【経営者・事業主向け】税理士と公認会計士の違いは?どう使い分ける?ケースや事業規模別に解説

【経営者・事業主向け】税理士と公認会計士の違いは?どう使い分ける?ケースや事業規模別に解説
公開日:
2019/02/12
最終更新日:
2024/03/19
 
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事業主の方々にとって心強い味方である税理士や公認会計士。しかし、両者の違いは何かと訊かれて、正確に答えられる方はあまり多くないのではないでしょうか。税理士と会計士のそれぞれの強みをしっかりと知っておけば、彼らに仕事をお願いする際にも最適な選択が可能になり、結果的にコストカットや各種事務の効率化につながります。今回は税理士・公認会計士の実態について、徹底的に解説していきます。

税理士と公認会計士の違い

それではまず、ともに国家資格である税理士公認会計士の、それぞれの公的な定義と、どのような過程を経ればその資格を持てるのかを、簡単に見ていきたいと思います。

税理士とは

税理士法第1条の規定によると、税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ること」を使命とします。
税理士になるためには毎年1回実施される国家試験に合格しなければなりませんが、この試験を受けるのにも以下の要件のいずれか1つを満たしている必要があります。
 

  • 大学、短大、一定の専修学校で社会科学に属する科目を1科目以上含め所定の単位数(62単位)を取得した大学3年生以上あるいは卒業生(ただし、簿記論・財務諸表論については受験資格不要)
  • 司法試験合格者、公認会計士試験短答式試験合格者
  • 日商簿記検定1級あるいは全経簿記検定上級合格者
  • 十分な実務経験と認められる実務経験を持つ者

 
税理士試験は会計学2科目(必修)、税法3科目(選択式)の計5科目からなります。ただし税理士試験合格者も免除者もともに、租税または会計に関わる実務経験が通算で2年以上なければ、資格を得ることはできません。

公認会計士とは

次に、公認会計士の説明に移りましょう。
公認会計士法第1条によると、公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与すること」を使命とします。

公認会計士になるためには、公認会計士監査審査会が行う試験に合格しなければなりません。こちらの国家試験は、税理士試験とは違い受験資格等が設けられていないため、極端に言えば子どもでも受けることができます。
試験では企業法や監査論等に関する幅広い知識が問われ、短答式と論文式の2種類があります。ただし司法試験合格者は短答式試験の全免除および論文式試験の一部免除を受けられます。また試験とは別に、業務補助又は実務従事の期間が通算して2年以上求められます。これについては試験合格の前でも後でも大丈夫ですが、日本公認会計士協会に修了認定を受けなければなりません。

※弁護士あるいは税法の研修を修了した公認会計士であれば、試験合格や実務経験を経ずとも税理士登録の申請をする資格を有します。
税理士と公認会計士の違いまとめ
税理士は…

  • 税務に関する専門家である
  • 税理士試験には、受験資格が必要
  • 受験科目は、会計学2科目(必修)、税法3科目(選択式)の計5科目

公認会計士は…

  • 監査及び会計の専門家である
  • 会計士試験には、受験資格は不要
  • 試験には、短答式と論文式の2段階があり、企業法や監査論等に関する幅広い知識が問われる

税理士と公認会計士それぞれの業務範囲

実際に税理士と公認会計士が担当する業務の範囲はどのようになっているのでしょうか。ここでは、それぞれの業務について詳しく見ていきます。

税理士の業務範囲

税理士は、その名の通り税金に関する仕事を全般的に執り行います。具体的には、以下の3つの「独占業務」(有資格者のみに許される業務)があります。

  • 税務書類の作成(申告書などを納税者に代わって作成する)
  • 税務代理(納税者に代わって税務署に税務申告を行ったり、税務調査に立ち会ったりする)
  • 税務相談(節税を含めた税金の計算や書類の作成などに関して、納税者の相談に応じる)

読んで字のごとく、税理士の方々は税のエキスパートですので、節税や税制改正など、税金に関して気になることが何かあれば税理士の方に相談すると良いでしょう。

また税理士は法律上、税理士を名乗って財務書類の作成や会計帳簿の記帳、そしてその他財務に関する事務を執り行うことができるとされており、実質的には税務関係にとどまらず会計業務を担うことも可能です。最近は、税務・会計の知識を生かして、経営コンサルタント業務に力を入れる事務所も増えています。

公認会計士の業務範囲

公認会計士の「独占業務」は、企業会計の監査業務です。公認会計士は、中立的な立場から企業等の会計をチェックし、不正がないことを確かめます。公認会計士が監査を行う団体は、一般的な企業はもちろん、信用金庫や信用組合、財団法人、行政法人など実に様々です。特に、会社法で定められた大会社及び委員会設置会社は、公認会計士を置くことが義務付けられています。このように公認会計士は、団体や企業の経営に関する信頼度を保証するという、極めて重要な役割を担っています。

これに加え、コンサルティング業務を行うこともあります。法律や会計に関する専門的な知識を武器に、企業の経営戦略や不正対策についての相談や、システム面でのコンサルティングや監査など、その内容は多岐にわたります。
また先ほど述べた通り、公認会計士は、税に関する研修を修了したうえで税理士登録を行えば、前述の税理士の仕事を執り行うことも可能です。

税理士と公認会計士の業務範囲の違いまとめ
税理士の主な業務は…

  • 税務書類の作成
  • 税務申告などの税務代理
  • 節税など納税者の税に関する相談に応じること
  • 会計帳簿の記帳などの会計業務

公認会計士の主な業務は…

  • 上場企業の会計監査
  • 会計知識をベースにした経営などのコンサルティング
  • 税理士登録すれば、税理士業務も可能

この仕事はどちらに依頼すべき?

