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満の法人)のうち、次の二点のいずれにも該当する法人です。
1 その基準期間がない事業年度開始の日において、他の者により当該新規設立法人の株式等の50%超を直接又は間接に保有される場合など、他の者により当該新規設立法人が支配される一定の場合(特定要件)に該当すること。
2 上記1の特定要件に該当するかどうかの判定の基礎となった他の者及び当該他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者(判定対象者)の当該新規設立法人の当該事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)における課税売上高が5億円を超えていること
参考:No.6501 納税義務の免除|消費税|国税庁

また、設立2年目でも納税義務を負う場合もあります。これは平成23年度の消費税法改正により、事業者免税点制度の適用要件が見直されることによるものです。
これについて国税庁の公式発表によると、「平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度については、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間から課税事業者となります」。
特定期間という言葉については、「特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間をいいます」としています。

比較的新しい制度なので、よく見直しておく必要があるかもしれません。設立間もない会社であっても場合によっては免税事業者であるとは言い切れませんので注意しましょう。

このような特別なパターンもありますので、自分の会社についてよく知ってから、免税事業者にあたるのかの判断をしてください。

図2 免税事業者判定フローチャート

参考:消費税法改正のお知らせ(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/h23kaisei.pdf)

☆ヒント
「前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下」であれば、ほとんどの場合、免税事業者として認められますが、平成25年以降開始する事業より、特定期間の判定が加わったため、注意する必要があります

免税事業者でも消費税を請求できるのか?

あなたは新しく個人で事業を始めました。半年ほどした頃に、取引先からこんなことを言われました。
「おたくは新規法人でしょ?免税対象だろうし、取引額を消費税分カットしてもらえないかなぁ~」
この場合、あなたならどう対応しますか。
免税事業者だからといって、消費税を請求できないということはありません。自分が国に納税しないとはいえ、仕入れや外注などをした際にはこちらは消費税も併せて先方に支払っていますよね。これと同じで、自分がサービスを提供する場合などは、代金と併せて消費税の請求が可能です。このようなシチュエーションに陥った時には騙されないようにしましょう。

☆ヒント
免税事業者は、消費税を請求することができる一方、免税事業者は消費税の納税が免除されるため、預かった消費税がそのまま利益になります。これを益税といいますが、多くの場合、免税事業者を選択すれば有益になります。
制度や法律をきちんと理解しないと思わぬところで損しかねません。消費税免税について、中小企業・零細企業の事情をよく理解してくれるパートナーに一度相談してみるとよいでしょう。

課税事業者を選択したほうが良い場合もある?

先に説明したように、免税事業者は消費税の還付を受けることができません。ですが、輸出業者などは経常的に消費税が還付になりますから、その還付を受けるために敢えて課税事業者となることを選択できます。そのためには消費税課税事業者選択届出書という書類を税務署長に提出する必要があります。これは適用する課税期間の開始の日の前日までに提出することが必須ですが、この届を提出した場合は、適用を開始した初年度を含む2年間は免税事業者には戻れないので注意してください。

☆ヒント
免税事業者の判定や、課税事業者の選択は例外的な事項が多いため、専門家に問い合わせるなどして慎重に判断するとよいでしょう。
私たちビスカスは、数多くの中小企業・零細企業のお客様に税理士紹介のサービスを行ってきており、中小企業・零細企業が生き抜くためのノウハウを持っています。また、免税事業者に限らず、様々な手法で節税を行ったり、支援制度や助成金を受けたりすることができます。
私たちがご紹介させていただく税理士は、業界に強い先生、節税に詳しい先生、相続に詳しい先生など多岐にわたっています。あなたの会社、事業に適切なアドバイスをしてくれるパートナーがいると心強いでしょう。

まとめ

消費税納税の義務、そして免税事業者について理解できましたでしょうか。ルールが細かいので、自分の会社の状況をよく把握したうえで、免税事業者と判定できるのか、選択するべきなのかを確認してみてください。

岡田桃子
東京大学卒。
卒業後は中央官庁に勤め、退官後ベンチャー企業に転職し、経理・法務などに携わる。
経理業務で得た知見や、中央官庁時代に得た法律や制度に関するナレッジを分かりやすく解説します。
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