税理士と公認会計士、どう使い分ける?
税理士と公認会計士、どう使い分ける?

2017/12/4

 
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事業主の方々にとって心強い味方である税理士や公認会計士。しかし、両者の違いは何かと訊かれて、正確に答えられる方はあまり多くないのではないでしょうか。税理士と会計士のそれぞれの強みをしっかりと知っておけば、彼らに仕事をお願いする際にも最適な選択が可能になり、結果的にコストカットや各種事務の効率化につながります。今回は税理士・公認会計士の実態について、徹底的に解説していきます。

税理士と公認会計士の違い

それではまず、ともに国家資格である税理士と公認会計士の、それぞれの公的な定義と、どのような過程を経ればその資格を持てるのかを、簡単に見ていきたいと思います。
税理士法第1条の規定によると、税理士は、「税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ること」を使命とします。
税理士になるためには毎年1回実施される国家試験に合格しなければなりませんが、この試験を受けるのにも以下の要件のいずれか1つを満たしている必要があります。

●大学、短大、一定の専修学校で法律学あるいは経済学を1科目以上含め所定の単位数(62単位)を取得した大学3年生以上あるいは卒業生
●司法試験合格者、公認会計士試験短答式試験合格者
●日商簿記検定1級あるいは全経簿記検定上級合格者
●十分な実務経験と認められる実務経験を持つ者

税理士試験は会計学2科目(必修)、税法3科目(選択式)の計5科目からなります。ただし税理士試験合格者も免除者もともに、租税または会計に関わる実務経験が通算で2年以上なければ、資格を得ることはできません。ただし、弁護士あるいは税法の研修を修了した公認会計士であれば、試験合格や実務経験を経ずとも税理士登録の申請をする資格を有します。

次に、公認会計士の説明に移りましょう。
公認会計士法第1条によると、公認会計士は、「監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与すること」を使命とします。

公認会計士になるためには、公認会計士監査審査会が行う試験に合格しなければなりません。こちらの国家試験は、税理士試験とは違い受験資格等が設けられていないため、極端に言えば子どもでも受けることができます。試験では企業法や監査論等に関する幅広い知識が問われ、短答式と論文式の2種類があります。ただし司法試験合格者は短答式試験の全免除および論文式試験の一部免除を受けられます。また試験とは別に、業務補助又は実務従事の期間が通算して2年以上求められます。これについては試験合格の前でも後でも大丈夫ですが、日本公認会計士協会に修了認定を受けなければなりません。

それぞれの業務範囲

実際に税理士と公認会計士が担当する業務の範囲はどのようになっているのでしょうか。ここでは、それぞれの業務について詳しく見ていきます。

税理士

税理士は、その名の通り税金に関する仕事を全般的に執り行います。
最も代表的な仕事は、企業等の税務代行です。税金納付の各種申告や、課税に対して不服があり異議を申し立てる際など、必要書類の作成や手続きを税理士が会社の方に代わって行います。また税金に関する相談についても、税理士はのってくれます。読んで字のごとく、税理士の方々は税のエキスパートですので、節税や税制改正など、税金に関して気になることが何かあれば税理士の方に相談すると良いでしょう。

また税理士は法律上、税理士を名乗って財務書類の作成や会計帳簿の記帳、そしてその他財務に関する事務を執り行うことができるとされており、実質的には税務関係にとどまらず会計業務を担うことも可能です。

公認会計士

公認会計士の主な仕事は監査業務です。公認会計士は、中立的な立場から企業等の会計をチェックし、不正がないことを確かめます。公認会計士が監査を行う団体は、一般的な企業はもちろん、信用金庫や信用組合、財団法人、行政法人など実に様々です。特に、会社法で定められた大会社及び委員会設置会社は、公認会計士を置くことが義務付けられています。このように公認会計士は、団体や企業の経営に関する信頼度を保証するという、極めて重要な役割を担っています。

これに加え、コンサルティング業務を行うこともあります。法律や会計に関する専門的な知識を武器に、企業の経営戦略や不正対策についての相談や、システム面でのコンサルティングや監査など、その内容は多岐にわたります。
また先ほど述べた通り、公認会計士は、税に関する研修を修了したうえで税理士登録を行えば、前述の税理士の仕事を執り行うことも可能です。

この仕事はどっち?

ここまで税理士と公認会計士、それぞれの違いや業務範囲について説明してきました。しかしこれらの説明があっても、実際に仕事の依頼をしようと思ったときにどちらに依頼するべきか、なかなか判断がつかないかもしれません。ここでは、そんな判断に困りそうな事例をいくつか紹介し、解説していきます。

税に関する相談

繰り返し述べているように、公認会計士も所定の研修を経て登録さえすれば税理士になることができます。そのため、税金に関する相談はどちらにしても的確なアドバイスをもらうことはできるでしょう。また、税理士は税金を専門に取り扱うため、一般論として税制に関しては、税理士の方が会計士よりも詳しい蓋然性が高いでしょう。企業で公認会計士をすでに設置している場合であれば公認会計士に相談しても良いと思いますが、そうでなければ、税のことは税理士に相談するほうが確実ではないでしょうか。

記帳代行

会計帳簿等の記帳を代わりに行ってもらいたい場合、法律で定められた条件に当てはまる企業でなければ、会計帳簿の記帳は自由業務となり、極端に言うと税理士・公認会計士でなくてもできる作業の1つです。会計帳簿という名前から公認会計士を連想し、公認会計士に依頼したほうが良いのではないかと考える方は多いかもしれません。もちろん公認会計士は会計に関する高い専門性を身に着けていることは間違いありませんが、記帳の代行等の作業であれば、どちらに頼んでも大きな問題はないでしょう。

会計に関する相談

税理士であっても、記帳等の会計業務ならば執り行うことができますが、大企業における監査などの話となると、税理士の手には負えない部分が多々あります。会計の分野では、やはり専門家である公認会計士のほうが強いです。従って、大企業のように多額のお金が絡む場合や、会計に関する高度な重要事項の相談であれば、公認会計士をお勧めします。

☆ヒント
公認会計士も税理士も会社の業務遂行にあたっては欠かすことのできない専門職ですが、特に税理士に関しては、税の管理という会社の信用に大きく関わることに対して大きな責任を持ちます。優秀な税理士は、税に対する的確なアドバイスを行うことで、会社の業績のさらなる向上に重要な役割を果たします。ビスカスでは、各企業に適任の税理士を多数紹介しておりますので、ぜひご相談ください。

まとめ

公認会計士と税理士、どちらも会社の業務を円滑に進めるためには必要不可欠であることには間違いはありません。しかし、その2種類の持つ権限や、実際の業務範囲等の違いはなかなか分かりにくいものです。どのような仕事を依頼したいのかを整理したうえで、どちらがより適しているのかを判断しましょう。

岡田桃子
東京大学卒。
卒業後は中央官庁に勤め、退官後ベンチャー企業に転職し、経理・法務などに携わる。
経理業務で得た知見や、中央官庁時代に得た法律や制度に関するナレッジを分かりやすく解説します。
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