ここまで税理士と公認会計士、それぞれの違いや業務範囲について説明してきました。しかしこれらの説明があっても、実際に仕事の依頼をしようと思ったときにどちらに依頼するべきか、なかなか判断がつかないかもしれません。ここでは、そんな判断に困りそうな事例をいくつか紹介し、解説していきます。

税に関する相談

繰り返し述べているように、公認会計士も所定の研修を経て登録さえすれば税理士になることができます。そのため、税金に関する相談はどちらにしても的確なアドバイスをもらうことはできるでしょう。また、税理士は税金を専門に取り扱うため、一般論として税制に関しては、税理士の方が会計士よりも詳しい可能性が高いでしょう。企業で公認会計士をすでに設置している場合であれば公認会計士に相談しても良いと思いますが、そうでなければ、税のことは税理士に相談するほうが確実ではないでしょうか。

記帳代行

会計帳簿等の記帳を代わりに行ってもらいたい場合、法律で定められた条件に当てはまる企業でなければ、会計帳簿の記帳は自由業務となり、極端に言うと税理士・公認会計士でなくてもできる作業の1つです。会計帳簿という名前から公認会計士を連想し、公認会計士に依頼したほうが良いのではないかと考える方は多いかもしれません。もちろん公認会計士は会計に関する高い専門性を身に着けていることは間違いありませんが、記帳の代行等の作業であれば、どちらに頼んでも大きな問題はないでしょう。

会計に関する相談

税理士であっても、記帳等の会計業務ならば執り行うことができますが、大企業における監査などの話となると、税理士の手には負えない部分が多々あります。会計の分野では、やはり専門家である公認会計士のほうが強いです。従って、大企業のように多額のお金が絡む場合や、会計に関する高度な重要事項の相談であれば、公認会計士をお勧めします。

M&Aやデューデリジェンスに関する相談

起業や事業承継なども含めて、日本でもM&A(企業の合併・買収)が盛んになっています。その際欠かせないのが、事前に対象企業の企業価値・財務内容などを調査するデューデリジェンス(DD)。この分野は、基本的に会計士の守備範囲です。
ただし、M&Aの実行においては、税務面の取扱いについても注意を払う必要があります。思わぬ誤算を招かないために、税理士の協力も得るべきでしょう。

国際会計基準(IFRS)や日本の会計基準に関する相談

国際会計基準(IFRS)を導入している、あるいは導入を検討している企業の会計は、それを熟知する会計士に相談・依頼する必要があります。一方、日本の会計基準に準じる会計については、基本的に税理士、会計士ともに対応することができます。

企業・事業の規模別ではどうなる?

中小企業の場合

未上場の中小企業の場合は、会社の会計・税務を税理士、会計士のどちらに頼むことも可能です。何をサポートしてもらいたいのか(例えば「税務申告」や「節税対策」ならば税理士、「経営コンサル」なら会計士)を基準に選択することもできるでしょう。
1つ注意したいのは、前述のように、公認会計士資格があれば税理士業務を行うことも可能なのですが、「税務に詳しい会計士は少ない」ということです。税金面のフォローを求めるのならば、税理士を選ぶべきでしょう。
また、会計士は大企業の監査が主な仕事ですので、「常に相談相手として頼れる存在が欲しい」というような場合には、やはり税理士が向いています。

上場企業・上場を目指す企業の場合

上場企業・上場を目指す企業は、必ず公認会計士の会計監査を受けなくてはなりません。そうした企業は、会計についても会計士を頼るべきでしょう。
同時に、今述べたように、会計士に税務も任せるのは現実的には困難です。併せて税理士とも契約し、税務についても完璧を期す必要があります。

まとめ

公認会計士と税理士、どちらも会社の業務を円滑に進めるためには必要不可欠であることには間違いはありません。しかし、その2種類の持つ権限や、実際の業務範囲等の違いはなかなか分かりにくいものです。どのような仕事を依頼したいのかを整理したうえで、どちらがより適しているのかを判断しましょう。

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公認会計士も税理士も会社の業務遂行にあたっては欠かすことのできない専門職ですが、特に税理士に関しては、税の管理という会社の信用に大きく関わることに対して大きな責任を持ちます。優秀な税理士は、税に対する的確なアドバイスを行うことで、会社の業績のさらなる向上に重要な役割を果たします。ビスカスでは、各企業に適任の税理士を多数紹介しておりますので、ぜひご相談ください。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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